休職か退職か
看護師が適応障害で悩むとき。休職か退職かを決める前の整理
更新 2026年10月23日読むのに約7分
休むか辞めるかを決められない夜は、決める前に整理できることがいくつかあります。この記事は診断や助言ではなく、制度と窓口を並べて、考える材料にするためのものです。
休むのも、辞めるのも、どっちも怖いよね。
いまは決めなくていいから、材料だけ、いっしょに並べてみよう。
決める前に、話せる窓口と受診の入口を置く
つらさが強いときは、休むか辞めるかの前に、話せる場所を先に確保します。気持ちや眠れなさを聞いてもらえる窓口は、次のとおりです。
- 働く人の「こころの耳電話相談」(厚生労働省):0120-565-455(フリーダイヤル)。平日17時〜22時、土日10時〜16時(祝日・振替休日と、12月29日〜1月3日は受け付けていない)
- よりそいホットライン:0120-279-338(フリーダイヤル)。24時間
- #いのちSOS:0120-061-338(フリーダイヤル)。24時間365日
番号と受付時間は変わることがあります。こころの耳は、別の番号に誤ってかける事例があるとして番号の確認を呼びかけていて、発信者番号を非通知にした電話は受けない、とも案内しています。かける前に、公式ページで確かめてください。ほかの相談先は、つらいときの窓口にまとめています。
適応障害について、こころの耳は、環境の変化によるストレスが個人の順応力を越えたときに生じる、情緒面や行動面の不調と説明しています。うつ病など他の診断がつくには至っていない状態とされ、環境調整や、個人の順応力を高めることが回復に重要とされています。診断は医師が行うもので、この記事では、病名の判断も、治療も扱いません。意味や受診の目安は適応障害の基礎知識にあります。
受診の目安として、こころの情報サイトのうつ病のページは、気分の落ち込みや、日常生活への大きな支障が続く場合は、自己判断せず、総合病院の精神科、心療内科、精神科クリニックなどに相談するよう案内しています。かかりつけの内科や、保健所・精神保健福祉センターも使える、とあります。
- 話す・受診する窓口や医療機関
- 就業規則を見る休職・退職の定め
- お金を確かめる傷病手当金など
- 職場に伝える順番と内容を決めて
- 急がず決める眠れた日に考える
順番に見るだけでいいよ。いっぺんにやらなくていいからね。
ここまで並べたら、いったん肩の力を抜こうね。
休職か退職か。分かれ目になる3つの問い
休職か退職かは、気持ちの強さだけで決めると、あとで迷いが残りやすくなります。次の3つの問いに、紙の上で答えてみると、どちらが自分の状況に近いかが見えてきます。
- つらさの元は、いまの職場の中にあるか:特定の部署や人間関係、夜勤など、職場の中の条件が重さの中心なら、休んで環境を変えれば戻れる余地がある。看護の仕事そのものが重いなら、退職や働き方の変更も視野に入る
- 戻る場所は残っているか:休職中に異動を相談できるか、復職のときに部署や勤務を変えられるか。就業規則と、上司や人事の答えで確かめる
- 生活費の見通しは立つか:休職中の傷病手当金、退職後の継続給付、家族の収入。どれが使えるかで、急いで決める必要があるかが変わる
休職という制度は、法律ではなく就業規則で決まります。休職できる期間、休職中の賃金、復職の条件、期間満了後の扱いは、勤務先の規則を読まないと分かりません。期間が満了しても戻れないときは、自然退職や解雇となる場合もある、と山梨県労働委員会事務局の労働相談Q&Aは説明しています。休職の流れと話す順番は、看護師が休職を考えたときにまとめています。
職場に伝えるときは、病名や経緯を全部話す必要はありません。医師の診断書がある場合は、休む期間と、勤務上の配慮が要ることを中心に伝えます。伝える文の例を挙げます。
- 休職を相談するとき:「医師から、しばらく休むよう言われています。診断書をお持ちしました。休職の手続きを教えてください」
- 退職を伝えるとき:「体調のことで、続けるのが難しくなりました。○月○日付で退職したいと考えています」
- 話すのがつらいとき:「体調が悪く、うまく話せないかもしれません。要点を書いたメモをお渡しします」
お金。退職したあとの傷病手当金と、失業給付
休職中の収入の手がかりは、健康保険の傷病手当金です。条件や金額、申請の流れは傷病手当金のページにまとめているので、ここでは、退職を選んだときに分かれ目になる点だけを書きます。
休職する場合
雇用は続き、就労義務が免除される扱いです。期間や賃金は、就業規則によります。傷病手当金は、在職中の被保険者として請求します。
退職する場合
雇用が終わります。傷病手当金は、条件を満たせば継続して受けられます。保険は、任意継続・国保・家族の扶養のどれかに切り替えます。
退職後も傷病手当金を受けるには、条件があります。資格喪失日の前日までに、継続して1年以上、健康保険の被保険者であったこと。資格喪失のときに、傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていることです。退職日に出勤すると、退職の翌日以降の分は支給されません。一度働ける状態になってから、再び働けなくなった場合は、継続給付は受けられません。退職日の置き方を決める前に、保険者に確かめます。
