保健師
看護師から保健師になるには。学校・国家試験・期間を5つの手順で
更新 2026年10月23日読むのに約6分
保健師は、看護師の上に足す肩書きではなく、別の国家試験と免許が要る資格です。この記事では、看護師から保健師になるまでの道を5つの手順で示し、免許によって法令上の扱いが変わる場面まで整理します。
看護師と、どこが違うんだろう。
一度は、そう思ったことがあるよね。
まず、免許と国家試験の違いを表で確かめる
保健師助産師看護師法7条は、保健師になろうとする人は、保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならないと定めています。看護師免許を持ったまま名乗れる肩書きではない、というのが出発点です。
看護師の立場から見ると、看護師国家試験の合格は済んでいる前提で、そこに保健師の学びと国家試験が加わる形です。この記事は「保健師になるまで」を扱います。保健師の免許を取ったあと、行政・企業・学校などで働く先を探す話は、保健師としての転職に分けてまとめています。
| 見る点 | 保健師 | 看護師 |
|---|---|---|
| 国家試験 | 保健師と看護師の両方に合格(7条) | 看護師国家試験に合格(7条) |
| 免許を与える人 | 厚生労働大臣 | 厚生労働大臣 |
| 名称・業の決まり | 保健師でない者は、保健師またはこれに類似する名称で保健師の業をしてはならない(29条) | 看護師でない者は、療養上の世話・診療の補助の業をしてはならない(31条) |
| 看護師の業 | 行える(31条2項) | 行える(5条) |
| 受験資格の筋 | 学校で1年以上学ぶなど3つの道(19条) | 大学・3年以上の学校・養成所などの道(21条) |
| 修業年限の下限 | 1年以上(指定規則) | 3年課程は3年以上(指定規則) |
法令の条文の範囲です。実際の課程の長さや入学の時期は、学校の募集要項で確かめてください。
条文の番号は、学校に聞くときの手がかりにもなるよ。
表の中で見落としやすいのは、名称の決まりです。保健師でない者が、保健師またはこれに類似する名称で保健師の業をすることは、29条で禁じられています。一方で、31条2項は、保健師が看護師の業である療養上の世話や診療の補助も行えると定めています。保健師の免許を足しても、看護の仕事の入口が閉じるわけではありません。
養成の下限にも差があります。指定規則では、保健師の学校・養成所の修業年限は1年以上です。ただ、これは下限の基準で、実際の課程が1年で終わると決まっているわけではありません。看護師課程と併せて一貫で学ぶ形か、免許のあとに進む形かでも、教育内容の単位は28単位と31単位に分かれます。
看護師から保健師になるまでの、5つの手順
保健師国家試験の受験資格は、保健師助産師看護師法19条に3つの道として書かれています。文部科学大臣が指定した学校で1年以上保健師に必要な学科を修める道、都道府県知事が指定した保健師養成所を卒業する道、外国の学校や免許で厚生労働大臣の認定を受ける道です。看護師が進むときは、前の2つのどちらかになります。
- 入学資格を確かめる看護師国試の受験資格
- 学校を選ぶ大学の専攻科・養成所など
- 1年以上学ぶ31単位・臨地実習5単位
- 国家試験に合格保健師国家試験
- 免許を受ける厚生労働大臣の免許
看護師の免許があれば、入口の条件はそろっているよ。
- 手順1 入学資格を確かめる:指定規則2条は、保健師の学校・養成所の入学資格を、看護師国家試験の受験資格(保助看法21条各号)に当たる人としている。看護師として働いている人は、この条件を満たしている
- 手順2 学校を選ぶ:大学の専攻科や大学院、保健師養成所など、免許のあとに進む課程を探す。看護大学の中で選抜されて保健師課程を履修する一貫の形は、すでに働いている人には当てはまりにくい
- 手順3 1年以上学ぶ:修業年限は1年以上(指定規則2条)。教育内容は合計31単位で、公衆衛生看護学18単位、疫学2単位、保健統計学2単位、保健医療福祉行政論4単位、臨地実習5単位(保健所・市町村での実習を含む)が別表一に書かれている
- 手順4 国家試験に合格する:保健師国家試験に合格する。看護師国家試験の合格と合わせて、2つの試験の合格がそろう(7条)
- 手順5 免許を受ける:厚生労働大臣に申請し、保健師の免許を受ける
単位数は、看護師課程と保健師課程を一つの教育課程で併せて学ぶ一貫の形では、28単位とすることもできます(別表一の備考)。免許のあとに1年で学ぶ課程は31単位の側です。1年以上は下限の基準なので、実際の課程が1年か2年か、入学の時期や試験はいつかは、学校の募集要項で確かめます。
免許の違いで、法令上の扱いが変わる3つの場面
保健師になる意味を法令の側から見ると、免許によって扱いが分かれる場面があります。ここでは、条文や手引きで確かめられた3つを並べます。就職先の種類や給与の話は、保健師としての転職にまとめています。
1つ目は、特定保健指導です。高齢者の医療の確保に関する法律は、保険者が特定保健指導を行うと定めています。厚生労働省の手引き(第4.3版、2026年3月)では、特定保健指導を実施できる者として、医師・保健師・管理栄養士が挙がっています。看護師は、保健指導に関する一定の実務の経験を有する人が、2029年度末までの経過措置として実施できるとされています。経験の要件の細部は、手引きの本文と、保険者や委託先の案内で確かめます。
