副業・確定申告
看護師の確定申告が必要な場面。転職・医療費控除・特定支出控除の手順
更新 2026年10月23日読むのに約6分
確定申告は、名前だけで身構えてしまう手続きです。要る人と要らない人を先に分けて、必要なら5つの手順で進めると、慌てずに済みます。
確定申告って、名前を聞くだけで、肩に力が入っちゃうよね。
確定申告が要る人と、要らない人を先に分ける
勤務先から給与をもらっている人の多くは、年末調整で税の精算が終わり、確定申告は要りません。国税庁は、給与所得者のうち、次のどれかに当たる人は確定申告が必要としています(還付を受ける人を除く)。
- 給与の収入が2,000万円を超える人
- 給与が1か所から支払われ、その全額が源泉徴収されていて、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超える人
- 給与が2か所以上から支払われ、年末調整されなかった給与の収入と、給与・退職以外の所得の合計が20万円を超える人
- 同族会社の役員で貸付金の利子や賃貸料を受けている人、退職所得の税額が源泉された額より多くなる人など
2か所以上から給与をもらう場合には、例外が1つあります。給与の収入の合計から、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除以外の所得控除を引いた額が150万円以下で、各種所得の合計が20万円以下なら、申告は不要です。副業が絡む場合の考え方は、副業の確定申告で扱います。ここでは、本業の給与だけの人が、どんな場面で申告するかを見ます。
申告が必要な人
上の条件に当たる人です。期限までに申告しないと、あとで手間が増えることがあります。条件は、勤務先ではなく、国税庁の案内で確かめます。
出すと戻る場合がある人
申告の義務はなくても、医療費控除などを受けるために、自分から出す申告です。還付申告といい、令和7年分は、令和8年1月1日から5年間、出せると国税庁が案内しています。
看護師に多い、転職した年・医療費がかさんだ年
年の途中で退職して、年末までに再就職しなかった場合は、原則として年末調整の対象外です。例外は、死亡退職、著しい心身の障害による退職、12月に支給される給与を受け取った後の退職などです。年末調整が受けられない人は、自分で確定申告をするか、再就職先で年末調整をしてもらいます。転職の年は、前の職場の源泉徴収票も受け取っておきます。源泉徴収票は、翌年1月31日までに交付するものです。年の途中で退職した場合は、退職の日以後1か月以内です。複数枚になっても、捨てずに保管します。何に使うかは、新しい勤務先の人事や、国税庁の案内で確かめます。
2026年(令和8年)に辞める人には、もう一つ気をつけることがあります。令和8年分の基礎控除などの引き上げは、12月の年末調整で反映される仕組みです。国税庁のQ&Aでは、令和8年の途中で退職して年末調整を受けていない人などは、改正後の控除が反映されていないので、受けるには確定申告が必要とされています。年の途中で辞めて、年内に再就職しない場合は、翌年の申告で精算します。
退職金を受け取った場合は、「退職所得の受給に関する申告書」を出していれば、支払者が源泉徴収をして、原則として確定申告は不要です。出していなければ、20.42%が源泉徴収されて、確定申告で精算します。くわしくは、退職金の税金で扱います。
もう一つ、申告する人が多い場面が医療費控除です。計算式は、実際に支払った医療費の合計額から、保険金などで補てんされる金額を引き、さらに10万円を引いた額です。総所得金額等が200万円未満なら、10万円ではなく総所得金額等の5%を引きます。上限は200万円です。セルフメディケーション税制は、一定の健康診断や予防接種などに取り組む人が、特定一般用医薬品等を買った場合に、年間購入額のうち12,000円を超える部分が対象で、上限は88,000円です。通常の医療費控除とは、どちらか一方を選ぶ形になります。何が医療費の対象になるかは、国税庁の案内で確かめます。
ふるさと納税をした人が、医療費控除などで確定申告をする場合は、ワンストップ特例の申請が無効になります。申請した分も含めて、寄附金控除を申告します。仕組みはふるさと納税・iDeCoの仕組みにまとめています。仕事のために自分で払った研修費などは、次の節の特定支出控除で見ます。
自分は出す側なのか、出さなくていい側なのか。まず、そこからだね。
気になる条件に、印をつけながら読んでいこう。
研修費・資格取得費は、特定支出控除を確かめる
認定看護師の教育課程や研修の費用を自分で払った年は、特定支出控除が使えるかを確かめます。国税庁のタックスアンサー(No.1415)によると、給与所得者が特定支出をした年に、その合計が給与所得控除額の2分の1を超えると、超えた部分を、給与所得控除後の所得からさらに差し引けます。使うには、確定申告が必要です。
- 対象になる支出:通勤費、職務上の旅費、転勤に伴う転居費、職務に直接必要な研修費・資格取得費、単身赴任の帰宅旅費、勤務必要経費(職務に関連する図書費・勤務場所で着る制服などの衣服費・交際費等。合計65万円まで)
