夜勤・勤務時間・休み
看護師のオンコールがつらいとき。負担の分け方と職場への伝え方
更新 2026年10月23日読むのに約7分
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オンコールは、呼ばれなくても気持ちが休まらない時間です。この記事では、負担を回数・間隔・手当に分けて職場に伝える方法と、待機の時間が労働時間になるかの判断の物差しを、公的な文書の範囲で整理します。
休みの日でも、携帯が鳴るかもしれないって、頭のすみにあるよね。
呼ばれなくても休まらないのは、待機の重さが3つ重なるから
オンコールは、勤務時間の外で、呼び出しに備えて待機する働き方です。病棟や手術室、訪問看護のステーションなどで、職場ごとに決め方が違います。呼ばれなかった日でも、気持ちが休まらないと感じる人がいます。それは気にしすぎではなく、待機そのものに重さがあるからです。
重さは、おおむね3つに分けられます。1つ目は、呼び出しの頻度です。夜中に何度も呼ばれる当番と、ほとんど呼ばれない当番では、同じ待機でも疲れ方が違います。2つ目は、到着までに求められる時間です。すぐに駆けつけなければならないのか、電話で指示できれば足りるのかで、外出や飲酒、遠出の自由度が変わります。3つ目は、呼ばれた翌日の勤務です。夜に起こされたまま、朝の勤務に入る場面があるかどうかです。
この3つのどれが一番重いかで、職場に伝える内容が変わります。回数が問題なら当番の分け方、時間の縛りが問題なら待機の条件、翌日の勤務が問題なら呼び出し後の休息、というように、お願いが具体的になります。
待機のせいで休日が休日にならない、という悩みは、休日が少ないと感じるときで、休日の考え方を扱っています。ここでは、待機の負担そのものを扱います。
待機の時間は、労働時間になるのか。判断の物差し
「待っているだけだから、勤務ではない」と言われることがあります。厚生労働省の考え方は、場所や呼び名ではなく、労働から離れることが保障されているかどうかで見る、というものです。
厚生労働省が2024年7月に出した、医師の働き方改革に関するQ&Aの周知文書には、オンコール待機の時間が労働時間に当たるかは、呼び出しの頻度、呼び出されたときにどのくらい迅速に病院へ着くことが義務づけられているか、待機中の活動がどの程度制限されているか、などを踏まえて、労働から離れることが保障されているかどうかで、個別具体的に判断される、と書かれています。ただし、この文書の対象は医師です。看護職のオンコールを直接扱った厚生労働省の通達やQ&Aは、この記事を書く時点で見当たりません。同じ考え方で判断される場合はあっても、結論は個別の事情によります。自分の待機がどう扱われるかは、就業規則や賃金規程の待機の定めと、呼び出しの頻度・到着までの時間・待機中の制限の記録を持って、総合労働相談コーナーで確かめられます。
もう一つ、労働時間の一般的な考え方があります。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」は、使用者の指示があれば即時に業務に従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない状態で待機している時間(手待時間)は、労働時間として扱わなければならないとしています。使用者の明示または黙示の指示で業務に従事した時間は、労働時間に当たるともしています。電話での指示、病院や訪問先への駆けつけ、記録の作成など、呼び出されて実際に対応した時間は、この考え方に沿って見ることになります。
ここまでを一言にすると、「待機そのもの」と「呼ばれて動いた時間」を分けて見る、ということです。呼ばれて動いた時間が、勤務の記録に入っているかを確かめます。時間外や深夜に当たれば、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金が付くのが、労働基準法37条の定めです(深夜は午後10時から午前5時。法定休日の労働は3割5分以上)。待機そのものが労働時間になるか、手当の対象になるかは、就業規則や賃金規程の定めと、個別の事情で変わります。
なお、オンコールと宿日直は、別のものです。宿日直は、通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後の、軽度または短時間の業務に限る当直で、労働基準監督署の許可が要ります(厚生労働省の許可基準、2019年)。通常の交替制の夜勤が、宿日直の許可の対象になることはありません。自分の待機が、オンコールなのか、許可を受けた宿日直なのかは、勤め先に確かめます。
ここまでで、待機の見方はひと通り出そろったよ。
次は、自分の負担を数字にしていく番だね。
負担を回数・間隔・手当に分けて、職場に伝える
整理ができたら、職場に伝える番です。気持ちのつらさをそのまま伝えるより、事実を数字にして、希望を一つに絞るほうが、話が進みやすくなります。分ける軸は、回数・間隔・手当と記録の3つです。
- 呼び出しの頻度(月に何回か)
- 到着までの時間と、外出の制限
- 呼ばれた翌日の勤務と休み
- 当番の回数の分け方
- 呼び出し後の休息の取り方
- 待機・出動の記録と手当の確認
