妊娠・産休・育休
切迫早産・流産のときの休み方。看護師が確かめたい制度と窓口
更新 2026年10月23日読むのに約6分
切迫早産や流産のあとは、体も気持ちも、休む時間が要ります。休み方の4つの道と、確かめる順番に絞って、頭が働くときに少しずつ読めるように、制度を整理します。
体も心も、いまは休む時間が要るよね。
読めるところだけ、読んでいけば、それでいいからね。
休むための道は、4つある
切迫流産・切迫早産の療養で休むとき、どの制度で休むかは、1つに決まっていません。次の4つが考えられ、使えるものは、会社の就業規則と医師の指示によって決まります。
- 医師の指導にもとづく休業(母性健康管理措置)。母健連絡カードの標準の措置に、休業(入院加療・自宅療養)があります
- 傷病手当金(健康保険)。療養のため働けない期間に支給される給付です。妊娠にかかわる症状が対象になるかは、下の注意を読んでください
- 産前休業(労働基準法65条1項)。6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産する予定の女性が請求した場合の制度で、それより前の療養には使えません
- 年次有給休暇・私傷病休暇。会社の制度として、休む方法です
母性健康管理の休業は、私傷病休暇で対応してもよいとされています。休業中の賃金が有給か無給かは、法律で決まっていません。妊娠・出産等を理由とする休業に、一定期間休むと退職になる定めをあてはめることは、退職の強要にあたると、厚生労働省は説明しています。
- 受診して指示を聞く休む期間の見通し
- 休み方を会社と決める休暇の種類・書類
- 書類を出す診断書・申請書
- 休みの間の連絡短く、決まったことだけ
連絡は、短くていいよ。決まったことだけ、伝えよう。
流産・死産のあとの休みと、手当
労働基準法の産後休業の対象になる「出産」は、妊娠4か月以上の分娩のことで、生産だけでなく、死産や流産も含まれます。厚生労働省のパンフレットは、妊娠4か月以降の流産・死産は産後休業(原則8週間)の対象で、事業主は就業させてはならないと説明しています。産後8週間は、本人の請求がなくても就業させられない期間です(産後6週間を過ぎて本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務は例外です)。
妊娠の週数を問わず、流産・死産(人工妊娠中絶を含む)の後1年以内であれば、母性健康管理措置の対象です。パンフレットは、流産・死産により、身体的にも精神的にも配慮が必要な場合があるとして、会社は本人の意向や体調を確認し、必要に応じて主治医の助言を得て対応する、と書いています。
お金の面では、協会けんぽの説明で、妊娠4か月以降(85日以降)の早産・死産・人工妊娠中絶も、出産育児一時金・出産手当金の対象になっています。
- 出産手当金:出産の日以前42日(多胎は98日)から出産の日の翌日以後56日までの間で、会社を休み、給与の支払いを受けなかった期間が対象です。日額は、標準報酬月額の平均の30分の1の3分の2です。傷病手当金とは同時に受けられず、傷病手当金の額が多いときは、その差額が傷病手当金として支給されます
- 出産育児一時金:協会けんぽの説明では、2023年4月以降の出産で、産科医療補償制度に加入している医療機関の22週以降の出産が1児につき50万円、22週に達しなかった場合は1児につき48.8万円です。2026年6月に、出産費用の自己負担をなくす方向の健康保険法等の改正法(令和8年法律第31号)が公布されましたが、施行日は政令で決まるため未定で、それまでは出産育児一時金の仕組みが続きます
これらは協会けんぽの加入者向けの説明です。健康保険組合・共済・国民健康保険は、加入先によって細目が違うため、加入先に確かめます。出産手当金は、勤め先を退職するときに受けられるかどうかが、退職日の出勤の有無で変わる場合があります。退職を考えるときは、妊娠中の退職の進め方も読んでみてください。
ここで、いったん休もう。続きは、あとからでもいいからね。
休んだことで、不利益な扱いを受けないために
妊娠や出産に起因する症状(つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全など)で、労務の提供ができないことや、労働能率が低下したことを理由とする不利益取扱いは、禁止されています。男女雇用機会均等法9条は、妊娠中・出産後1年を経過しない女性労働者への解雇は無効とし、事業主が妊娠・出産等を理由とする解雇でないことを証明したときは除く、と定めています。産前産後の休業の期間と、その後30日間は、労働基準法19条で解雇が禁止されています。
妊娠・出産等の事由を「契機として」不利益な取扱いをした場合は、原則として違法と解される、と厚生労働省は説明しています。「契機として」は、原則として、事由が終わってから1年以内に不利益な取扱いがされた場合を指します。ただし、例外や事実関係によって結論が変わります。個別の判断は、窓口で確かめます。
退職を勧められたり、正社員からパートへの変更を持ちかけられたりしたとき、退職や正社員からパート等への変更の強要は、不利益な取扱いの例として、厚生労働省のパンフレットに挙がっています。育児・介護休業法のあらましでは、表面上の同意があっても本人の真意に基づかないと認められる場合は不利益取扱いにあたると説明されています。退職届や同意書を出す前に、窓口に相談できます。
会社に伝える順番と、相談先
会社への最初の連絡は、休む必要があること、休む期間の見通し、医師の指示で出せる書類(診断書など)があること、の3つが伝われば、足りることが多いです。診断書や出産予定日証明書の提出を求められることはありますが、母子健康手帳を開示させることは、プライバシー保護の面から好ましくないと、厚生労働省は説明しています。連絡の相手は、直属の上司か、人事です。詳しい事情をどこまで話すかは、本人が決められます。
主治医から、しばらく自宅で療養するよう言われました。休み方(休暇の種類)を相談したいので、時間をいただけますか。
上司に連絡する例。理由は、言える範囲だけで足ります
相談先は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)と、総合労働相談コーナーです。妊娠・出産を理由とする扱いの相談は、雇用環境・均等部(室)が受け持っています。どちらも無料で、窓口の選び方は労働相談の窓口の選び方にまとめています。妊娠中の勤務の配慮の全体は妊娠中の勤務の調整の仕組みにあります。気持ちがつらいときは、つらいときの窓口にも話せます。
声に出して話したくなったら、窓口に電話してもいいんだよ。
今日は、読めたところまでで、じゅうぶんだよ。
よくある質問
切迫早産で休むとき、傷病手当金は出ますか?
医師から仕事に就けないとされ、連続3日間の待期のあとも休み、給与が出ないときは、支給される可能性があります。申請書の医師の証明欄に、仕事に就けない期間を書いてもらいます。最終的な判断は加入先の保険者の審査です。
流産のあとも、会社を休めますか?
妊娠4か月以降の流産・死産は、労働基準法の産後休業(原則8週間)の対象で、事業主は就業させてはならないと、厚生労働省が説明しています。週数を問わず、後1年以内は母性健康管理措置の対象です。
休んだことを理由に、退職を勧められたらどうなりますか?
妊娠中・出産後1年以内の解雇は、事業主が妊娠・出産等を理由としないことを証明しない限り無効です。退職の勧めに同意する前に、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などに相談できます。
出典・参考(公的な情報)
- 働く女性の母性健康管理のために(令和8年1月)(都道府県労働局(厚生労働省))
- 男女雇用機会均等法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法 第19条・第64条の3・第65条・第66条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 健康保険法 第99条・第102条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 傷病手当金(支給要件・待期)(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 妊娠・出産に関する社会保険(専門家コラム。平成25年8月1日現在の法律にもとづくアーカイブ)(働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省))
- 出産手当金(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 出産育児一時金(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)の概要(厚生労働省)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。