労働相談の窓口
看護師の労働相談の窓口の選び方。労働基準監督署と労働局の違い
更新 2026年10月23日読むのに約7分
残業代が合わない、上司の言動がつらい、育休を言い出しにくい。困りごとの中身によって、話を聞いてくれる公的な窓口は分かれています。この記事では、相談の中身から窓口を選ぶ早見表と、出かける前にそろえる記録、院内の窓口との順番をまとめます。
相談したい気持ちはあるのに、電話番号を探すところで迷子になること、あるよね。
まずは困りごとの中身を一つ決めて、表で窓口を探してみよう。
相談の中身で、窓口を選ぶ早見表
労働相談の公的な窓口は、大きく分けて、労働基準監督署(労基署)と、都道府県労働局の中の部署です。労働局には、分野を問わず受け付ける総合労働相談コーナーと、ハラスメントや育児休業を扱う雇用環境・均等部(室)があります。合わない内容なら担当の窓口へ案内されますが、最初に近い窓口を選ぶと、話が早く進みやすくなります。
| 相談の中身 | 窓口 | 受付 |
|---|---|---|
| 残業代・休憩・有給・夜勤の時間 | 労働基準監督署/総合労働相談コーナー | 平日の日中(時間は署・コーナーごとに違う) |
| 解雇・雇止め・配置転換・賃金の引下げ | 総合労働相談コーナー | 平日の日中。予約不要・無料 |
| パワハラ・セクハラ・マタハラ・カスハラ | 労働局 雇用環境・均等部(室)/総合労働相談コーナー | 均等部(室)は平日8時30分〜17時15分 |
| 育児休業・介護休業 | 労働局 雇用環境・均等部(室) | 平日8時30分〜17時15分 |
| 夜間・休日に、残業や賃金の相談 | 労働条件相談ほっとライン 0120-811-610 | 月〜金17〜22時、土日祝9〜21時 |
| 労災の請求・手続き | 労働基準監督署/労災保険相談ダイヤル 0570-006031 | ダイヤルは平日8時30分〜17時15分(通話料あり) |
| 眠れない・気持ちがつらい | こころの耳 0120-565-455 など | 平日17〜22時、土日10〜16時 |
休みの日や受付時間は、窓口ごとに違います。出かける前・電話の前に、各窓口のページで確かめてください。
迷ったら、総合労働相談コーナーに聞けば、担当を教えてもらえるよ。
総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局や全国の労働基準監督署の中など、378か所にあります。解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせ、パワハラなどを受け付け、専門の相談員が面談か電話で対応します。開いている時間はコーナーごとに違い、9時〜17時のところも、9時30分〜16時30分のところもあります。土日祝日と年末年始(12月29日〜1月3日)は閉まっています。
ハラスメントと、育児・介護休業の相談は、雇用環境・均等部(室)の担当です。受付は8時30分〜17時15分(土日祝日・年末年始を除く)で、電話番号は都道府県ごとに違います。夜しか時間がとれない場合、ほっとラインが使えますが、対象は違法な時間外労働や賃金不払残業など、労働基準関係の問題です。ハラスメントの相談は、専門の窓口を案内するのが基本とされています。また、ほっとラインから事業場へ指導することはできません。
労災の請求は、労働基準監督署が窓口です。請求書の書き方など一般的な質問は、労災保険相談ダイヤルでも受け付けています。気持ちのつらさは、労働の窓口とは別の場所でも話せます。こころの耳の電話相談は、祝日・振替休日・年末年始(12月29日〜1月3日)が休みです。ほかの窓口はつらいときの窓口にまとめています。
電話の前に、そろえておく記録
厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、どの機関に相談するにしても、労働契約書、出退勤・残業の時間、給与明細書などの資料を持って行くと、担当者の理解を得やすく、話が早く進むことが期待できると説明しています。看護師の場合は、勤務表(シフト表)と、実際に病棟を出た時刻の差が、話の中心になりやすいところです。
ハラスメントの記録は、言葉をできるだけそのまま書き、自分の受け止めは別の行に分けると、相談員に伝わりやすくなります。一方で、患者さんの名前や病状が載った書類は、持ち出したり写真に撮ったりしないようにします。記録の残し方は、パワハラの相談の進め方や、サービス残業の記録のつけ方で詳しく扱っています。
記録は、きれいにまとまってなくても役に立つよ。日付と時刻があれば、それだけで材料になるからね。
総合労働相談コーナーと労働基準監督署は、何が違うか
総合労働相談コーナーは、個別労働紛争解決制度の入口です。この制度には、相談・情報提供のほか、都道府県労働局長による助言・指導と、紛争調整委員会によるあっせんがあります。助言・指導は、問題点を示して、当事者どうしの解決を促すものです。あっせんは、弁護士や社会保険労務士などの委員が間に入り、原則として双方が別の部屋で、個別に話を聞く手続きです。
あっせんへの参加は任意で、会社が参加しなければ打ち切りになります。あっせん案の受け入れも強制されません。話し合いのきっかけにはなりますが、解決が約束される手続きではない、と考えておくと、期待と結果の差が小さくなります。なお、パワハラ・セクハラ・マタハラ(現行の条文ではカスハラも)の防止措置をめぐる争いは、雇用環境・均等部(室)の援助(助言・指導・勧告)と調停という、別の枠組みで扱われます。どちらになるかは窓口で案内されます。
労働局(総合労働相談コーナー)
相談・助言・指導・あっせんで、話し合いによる解決を後押しする窓口。労働基準法の違反の疑いがあれば、労基署へ取り次ぐ。
労働基準監督署
労働基準法などの違反を扱う役所。サービス残業などの申告を受けて、労働基準監督官が会社に改善を求める。