左の重さを数字にして、右から一つ選んで伝えよう。
回数。1か月の当番の日数と、呼び出された回数を、日付つきで書きます。当番が特定の人に偏っていないか、人数に対して回数が多いのかは、数字にすると見えてきます。
間隔。呼ばれて夜に動いた日の翌朝の勤務や、連続した当番のあいだの休みを書きます。日本看護協会は、勤務と勤務の間隔を11時間以上あけることを提案しています(2013年のガイドライン。法律ではなく目安)。勤務間インターバルは、労働時間等設定改善法2条1項で、事業主の努力義務とされています。待機の時間が、間隔の数え方にどう入るかは、職場の運用で変わるため、自分の実態を数字で出して相談します。
手当と記録。オンコールの手当や、呼ばれて出動したときの賃金が、就業規則や賃金規程にどう書かれているかを確認します。常時10人以上の労働者を使用する職場では、賃金や、始業・終業の時刻、休日などが、就業規則に記載する項目とされています(労働基準法89条)。就業規則は、見られる状態にしておく周知の義務もあります(106条)。見られないときは、総合労働相談コーナーに聞けます。
呼ばれた時刻、現場への到着や対応の開始・終了の時刻、内容は、その日のうちにメモに残します。毎回の記録は、記録ノートにも書けます。あとから数えるときに、記録がある人とない人では、話の進み方が違ってきます。
当番の回数に、人によって差が出ているように見えます。月ごとの回数を一覧にしてきたので、分け方を見直せないか、相談させてください。
回数の偏りを、数字で伝える例
話しても動かないとき。選択肢を、順番に並べる
分け方を伝えても、「人がいないから」で止まることがあります。そのときの選択肢を、負担の軽いほうから並べます。
- 当番の頻度を下げる相談:回数の偏りを数字で示し、期間を区切って頼む
- 待機の条件を変える相談:外出の制限や、到着までの時間が、実際に必要なのかを確かめる
- 別の部署や勤務形態への異動の相談:オンコールのない部署があるかを聞く
- 職場の外の相談:総合労働相談コーナーは、平日の日中、無料・予約不要で、専門の相談員が面談または電話で対応するとされています。夜間・休日は、労働条件相談の「ほっとライン」があります
- 働く場所を変える:オンコールの有無や回数は、職場ごとに違い、求人票だけでは分からないことがあるため、見学で聞く
雇用契約や労働条件通知書に、オンコールの定めがあるかも確かめます。労働契約法3条は、労働契約は、労働者と使用者の対等な立場での合意に基づいて、締結し、変更すべきものとしています。合意なく一方的に変えられるかどうかは、個別の事情で変わるため、迷ったら総合労働相談コーナーで聞けます。
働く場所を変えることは、選択肢の一つです。オンコールの有無や頻度は、見学や面接で聞かないと分からないことがある項目です。聞き方は、転職で失敗しないために、入職前に確かめておきたいことにまとめています。訪問看護のオンコールは、訪問看護のオンコールでも扱っています。シフトの希望が通らない悩みは、シフトの希望が通らないとき、伝え方の工夫に、文例を並べました。
待つ時間も、ちゃんと疲れる時間だよね。
数字にして、一つだけ伝える。それだけで、十分な一歩だよ。
よくある質問
オンコールの待機中は、給料が出ないのですか?
待機そのものが労働時間になるかは、呼び出しの頻度・到着までの時間・待機中の制限などで、個別に判断されます。呼ばれて対応した時間が、勤務の記録や賃金の対象になっているかを、就業規則や賃金規程で確かめてください。
オンコールを断ることはできますか?
契約書や労働条件通知書、就業規則に定めがあるかで変わります。労働契約法3条は、労働契約は合意に基づいて変更すべきものとしています。個別の判断は、総合労働相談コーナーに聞けます。
オンコールと宿日直は、同じものですか?
別のものです。宿日直は、通常の勤務から完全に解放された後の、軽度または短時間の業務に限り、労働基準監督署の許可を受けて行うものです。自分の待機がどちらかは、勤め先に確かめてください。
出典・参考(公的な情報)
- 「医師の働き方改革に関するQ&A」等について(令和6年7月23日 事務連絡)(厚生労働省)
- 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(大阪労働局(厚生労働省))
- 医師、看護師等の宿日直許可基準について(令和元年7月1日 基発0701第8号)(厚生労働省)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 割増賃金について(兵庫労働局(厚生労働省))
- 労働契約法 第3条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法 第2条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン(2013年)(公益社団法人 日本看護協会)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 労働条件相談ほっとライン(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。