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制度をめぐる議論

准看護師は廃止される?「いらない」と言われる理由と、これからの道

更新 2026年10月23日読むのに約6分

「准看護師はいらない」という言葉を目にして、胸がざわついた人もいるかもしれません。確かめられる事実と、意見が分かれる点を分けて、制度をめぐる議論を整理します。

そっか。准看護師のことで、モヤモヤしているんだね。

「廃止された」「もうすぐ廃止される」は本当か

まず、いまの法律を見ます。保健師助産師看護師法6条は、准看護師を、都道府県知事の免許を受けて、医師・歯科医師・看護師の指示を受けて、療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする者と定めています。32条は、准看護師でない者がその業をしてはならないと定めています。養成の基準も、学校養成所指定規則5条に定められています。2026年10月23日に確かめた現行の条文で、准看護師の制度は続いています。

次に、公的な検討の資料です。厚生労働省の看護基礎教育検討会報告書(令和元年10月15日)は、准看護師について、卒業時の到達目標を新たに策定し、これからの准看護師に求められる能力を培うために必要な教育内容と方法を見直す、としています。「准看護師に求められる実践能力と卒業時の到達目標」も、新たに作られました。新しいカリキュラムは、准看護師課程が2022年度の入学生から、看護師2年課程が2023年度の入学生から適用することが望ましい、と書かれています。

この報告書の本文で、「廃止」「一元化」「養成停止」「移行」という言葉を語句検索したところ、准看護師制度の廃止や、看護師への一元化を提言する記述は見つかりませんでした。

ただし、これは「2019年の報告書に書かれていなかった」という事実で、「今後も廃止されない」という保証ではありません。「廃止」という言葉は、制度そのものをなくす話、新しい養成を止める話、教育の内容を変える話で、指しているものが違うことがあります。どの意味で使われているかを、先に見分けておきます。

「いらない」と言われる理由と、団体の立場

「いらない」という言い方の背景には、主に二つの論点があります。一つは、医療が高度になるなか、中学卒業から2年以上の養成(指定規則5条)で足りるのかという教育の論点。もう一つは、看護師と准看護師で、現場の仕事が見分けにくいという論点です。条文の上では、免許を出す主体(大臣と知事)と、准看護師は「指示を受けて」行うという書き方(5条・6条)が違います。

報告書も、准看護師の業務範囲は法律上、看護師と違いがあることから、到達目標の別表の冒頭に、法令に基づいて、医師・歯科医師・看護師の指示を受けて療養上の世話と診療の補助を行う旨を示した、と説明しています。

団体の立場は、はっきり分かれています。日本看護協会は、「准看護師制度の課題解決に向けた取組み」のページで、准看護師養成の停止を目指し、准看護師養成所から看護師養成所への転換を促すとともに、いま働いている准看護師の研修や進学を支援する、という立場を示しています。1996年の国の検討会報告書が「21世紀の初頭の早い段階をめどに看護婦養成制度の統合に努める」としたことにも触れ、まだ実現していないと書いています。

一方、日本医師会は、医師会立の看護師・准看護師学校養成所の調査(2024年10月公表)で、准看護師課程の卒業者の多くが地域の医療に就いていることを挙げ、医師会立養成所が地域の看護職員の確保に非常に大きな役割を果たしていると評価しています。同じ調査では、准看護師課程の応募者が平成31年度の9,557人から3,765人に減り、定員充足率は平均55.2%でした。閉校が続くと地域の医療・介護に影響が出るおそれがある、とも述べています。違いの全体は、准看護師と看護師の違いで扱います。

ここだよ。意見と事実は、別々の箱に入れて読もうね。

数字で見る現状と、准看護師から看護師へ進む道

数字では、准看護師は減っています。令和6年衛生行政報告例では、働いている准看護師は2024年末に233,022人で、2年前より21,307人(8.4%)減りました。2014年の340,153人から10年で約3割減っています(筆者計算)。働く場所は、病院が32.7%、診療所が32.8%、介護保険施設等が25.4%です。一方で、准看護師として働く人がいまも20万人以上いることも、同じ統計の数字です。

准看護師から看護師へ進む道は、条文に定められています。看護師国家試験の受験資格は、保助看法21条4号で、免許を得たあと3年以上業務に従事している准看護師、または、高等学校・中等教育学校を卒業している准看護師で、大学・学校・養成所において2年以上修業した人、と書かれています。

養成の側では、看護師2年課程の修業年限は2年以上で、通信制の課程は、免許を得たあと5年以上業務に従事している准看護師が入学資格を持つ、と指定規則4条2項にあります。「最短2年」という言い方は、この修業年限の下限のことです。3年の実務と高卒は「又は」でつながっていますが、学校ごとに独自の出願条件があるかもしれないため、募集要項で確かめます。学費の例や修学資金、道筋の詳細は、准看護師から看護師へ進む方法で扱います。

日本看護協会も、准看護師のための進学情報の特設サイトなどで、看護師への進学を支援しています。准看護師として働き続けるか、看護師に進むかは、年数・費用・働き方の三つで考えます。

いま准看護師として働いている人にとっては、法律上、准看護師の免許の定めがあり(6条・32条)、2年ごとの届出の対象にも含まれています(33条。免許は更新が要るのか)。転職の面は、准看護師の転職にまとめました。

議論を読むときの見方を持っておく

インターネットでは、「准看護師は廃止になる」「まもなく無くなる」といった言い方を見かけます。どこまでが確かめられた事実で、どこからが意見なのか。次の表のように、2つに分けて見ます。

議論を読むときの、2つの箱
法律・国の資料・統計の事実
  • 保助看法に、准看護師の定義が、いまもある(6条・32条)
  • 2019年の報告書が、准看護師の到達目標を新たに策定
  • 働く准看護師は233,022人(2024年末)で、2年で8.4%減
立場で分かれる意見
  • 日本看護協会:准看護師養成の停止を目指す
  • 日本医師会:地域の看護職員の確保に大きな役割と評価
  • 現場の仕事の線引き(職場ごとに異なる)

どちらの箱の話なのかが分かると、言葉に振り回されにくくなるよ。

日本看護協会の教育制度のページには、2022年度から改正カリキュラムが適用され、看護師基礎教育の総単位数が97単位から102単位になったこと、看護師基礎教育の4年制化に取り組んでいることが書かれています。准看護師制度についての協会の立場は、教育制度のページではなく、「准看護師制度の課題解決に向けた取組み」のページにまとめられています。

議論を読むときの確かめ

強い言葉に、疲れちゃうこともあるよね。

事実だけ手元に置いておけば、少し気持ちが落ち着くよ。

よくある質問

准看護師の制度は、すでに廃止されましたか?

保健師助産師看護師法には、准看護師の定義(6条)と、免許のない者の業務制限(32条)があり、2026年10月23日に確かめた現行の条文でも続いています。2019年の看護基礎教育検討会報告書は、准看護師の教育内容の見直しと、到達目標の新設を示しています。

准看護師を廃止する動きは、公的な資料に書かれていますか?

2019年の国の報告書には、廃止や看護師への一元化を提言する記述は見つかりませんでした。日本看護協会は准看護師養成の停止を目指す立場を公表し、日本医師会は医師会立養成所が地域の看護職員の確保に大きな役割を果たしていると評価しています。是非は、この記事では書きません。

准看護師から看護師になることは、できますか?

保助看法21条4号に、受験資格の定めがあります。免許を得て3年以上業務に従事している准看護師、または、高校等を卒業した准看護師で、大学・学校・養成所で2年以上修業した人です。学校ごとの出願条件は、募集要項で確かめてください。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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