新人期の過ごし方
新卒看護師の配属が希望と違ったとき。気持ちの整理と、伝え方の準備
更新 2026年10月23日読むのに約6分
配属先が希望と違うと、これからの数年が決まってしまったように感じます。この記事では、何が違ったのかを分けて、先輩や師長への伝え方と、最初の数か月の過ごし方を整理します。
行きたかった場所じゃなかったとき、胸がすっと重くなるよね。
「希望と違う」の中身を、四つに分けてみる
がっかりした気持ちは、そのままにしておいていいよ。分けるのは、そのあとでいいからね。
配属の通知を受け取って、「希望と違う」と感じたとき、頭の中では、診療科のこと、夜勤のこと、通勤のこと、人間関係の不安が、いっせいに動き出します。一度に考えると重くなるので、まず四つに分けてみます。
- 領域:希望した診療科や領域と、どこが違うのか(診療科、急性期か慢性期か、など)
- 働き方:夜勤の有無や回数、勤務時間、休みの取りやすさ
- 場所:通勤の時間、寮や住まい、病院や施設の規模
- 人:教育担当や先輩、同期との相性、雰囲気への不安
四つのうち、「違った」のはどれか、「まだ分からない」のはどれかを、分けておきます。配属前は、病棟の中身も、教育担当の人柄も、まだ見えていません。見えないまま不安が先に走っている部分は、「違う」ではなく「分からない」に分類します。
希望した理由も、書いておきます。「その科の患者さんに関わりたかった」のか、「その科なら夜勤が少ないと思った」のか、「通いやすい場所だった」のか。理由が分かると、いまの配属先でも満たせる部分と、満たせない部分が分かれます。満たせる部分が一つでも見つかると、「全部が違う」という重さが、少し軽くなることがあります。
気持ちが落ち着く前に、してしまいがちなこと
配属が希望と違ったとき、早く答えを出したくなるのは自然です。ただ、気持ちが揺れている最初の時期に、次のようなことをすると、あとで整理しにくくなることがあります。
- 「配属ガチャ」と運の話にして、自分で動かせる部分まで見えなくする
- その日のうちに「辞めたい」と結論を出す
- 同期と配属先を比べて、自分だけが外れたと感じる
- SNSに配属先の不満を書く(職場や患者さんが特定されるおそれがあります。看護師のSNS発信と守秘義務も参考にしてください)
「配属ガチャ」という言い方には、自分では選べなかったという感覚が表れています。その感覚は自然ですが、運と呼んだ時点で、動かせる部分も一緒に見えなくなります。希望は選べなかったけれど、最初の数か月の過ごし方と、希望を伝える場面は、自分で動かせます。
同期との比較は、情報が偏りやすいものです。うまくいっているように見える同期も、見えない部分で悩んでいることがあります。比べる前に、自分の四つの目盛り(領域・働き方・場所・人)だけを見ます。
「違う」と「分からない」、いま胸にあるのはどっちが多いかな。
希望を伝える時期と、伝える相手
希望を伝える相手は、職場によって違いますが、近い順に、教育担当の先輩(プリセプター)、病棟や部署の師長、看護部の順で考えると動きやすくなります。日々の困りごとは教育担当、勤務や配属の相談は師長、仕組みそのものについては看護部、と役割が分かれている職場があるためです。
時期は、配属の直後より、仕事が少し見えてからのほうが、伝えやすいことがあります。新人向けの面談が決まっている職場なら、その場がいちばん自然です。異動の時期や、希望を聞く仕組みがあるかどうかは、職場ごとに違います。面談で「希望は、どのような場合に、いつごろ聞いてもらえますか」と聞くのが、確実です。
- 希望:(書く) 理由:(書く)
- いまの配属:(書く)
- 違うところ:領域/働き方/場所/人
- まだ分からないところ:(書く)
- いまの配属で満たせそうなこと:(書く)
- 面談で聞くこと:希望を伝える機会、異動の仕組み
1枚にまとめると、話すときに迷いにくいよ。
伝え方には、三つの型があります。一つ目は、学びたいことから話す型で、「小児の患者さんに関わる経験を積みたいと考えています」と、希望の中身を伝えます。二つ目は、事実から話す型で、「夜勤の入り方が分からず、不安があります」と、困っていることを事実のまま伝えます。三つ目は、質問から話す型で、「今後、希望を相談できる機会はありますか」と、仕組みを尋ねます。最初は、三つ目が角が立ちにくい型のひとつです。
いまの部署で学びながら、将来は小児にも関わりたいと考えています。相談できる機会があれば、教えてください。
面談での言い方の例(質問型)
言い方の型は、先に口に出して練習しておくと、当日ずっと楽になるよ。
最初の3か月を、希望と違う場所で使うには
最初の数か月は、配属先がどこであっても、仕事の土台を作る時期です。観察の仕方、報告の仕方、優先順位の付け方、記録の書き方には、診療科が違っても使える部分があります。3か月目ごろに気持ちが揺れたときの整理は、新人看護師が3か月目に辞めたいと思ったときで扱っています。
この時期にできることは、「いまの配属先で学べること」と「希望に近づく準備」を分けて考えることです。前者は、日々の業務の中で、手応えを一つずつ書き留めます。後者は、希望の領域に関する院内の研修や勉強会の機会があるかを、教育担当に聞くことから始めます。機会の有無は職場によるので、あれば使う、なければ聞いた事実だけ残す、で十分です。
手応えは、「今日できたこと」を一行ずつ書くと、1か月ほどで一覧になります。見えなかった仕事の中身が見えてくると、「希望と違う」の中身が変わることがあります。変わらなかった場合も、それは整理の材料になります。
辞めたい気持ちが出たときの線引きと、準備チェック
配属が希望と違ったことで、辞めたい気持ちが出てくることもあります。その気持ちは、おかしなことではありません。ただ、辞めるかどうかを決める前に、何が理由なのかを三つに分けて見ておくと、あとで後悔しにくくなります。「辞めたい」を3つに分けて考えるに、その整理のしかたがあります。
新卒で就職先を選んだときの考え方は、新卒の就職先の選び方にまとめています。次の職場でも、配属が希望と違うことはありえます。選び直す前に、いまの職場で試せることを先に試すと、判断の材料が増えます。
今日できるのは、一行書くことだけで十分。そこから、少しずつ進もうね。
よくある質問
配属ガチャで希望と違う科になったとき、すぐ異動できますか?
異動の時期や仕組みは職場ごとに違います。面談などで、希望を聞いてもらえる機会や時期を、師長か看護部に確かめるのが確実です。
配属ガチャで外れて、辞めたいと思ったときは?
その日のうちに結論を出さず、何が違ったのかを領域・働き方・場所・人の四つに分けて書きます。「違う」と「まだ分からない」を分けたうえで、面談で希望を伝える機会を聞きます。眠れない・食べられない日が続くときは、整理より先に窓口へ話してください。
希望の科でなくても、将来その科で働けますか?
異動の可否や条件は職場ごとに違うため、約束はできません。いまの部署で学べることと、希望を伝える機会の有無を、分けて確かめるところから始めます。
つぎに読む
この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。