労働基準法104条は、事業場に違反があれば、労働者は労働基準監督署や監督官に申告できると定め、申告を理由とした解雇などの不利益な取扱いを禁じています。厚生労働省は、割増賃金が払われないサービス残業などは、申告すれば監督官が直接会社に改善を求めると説明しています。相談は話を聞いてもらうこと、申告は違反を伝えて対応を求めること、と分けて考えると選びやすくなります。
名前を出したくない場合、ほっとラインは匿名で相談できます。厚生労働省のハラスメントのページも、雇用環境・均等部(室)と総合労働相談コーナーについて、匿名でもよく、プライバシーは守られ、相談は無料と案内しています。会社への申告やあっせんに進むときに名前がどう扱われるかは、相談の段階で窓口に聞いておくと安心です。解雇の相談は解雇を言われたときの確認、有給は有給が取れないときも参考になります。
院内の窓口と、外の窓口の順番
外に相談する前に、院内でできることもあります。日本看護協会は、ハラスメントについて、まず職場にある相談窓口に相談し、難しい場合は外部の窓口を使う、という順番を案内しています。ハラスメントの相談窓口は、事業主が設けることを義務づけられています。厚生労働省も、会社で対応してもらえない場合や、社外で相談したいときは労働局へ、としています。院内を飛ばして外へ行く選択も、閉ざされてはいません。
- 記録をつける日付・時刻・勤務表・明細
- 就業規則を読む時間・休暇・手当の決まり
- 院内の窓口ハラスメント窓口・人事・労働組合
- 外の窓口労基署・労働局・ほっとライン
院内で言いにくいときは、外の窓口から始めてもいいんだよ。
就業規則は、常時10人以上を使用する事業場では作成と届出が必要で(労働基準法89条)、労働者への周知も求められています(106条)。勤務時間や手当の決まりを先に読んでおくと、外の窓口でも「規則ではこうなっている」と話せます。院内に労働組合があれば、労働組合法6条により、組合は組合員のために使用者と交渉する権限を持ちます。ただし、公立病院で働く地方公務員には、地方公務員法58条1項により労働組合法が適用されないため、この段落は民間の病院を前提にしています(企業職員は扱いが異なります)。
公立病院の場合と、弁護士に頼む場合
公立病院で働く地方公務員には、別の決まりがあります。地方公務員法46条は、給与や勤務時間などの勤務条件について、人事委員会か公平委員会に、適当な措置を求められると定めています。一方、同法58条5項は、勤務条件に関する労働基準監督の権限を原則として人事委員会などに置きつつ、病院のような保健衛生の事業(労働基準法の別表第一第13号)に従事する職員を、その例外としています。病院で働く職員の勤務条件には、人事委員会ではなく、労働基準監督署などの監督が及ぶ形だと読めます。
会社に請求したい金額がはっきりしている、裁判も考えている、という段階では、弁護士への相談が選択肢に入ります。法テラス(日本司法支援センター)は、国が設立した法的トラブルの総合案内所で、解決に役立つ法制度や相談窓口を案内しています(サポートダイヤル 0570-078374)。一定の収入等の基準を満たす人には、弁護士や司法書士との無料相談も行っています。受付時間や基準は、法テラスのページで確かめてください。
窓口が一つ決まれば、今日の分はもう十分進んでいるよ。
受話器を取る前に、いちばん聞きたいことをメモの先頭に置いておこうね。
よくある質問
労働基準監督署に相談したことは、職場に知られますか?
労働基準法104条は、申告を理由とした解雇などの不利益な取扱いを禁じています。名前の扱いは、相談の段階で窓口に確かめてから、申告に進むかを決められます。
看護師の労働相談は、匿名でもできますか?
ほっとラインは匿名で相談できます。厚生労働省は、雇用環境・均等部(室)と総合労働相談コーナーのハラスメントの相談も、匿名でよいと案内しています。
夜勤明けや夜しか電話できないときは、どこに相談しますか?
残業代や賃金など労働基準関係の相談なら、ほっとライン(0120-811-610、月〜金17〜22時、土日祝9〜21時、12月29日〜1月3日は休止)が使えます。ハラスメントは専門の窓口を案内されるのが基本なので、平日の日中に雇用環境・均等部(室)へ電話できる日を探します。
出典・参考(公的な情報)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 個別労働紛争解決制度(労働相談、助言・指導、あっせん)(厚生労働省)
- 労働条件相談「ほっとライン」(厚生労働省)
- 時間外・休日労働と割増賃金(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 労働基準法 第89条・第104条・第106条・別表第一(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 職場におけるハラスメントの防止のために(厚生労働省)
- 職場でのトラブル解決の援助を求める方へ(厚生労働省)
- 雇用環境・均等部(室)の所在地と受付時間(パンフレット No.8、令和8年3月作成)(厚生労働省・都道府県労働局)
- 労災保険相談ダイヤル(厚生労働省)
- こころの耳 電話相談(こころの耳(厚生労働省))
- 看護現場におけるハラスメント対策(公益社団法人 日本看護協会)
- 労働組合法 第6条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 地方公務員法 第46条・第58条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 地方公営企業法 第2条・第39条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 法務省だより あかれんが vol.82(法テラスの紹介)(法務省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
つぎに読む
この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。