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資格の比較

看護師と薬剤師の違い。仕事・年収・なり方と、看護師から目指す道

更新 2026年10月23日読むのに約6分

看護師と薬剤師は、同じ医療職でも、仕事の中心と、資格の入口・学ぶ年数が大きく違います。法律の定義、年収の統計、なり方を並べて比べ、看護師から薬剤師を目指す場合の見積もり方も示します。

看護師と薬剤師、似ているようで、入口はずいぶん違うみたいだよ。

条文の上で見る、2つの資格の定義

看護師は、保健師助産師看護師法5条で、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者や褥婦に対する療養上の世話、または診療の補助を行うことを業とする者と定められています。31条は、看護師でない者が5条の業をしてはならないとしています(医師法・歯科医師法に基づいて行う場合を除く)。

薬剤師は、薬剤師法1条で、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上と増進に寄与し、国民の健康な生活を確保するもの、とされています。19条は、調剤は薬剤師でない者が行ってはならない(原則)と定めています。看護師が患者さんのそばで療養上の世話と診療の補助を担うのに対し、薬剤師は調剤と医薬品の供給を軸にする職、という違いが、定義の書き方に表れています。

どちらも、資格のない人が特定の行為をすることを、原則として禁じる形で書かれています。ただ、中身は別の領域で、「どちらが広い」「どちらが上」と比べる根拠は、法令の定義にはありません。

比べるなら、養成の入口と年数から

違いがはっきり出るのは、国家試験の受験資格と、養成の年数です。次の表に並べます。

看護師と薬剤師を、条文で並べた表
比べる点看護師薬剤師
根拠の法律保健師助産師看護師法薬剤師法
受験資格(入口)大学卒・3年以上の指定の学校・指定の養成所など(法21条)薬学の正規の課程を修めて大学を卒業(法15条)
学ぶ年数の目安3年課程の修業年限は3年以上(指定規則)臨床の実践能力を培う薬学の課程は6年(学校教育法87条2項)
看護師免許の位置免許を受けるのに看護師国家試験が必要(法7条)受験資格の条件に、看護師免許は出てこない
業務に関する独占の条文看護師でない者は5条の業を禁止(法31条)調剤は薬剤師以外は原則禁止(法19条)

条文で比べた範囲です。年収は次の節、学費は後の節で扱います。

並べると、入口の年数がいちばん違って見えるね。

薬剤師の国家試験は、学校教育法に基づく大学で薬学の正規の課程を修めて卒業した人が対象です(外国の薬学校の卒業者や外国の免許を持つ人で、厚生労働大臣が同等以上と認めた場合を除く)。看護師は、大学のほか、3年以上の指定の学校や、都道府県知事が指定した養成所を卒業する道もあります。

受験資格の書き方にも、違いがあります。看護師国家試験の受験資格(21条)には、大学・3年以上の学校・養成所のほか、准看護師からの道(4号)と、外国の学校卒業などの道(5号)が書かれています。薬剤師法15条には、大学の薬学の課程と、外国の薬学校の卒業者・外国の免許を受けた者で厚生労働大臣が認めた場合の2つがあり、准看護師からの道に当たる条文は、15条には出てきません。

免許を持ったあとの決まりも、確かめられた範囲を分けておきます。看護師・准看護師・保健師・助産師には、業務に従事する間、2年ごとの届出があります(保助看法33条。免許は更新が要るのか)。薬剤師にも、薬剤師法9条で、2年ごとの年の12月31日現在の氏名・住所などを、翌年1月15日までに、住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出る決まりがあります。看護師の届出は就業地、薬剤師は住所地の知事を経由する、という違いがあります。

6年って、数字で見るとずしっとくるね。

年収の目安は、令和7年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)で並べられます。薬剤師は、平均年齢40.1歳、きまって支給する現金給与額39万8,700円、年間の賞与など88万3,500円で、月額×12+賞与は約567万円です。看護師は、平均年齢42.1歳、月額36万5,900円、賞与85万6,400円で、約525万円でした(どちらも筆者計算。対象は10人以上の民営事業所)。看護師の月額には夜勤などの手当が含まれる点も考えに入れると、差は「6年の学費と、学ぶ間の収入」と並べて見る必要があります。

看護師から薬剤師へ進む場合に、確かめられる条件

進む場合の条件は、条文からは、一つだけはっきり言えます。薬剤師国家試験を受けるには、薬学の正規の課程を修めて大学を卒業する必要があり(薬剤師法15条)、その課程は6年です(学校教育法87条2項)。看護師免許や、看護師としての経験は、受験資格の条件として、条文に出てきません。