失業給付(基本手当)は、働ける状態にあることが前提です。病気やけがで30日以上働けない場合は、受給期間を延長できる(最長3年)と案内されています。離職理由が、心身の障害や疾病などの正当な理由のある自己都合に当たると、特定理由離職者として扱われる場合があり、どちらに当たるかはハローワークが決めます。くわしくは失業保険の手続きの流れにあります。
立場ごとに、先に確かめるところ
同じ迷いでも、勤続の長さや生活の状況で、先に確かめる行が変わります。三つの場面を並べます。
- 1年目・新人(勤続1年未満):傷病手当金の退職後の継続給付は、継続して1年以上の加入が条件なので、満たさない場合があります。雇用保険の基本手当も、原則、離職前2年間に12か月以上の被保険者期間が要ります(離職理由によっては、1年間に6か月以上で足りる場合もあります)。年次有給休暇も、継続勤務6か月で10日が付与されるため、6か月に満たないうちは付与されません
- 数年目・在職が長い:就業規則の休職期間と、有給の残日数を確かめます。休職制度があるかどうかも、規則で決まります
- 家族の収入と生活費を考える:休職中や退職後の保険(任意継続・国保・家族の扶養)で、月々の負担が変わります。退職後の健康保険で、条件を見比べられます
新人の場合は、先に、保険者とハローワークに、自分の加入期間を確かめます。転職をはさんでいる場合の数え方は、保険者に確かめます。「新人だから休めない」と決める前に、書類で確かめる段階を踏みます。
退職を選ぶ場合の準備は、引き止められたときの備えを退職の引き止めに、言い出す元気が出ないときの方法を退職代行の前に確かめることに置きました。先に読んでおくだけでも、気持ちが少し楽になることがあります。
決める日は、眠れた朝のほうがいいかもしれないよ。
日々のメモは、現在地ログに1行ずつ残せます。診断のためではなく、あとで窓口や職場と話すときに、日付つきで出せる材料になります。
答えが出ない日があっても、そのままでいいんだよ。
窓口も、ここも、いつでも開いてるからね。
よくある質問
適応障害のとき、休職と退職のどちらがよいですか?
分かれ目は、つらさの元が今の職場の中にあるか、戻る場所が残っているか、生活費の見通しが立つか、の3つです。職場の条件が重さの中心なら、休んで環境を変える道が残ります。医師の意見と、就業規則の休職の決まりを並べて考えてください。
新人でも、傷病手当金はもらえますか?
条文には、勤続の長さの条件は出てきません。働けるかどうかなどの条件を満たせば、対象になりえます。ただし、退職後の継続給付は、継続して1年以上の加入が条件です。保険者に確かめてください。
休職したら、解雇されませんか?
休職しても解雇されない、とは言えません。期間満了後の扱いは就業規則で決まり、回復しないと自然退職や解雇となることも考えられます。解雇が客観的に合理的な理由を欠くときは、無効になる場合があります(労働契約法16条)。
出典・参考(公的な情報)
- こころの病気 解説(こころの耳(厚生労働省))
- うつ病(こころの情報サイト)(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
- 労働相談Q&Aで解決! 解雇②(休職・退職勧奨)(山梨県労働委員会事務局)
- 職場復帰支援(心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き)(こころの耳(厚生労働省))
- 労働基準法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働契約法 第3条・第8条・第16条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 健康保険法 第36条・第99条・第104条・第108条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 傷病手当金(給付と手続き)(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)よくあるご質問(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 基本手当について(ハローワークインターネットサービス(厚生労働省))
- 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要(ハローワークインターネットサービス(厚生労働省))
- 働く人の「こころの耳電話相談」(こころの耳(厚生労働省))
- 電話相談窓口(まもろうよ こころ)(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。