2つ目は、ストレスチェックの実施者です。労働安全衛生規則52条の10は、実施者を、医師、保健師、そして所定の研修を修了した歯科医師・看護師・精神保健福祉士・公認心理師と書いています。保健師は研修の記載なしに含まれ、看護師は研修を修了した場合に含まれる、という書き分けです。
3つ目は、養護教諭の免許状です。教育職員免許法の別表第二には、一種免許状の要件の一つとして、看護師の免許を受け、文部科学大臣の指定する養護教諭養成機関に1年以上在学して22単位(最低単位数)を修得する道が書かれています。保健師の免許を受けた人は、同じ機関に半年以上在学して12単位(最低単位数)を修得する道があり、さらに、保健師の免許を受けていることが、二種免許状の要件の一つにも書かれています。看護師免許だけで養護教諭になれる、という書き方は条文にありません。道の詳しい中身は、養護教諭になる道にあります。
企業の産業保健の場は産業看護師になるにはに、看護教員の道は看護教員になるにはに分けてあります。それぞれ、免許の種類が要件になるかどうかは、個別に確かめる内容です。
3つの場面、メモに残しておくと、あとで見返しやすいよ。
関心のある場ごとに、確かめる先を変える
3つの場面は、関心の向きによって、確かめる先が変わります。同じ「保健師になるか迷う」でも、聞くべき相手は別です。
保健指導に関心がある場合は、確かめる先は、手引きと、特定保健指導を実施する保険者や委託先です。看護師の経過措置は2029年度末までとされているため、それ以降の扱いがどうなるかは、手引きの改訂を見て確かめます。手引きで、保健師は実施できる者として挙がっていて、期限が付くのは看護師の経過措置のほうです。ただし、実際の募集で保健師が条件とされているかは、募集要項を見るまで分かりません。
企業の健康管理に関心がある場合は、確かめる先は、その事業場の産業保健の体制です。労働安全衛生規則52条の10は、ストレスチェックの実施者になれる職種を書いた条文です。その事業場にどの職種を置くかは、この条文からは分かりません。法律が事業場に義務づけているのは産業医(医師)の選任で、看護職の雇用ではありません(労働安全衛生法13条)。条文の上では、看護師も研修を修了すれば実施者に含まれます。
学校に関心がある場合は、確かめる先は、指定の養護教諭養成機関の募集要項です。必要な単位の最低数は、別表第二に書かれていますが、実際の課程の期間や費用は、機関ごとに違います。教員の採用試験は、都道府県などの教育委員会の募集要項で、養護教諭の区分を確かめます。
看護師のまま広げる道と、保健師免許を足す道
専門性を広げる道は、保健師だけではありません。看護師免許の上で学びを積む道と、別の免許を足す道とでは、時間と暮らしの見通しの立て方が変わります。
看護師のまま広げる
特定行為研修や認定看護師など、看護師免許の上に学びを積む道です。免許は変わりません。整理は認定・専門の見取り図にあります。
保健師免許を足す
別の国家試験と免許が増え、法令上の扱いが変わる場面があります。学ぶ期間の暮らしの見通しを、先に立てます。
立場によって、最初の一歩は変わります。看護学生なら、いま通う課程が、保健師の課程と併せて一貫で学ぶ形か、免許のあとに進む形かを、学校に聞くところから始まります。病棟で働いている人は、学ぶ期間に仕事を続けられるかと、収入の見通しを、学校の説明で確かめます。子育て中の人は、授業と実習の時間帯、通学の負担が、判断の中心になりやすいです。
学び方の選択肢を広げたいときは、通信制や大学で学ぶ道も見比べられます。看護教員の道を見るときの前提は、看護教員になるにはの記事にあります。
手順1は、もう満たしているはず。次は、通える学校を2つ書き出してみよう。
募集要項を見比べたら、また読みにきてね。
よくある質問
保健師の免許は、看護師免許があれば自動でもらえますか?
いいえ。保健師助産師看護師法7条は、保健師国家試験と看護師国家試験の両方に合格し、免許を受けることを求めています。保健師の養成課程を経て、国家試験を受ける形です。
看護師でも、特定保健指導はできますか?
厚生労働省の手引き(第4.3版)には、保健指導に関する一定の実務の経験を有する看護師が、2029年度末までの経過措置として実施できるとあります。要件の細部は、手引きと保険者の案内で確かめてください。
看護師から保健師になるには、何年かかりますか?
指定規則が定める修業年限は1年以上です。看護師免許のあとに進む課程には、1年の専攻科や養成所と、2年の大学院などがあります。学ぶ期間に国家試験を受けて合格すれば、免許を受けられます。期間と入試の時期は、学校の募集要項で確かめます。
出典・参考(公的な情報)
- 保健師助産師看護師法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 保健師助産師看護師学校養成所指定規則(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 高齢者の医療の確保に関する法律 第18条・第20条・第24条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 特定健康診査・特定保健指導の円滑な実施に向けた手引き(第4.3版)(厚生労働省)
- 労働安全衛生規則 第52条の10(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働安全衛生法 第13条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 教育職員免許法 第4条・別表第二(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。