看護師としての学びや経験で、薬学部の年数を短くできるかは、大学ごとに違います。募集要項で、「社会人入試」「編入学」「既修得単位の認定」の区分があるかを確かめます。入学の条件、選抜の方法、学費は、志望する大学の募集要項や、入試の窓口で確かめます。

お金の見通しは、公的な数字を1つだけ置けます。国の省令が定める国立大学の学部の標準額は、授業料が年535,800円、入学料が282,000円です。6年分の授業料を単純に掛けると3,214,800円になります。授業料だけの計算で、入学料・教材費・生活費は含みません。各大学の実額は、標準額と異なることがあります。私立大学は大学ごとに額が違うので、募集要項の学費の欄を6年分で足して比べます。

進む前に:条文で言えること/学校に聞くこと
条文で確かめられること
  • 薬学の正規の課程(6年)の卒業が、受験資格
  • 看護師免許は、受験資格の条件に出てこない
大学・窓口で確かめること
  • 編入・単位認定で年数を短くできるか
  • 入学の条件・選抜・学費の実額
  • 学んでいる間の、働き方と生活費

分けて見ておくと、どこから確かめるかが決まるね。

立場ごとに、考える順番が変わる

看護師の免許を持っている人は、薬学の正規の課程に、入学し直す形になります。受験資格に看護師免許が出てこないので、通う6年間は、看護師としての勤務との両立ができるかを、先に確かめる必要があります。授業と実務実習の時間帯を募集要項や説明会で確かめ、看護師として働ける曜日と時間がどれだけ残るかを見積もります。

看護師免許を取る前の人は、進路が入学の時点で分かれます。看護師は、大学・3年以上の指定の学校・養成所と複数の道があり、薬剤師は、薬学の正規の課程(6年)が入口です。看護の学びを経由してから薬学へ進むのか、最初から薬学へ進むのかは、年数と費用に直接かかわります。

費用の支えとして、教育訓練給付制度の専門実践教育訓練に、看護師・准看護師の養成施設の課程を類型の1つとする指定があります。薬学の課程が対象の講座に指定されているかは、大学ごとに違うので、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで大学名から調べ、受給の可否は、ハローワークで確認します。

迷っているとき、決める軸を3つに分ける

年収の差だけで決めると、6年の学費と、学ぶ間に減る収入の大きさを見落としやすくなります。次の3つの軸で考えるほうが、判断の材料になります。

  • 何をしたいか:患者さんのそばで行うケアか、調剤や薬の管理か。仕事の中身から考えます。
  • 年数と費用:6年の課程に通う間の収入と生活費を、どう見るか。働きながら通えるかは、学校ごとに確かめます。
  • いまの資格を活かす道があるか:看護師のまま専門を深める道もあります(認定看護師と専門看護師の違い、特定行為研修の基本)。

志望先を調べるときは、課程の年数を確かめます。学校教育法87条は、大学の修業年限を4年とし、薬学の臨床に係る実践的な能力を培うことを主たる目的とする課程だけを6年としています。薬剤師国家試験の受験資格に結びつくのは、条文の上では、この薬学の正規の課程です。同じ薬学系の学科でも、修業年限が違うことがあるため、受験資格に結びつく課程かどうかを、募集要項と大学の窓口で確かめます。

決める前に、3つだけ書き出す

ほかの国家資格との比べ方は、看護師が次に目指せる国家資格にまとめました。資格全体の見取り図は、看護師が取れる資格を目的別に選ぶための早見表です。

6年の学費と、その間の収入。紙に並べると、迷いが具体的になるよ。

よくある質問

看護師と薬剤師では、年収はどのくらい違いますか?

令和7年賃金構造基本統計調査の月額と賞与から計算すると、薬剤師は約567万円、看護師は約525万円です(筆者計算)。看護師の月額には夜勤などの手当が含まれます。薬剤師を目指すなら、6年の学費と学ぶ間の収入も合わせて比べてください。

看護師免許があると、薬剤師国家試験で有利になりますか?

薬剤師法15条の受験資格に、看護師免許は条件として出てきません。受験には、薬学の正規の課程(6年)を修めて大学を卒業することが要ります。

看護師から薬剤師になるには、何年かかりますか?

受験資格は、薬学の正規の課程(6年)を修めて大学を卒業することです。編入や単位認定で期間が短くなるかは大学ごとに違うので、募集要項の編入学・既修得単位の欄で確かめます。

看護師と薬剤師で、できることはどう違いますか?

看護師は療養上の世話と診療の補助(保助看法5条)を業とし、薬剤師は調剤・医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどる(薬剤師法1条)とされています。調剤は薬剤師以外は原則できません(同19条)。現場での細かい分担は、職場ごとに決まります。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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