介護と仕事
看護師が介護で離職する前に。つらさを整理して窓口を順にたどる
更新 2026年10月23日読むのに約6分
介護と仕事の両方を抱えて、辞めるしかないのではと考える夜があります。この記事では、辞める前に確かめておけることと、相談できる窓口を順番にたどりますが、辞める選択も続ける選択も、否定しません。
介護のことで、頭がいっぱいなんだね。
辞めるかどうかの前に、いっしょに順番を確かめよう。
辞めたい、の中身を四つに分けてみる
介護と仕事の両立がつらいとき、辞めるしかないという考えが浮かぶのは、珍しいことではありません。ただ、その考えの中身は、人によって違います。先に、何がいちばん重いのかを分けてみます。
- 時間の重さ:通院の付き添いや見守りで、勤務に入れない日が増えている
- 体の重さ:夜勤や残業のあとに介護が続き、休めない
- お金の重さ:介護の費用が増える一方で、収入が減ることが不安
- 気持ちの重さ:誰にも相談できず、一人で抱えている感じが強い
どれが一番重いかで、先に動く先が変わります。時間の重さなら、勤務の側を調整する制度。体の重さなら、休む制度と介護サービス。お金の重さなら、給付金と、辞めたあとの収入の見通し。気持ちの重さなら、話せる窓口です。
看護の仕事をしていると、家族から頼られることがあります。それでも、介護の負担は、仕事の知識とは別に重いものです。この記事では、できるはずだという前提を置かずに、制度と窓口だけをたどります。
まず外に出す。地域包括支援センターから、会社へ
家族の介護が必要になったときの最初の相談先は、地域包括支援センターです。厚生労働省の資料によると、市区町村が設置するか委託して公的に運営し、市区町村に1つ以上あります。相談は無料で、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが、介護のことや、仕事との両立の悩みを含めて対応します。名称が地域によって違う場合もあります。
介護保険を使うには、要介護認定の申請が必要です。申請は市区町村の窓口へ行いますが、地域包括支援センターに代行してもらえます。認定の効力は申請した日にさかのぼり、結果は原則30日以内に通知されます。対象は、65歳以上の人と、40歳から64歳で特定疾病が原因の人です。親が65歳未満の場合は、特定疾病が原因かどうかで、使えるかが分かれます。
その次に、会社へ伝えます。育児・介護休業法では、労働者が対象家族の介護が必要になったと申し出たとき、事業主は、介護休業などの制度を知らせ、休業を申し出る意向を確認するための面談などを行う義務があります(2025年4月施行)。申し出たことで不利益に扱うことも、禁止されています。介護が必要になったという事実を、師長や人事に先に伝えることには、この意味があります。
- 重さを分ける時間・体・お金・気持ち
- 地域包括支援センター相談・認定の申請
- 会社に伝える師長・人事
- 制度を組み合わせる休業・休暇・短縮
- それでも難しいとき休む・話す・決める
決めるのは、最後でいいんだよ。
窓口の役割は、次のとおりです。介護保険の手続きは市区町村の介護保険担当課、育児・介護休業法の相談は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、休業給付の申請はハローワークです。
親の介護が必要になり、通院の付き添いで勤務に入れない日が出てきています。いま使える制度を教えていただき、勤務の組み方を相談させてください。どうするかを決める前に、選べる形を知っておきたいと考えています。
師長への伝え方の例(続柄や状況は自分の事実に置き換える)
窓口の名前を、ここでメモしておこうね。
使える制度の組み合わせと、辞める前の落とし穴
制度の日数や給付の額は、介護休業・介護休暇のしくみにまとめました。ここでは、辞める判断に関わる点だけを書きます。介護休業は、自分で介護を続けるための期間ではなく、介護を支える体制をつくる期間として想定されています。休業を使い切ったあとにも、短縮などの措置や介護休暇が別に残っています。「休業が終わったら辞めるしかない」と考える前に、残っている制度を数えます。
辞めるかどうかを決める前に、一つ確かめておくことがあります。介護休業給付金は、介護休業を開始する時点で、休業が終わったあとに離職することが予定されている人は、対象にならないと、ハローワークが案内しています。辞めることを前提に休業を取ろうとしている場合は、給付が出ない可能性があるため、先にハローワークで確かめます。