- 対象にならない部分:勤め先から補てんされ、所得税がかかっていない分。教育訓練給付金が支給される分
- 必要な証明:職務の遂行に直接必要であることの、給与の支払者(勤め先)の証明。研修費・資格取得費の教育訓練に当たる部分は、キャリアコンサルタントの証明でもよい(令和5年分以後)
- 申告のとき:「給与所得者の特定支出に関する明細書」と証明書を添付し、領収書などを添付か提示する
たとえば、給与の収入が500万円なら、給与所得控除額は144万円(収入×20%+44万円)で、その2分の1は72万円です。この年に、勤め先の証明がある研修費・資格取得費を90万円払っていれば、72万円を超える18万円が、さらに差し引ける額になります(計算のための例です)。72万円に届かない年は、使えません。勤め先の補助や教育訓練給付金がある場合は、その分を除いて数えます。資格の費用と給付金の関係は、教育訓練給付にまとめています。
申告までの手順は5つ
申告の流れは、次の5つです。令和7年分の確定申告の期間は、国税庁によると、令和8年2月16日(月)から3月16日(月)までです。令和8年分の期間は、この記事では書かないので、国税庁の最新の案内で確かめます。
- 1. 申告が必要か、還付を受けられるかを確かめる:上の条件と、医療費・寄附金の合計を見る
- 2. 書類を集める:源泉徴収票、医療費の領収書や医療費通知、寄附金受領証明書など
- 3. 申告書を作る:国税庁の確定申告書等作成コーナーなどで、画面の案内に沿って入力する
- 4. 提出する:e-Taxなどで出す。提出の方法と期間は、年分ごとに国税庁の案内で確かめる
- 5. 納税か還付を確かめる:納める額がある場合は期限までに納める。還付になる場合は、戻る時期を確かめる
- 必要か確かめる要る人・還付の人
- 書類を集める源泉徴収票など
- 申告書を作る作成コーナーなど
- 提出するe-Taxなど
- 納税か還付結果を確かめる
一つずつ、順番に進めれば大丈夫だよ。
つまずきやすい所は、書類と日付
つまずきやすいのは、書類が手元にそろわないときです。年の途中で転職すると、前の職場の書類を探す場面が出ます。源泉徴収票は転職のたびに増え、医療費の領収書は一年分を数えると意外と多くなります。年の途中から、封筒かフォルダを一つ決めて、入れていくと、提出の前に慌てにくくなります。
提出したあとにも、領収書の扱いがあります。医療費控除は、医療費控除の明細書を作って申告書に添付します。確定申告期限等から5年間は、領収書の提示や提出を求められることがあると、国税庁は案内しています。5年は保管しておくと安心です。電子で受け取った書類も、日付と名前が分かる形で、まとめて保存します。
もう一つの落とし穴は、期間の取り違えです。令和7年分の期間と、令和8年分の期間は違います。ネットの記事で期間を調べるときは、何年分の話かを確かめます。年末調整や税の仕組みを含めた給与まわりは、給与明細の見方にも書きました。
源泉徴収票と領収書。まずは封筒を一つ用意するところからだね。
研修費を払った年は、特定支出控除の計算も忘れずにね。
よくある質問
看護師は、確定申告をしないといけませんか?
職業で決まるのではなく、収入と条件で決まります。給与が1か所で年末調整が済んでいて、副業などの所得が20万円以下なら、原則として不要です。国税庁の案内に当てはめて確かめます。
転職した年は、確定申告が必要ですか?
年末までに再就職して年末調整を受けたなら、不要になることがあります。年の途中で退職して再就職しなかったときは、年末調整の対象外なので、確定申告で精算します。どちらに当たるかは、年末調整の状況で変わります。
医療費控除は、いくらから使えますか?
実際に支払った医療費の合計額から、保険金などで補てんされる額を引き、さらに10万円を引いた額です。総所得金額等が200万円未満の人は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を引きます。上限は200万円です。
出典・参考(公的な情報)
- No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
- 所得税及び復興特別所得税の申告等(令和7年分Q&A)(国税庁)
- 令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A(令和8年5月)(国税庁)
- No.2665 年末調整の対象となる人(国税庁)
- No.7411 給与所得の源泉徴収票の提出範囲と提出枚数等(国税庁)
- No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(国税庁)
- No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(国税庁)
- No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)(国税庁)
- No.1415 給与所得者の特定支出控除の概要(国税庁)
- No.1410 給与所得控除(国税庁)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。