辞めた場合に、先に調べておきたい手続きもあります。雇用保険の基本手当は、自己都合の退職だと、待期のあと、2025年4月1日以降の退職では原則1か月の給付制限があります。健康保険と年金の切り替えにも期限があります。期限のある手続きは、退職後の保険・年金・失業保険の手続きに一覧があります。
育児と介護が重なっている場合は、制度が別々に用意されています。育児休業の途中で介護休業が始まると、先の育児休業は終わります。保育の必要性の認定には、同居の親族を常時介護していることも、事由として含まれています。どの制度をどの順で使うかを、整理することになります。
辞める以外にも、勤務の形を変える道があります。夜勤のない部署や日勤のみの勤務、短時間勤務への切り替えなどは、勤務先の制度や人員で、できるかどうかが変わります。師長や人事に、介護の状況を伝えたうえで、選べる勤務の形を聞いておきます。辞めるかどうかの結論は、その返事を聞いてからでも、遅くありません。
介護を担う人が一人に偏っているときは、家族や親族との分担を、制度の前に話し合う場面もあります。誰が何を担えるかを、曜日や時間帯で書き出して、地域包括支援センターの相談に持っていくと、サービスの組み立てが具体的になります。
それでも限界が近いとき、休むことと話すこと
制度をたどっても、気持ちの限界が近いことがあります。眠れない日が続く、食べられない、何も手につかない、という状態が続くときは、仕事や介護の段取りより先に、休むことと、話すことを優先してください。判断は、急がないでください。
つらさをそのまま話せる窓口があります。よりそいホットラインは、0120-279-338(フリーダイヤル・無料)で、24時間受け付けています。こころの耳の電話相談は、0120-565-455(フリーダイヤル)で、平日は17時から22時、土日は10時から16時に、働く人とその家族の相談を受けています。祝日・振替休日・年末年始(12月29日〜1月3日)は休みです。2026年1月から、発信者番号を非通知にした電話は受けない旨が案内されています。かけ間違いが起きているため、番号を確かめてからかけてください。
通っている医療機関の医師に話す方法もあり、勤め先に産業医がいれば、産業医にも相談できます。辞めるか続けるかの結論は、今日出す必要はありません。決められない日があっても、それは、考えが足りないということではありません。
お茶を一杯だけ飲んで、続きは明日にしよう。
ここまで、ひとりで抱えてきたんだね。
続きは明日にして、今夜は早めに眠ろうね。
よくある質問
介護休業を取ったあとに辞めると、給付金はもらえませんか?
介護休業給付金は、介護休業を開始する時点で、休業後に離職することが予定されている人は対象にならないと、ハローワークが案内しています。個別の判断は、ハローワークで確かめてください。
親が要介護認定を受ける前でも、会社に相談してよいですか?
相談できます。会社は、労働者が対象家族の介護が必要になったと申し出たとき、制度を知らせ、意向を確認する面談などを行う義務があります(2025年4月施行)。要介護認定の通知書の提出を、休業の条件にすることもできません。
育児と介護が同時に重なっています。どこから相談すればよいですか?
介護は地域包括支援センター、育児の保育は市区町村の保育担当課が窓口です。仕事の制度は、会社の人事と、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。つらさが続くときは、[つらいときの窓口](/support/)も使えます。
出典・参考(公的な情報)
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)(厚生労働省)
- 介護休業給付の内容及び支給申請手続について(2026年8月1日版)(厚生労働省・ハローワーク)
- 介護保険法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 介護保険制度の概要(令和7年7月)(厚生労働省 老健局)
- 子ども・子育て支援法施行規則(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 基本手当について(ハローワークインターネットサービス(厚生労働省))
- 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます(厚生労働省)
- 電話相談窓口|困った時の相談方法・窓口|まもろうよ こころ(厚生労働省)
- 働く人の「こころの耳電話相談」(こころの耳(厚生労働省))
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。