退職後のお金・保険
看護師が退職前に済ませたい健康診断・通院と、記録と書類のそろえ方
更新 2026年10月23日読むのに約6分
辞める日が決まると、健康診断や通院を「あとでいいか」と先送りしがちです。この記事では、退職日までに確かめることを、健康診断・通院・書類の三つに分けて整理します。
辞める前に、病院に行っておきたいこと、ないかな。
気になっていることを、まず一つだけ書いてみよう。
保険証をいつまで使えるかが、通院の予定の土台になる
健康保険の被保険者の資格を失うのは、事業所に使用されなくなった日の翌日、つまり退職日の翌日です(健康保険法36条)。退職日までは、今の勤務先の健康保険で受診できます。そのあとは、任意継続・国民健康保険・家族の扶養のいずれかに切り替わり、手続きの期限は短めです。切り替えの全体像は、退職後の保険・年金・失業保険の手続きにまとめています。
そのため、通院や健康診断の予定は、退職日までの出勤日とあわせて組むと動きやすくなります。看護師は、夜勤明けや連続勤務で、平日の日中に病院へ行く余裕がとりにくい職種です。引き継ぎが始まって忙しくなる前に、予約だけでも入れておくと、ぎりぎりの日に集中するのを避けられます。
退職前に確かめたいことは、性質の違う三つがあります。会社が行う定期の健康診断、気になる症状の通院、病気やけがで働けないときの給付に関わる通院です。混ぜて考えると、どこから手をつけるかが分からなくなるので、分けて見ていきます。
定期の健康診断は、結果の控えを手元に残す
事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、医師による健康診断を行います(労働安全衛生規則44条)。深夜業を含む業務に常時従事する労働者は、配置替えの際と、6か月以内ごとに1回の健康診断の対象です(同45条。胸部エックス線検査は1年以内ごとに1回で足ります)。夜勤のある看護師は、この対象になる場合があります(「常時従事」に当たるかは、勤務先に確かめます)。
退職の時期に、会社の定期健診の時期が重なるときは、退職前に受けておくか、すでに受けた結果が手元にあるかを確かめます。辞めたあとに、前の勤務先へ結果の控えを頼むのは、気が重く感じる人もいるためです。在職中に、直近の結果の写しをもらっておくと、あとで自分の健康管理や、次の勤務先に聞かれたときの材料になります。
退職後も自分の健康管理に使いたいので、直近の健康診断の結果の写しを、いただけますか。
結果の写しを頼むときの言い方の例
退職後の健診は、加入する保険によって案内の出し方が違います。国民健康保険、任意継続、家族の保険のどれに入るかが決まったら、保険証が届いたあとに、その保険の案内を確かめます。次の勤務先が決まっている場合は、入職の前に直近の健診結果を求められるかどうかを、内定先に聞いておくと、二度手間を避けられます。この記事では、退職後の特定健診などの細かい制度は扱いません。
- 症状を書くいつから・どんな時に
- 受診する退職日までは今の保険証
- 仕事の状況を伝える夜勤・立ち仕事など
- 日付と内容を残す領収書も一緒に
記録は、あとで自分を助けてくれるよ。
働けるかどうかの判断は、ニャンスには決められないんだ。
気になるときは、お医者さんに聞いてみようね。
通院が、傷病手当金の条件に重なるとき
病気やけがで仕事を休むときの健康保険の給付が、傷病手当金です。以下は協会けんぽの案内に沿った説明で、健康保険組合や共済では、条件や額が違うことがあります。協会けんぽの案内では、条件は四つあります。業務外の病気・けがの療養のための休業であること、仕事に就けないこと(仕事の内容を考慮して、療養担当者の意見などを基に判断)、連続する3日間の待期を含めて4日以上仕事に就けなかったこと、休業期間に給与の支払いがない(または傷病手当金より少ない)ことです。待期の3日には、有給休暇や土日祝の公休日も含まれます。仕事が原因の病気・けがは、労災という別の制度で、傷病手当金の対象外です。
退職したあとも、条件を満たせば続けて受けられることがあります(健康保険法104条)。協会けんぽのよくあるご質問では、資格を失う日の前日までに、被保険者期間(任意継続・共済組合・国保の期間を除く)が継続して1年以上あること、資格を失うときに傷病手当金を受けているか、受ける条件を満たしていること、が条件です。そして、退職日に出勤すると、この条件を満たさなくなり、退職日の翌日以降の傷病手当金は支払えない、と案内されています。
- 被保険者期間継続して1年以上あるか
- 退職日の状態受けている、または受ける条件を満たす
- 退職日は出勤しない出勤すると条件を外れる
退職日に出勤するかどうかが、分かれ目になるよ。
もう一つ、見落としやすい点があります。任意継続被保険者になってから発生した病気やけがは、傷病手当金の対象外です。また、一度仕事に就ける状態になったあとに、再び仕事に就けなくなっても、継続給付は受けられません。条件の細部と申請の流れは、傷病手当金の条件と手続きに書いています。この記事では、通院と退職日を並べて考える入口までにとどめます。
傷病手当金の申請書は、本人・事業主・医師が記入します。事業主が給与の支払い状況を証明する形のため、退職後に頼むことになる場合に備えて、会社の誰に頼めばよいか、いつまでに出せるかを、退職前に確かめておくと安心です。医師には、診察のときに、仕事の内容(夜勤の有無、立ち仕事の多さ、患者さんの対応など)を伝えます。働けるかどうかは、医師などの意見を基に保険者が判断するため、自分だけでは決めません。
書類は、通院の記録と、退職後に使うものに分ける
通院に関する記録は、日付、受診した医療機関、診察の内容のメモ、休んだ日、領収書を、ひとまとめにしておきます。自費診療や自宅療養でも、仕事に就けないことの証明があれば傷病手当金の対象になる、と協会けんぽは案内しています。何をどこまで残すかは、あとで制度に当たるかどうかで変わるため、迷ったら残す側に倒しておきます。
退職後に使う書類は、別のまとまりです。国民健康保険に入るときの資格喪失の書類、国民年金の手続きのための基礎年金番号を確認できるもの、離職票などがあります。源泉徴収票は、年の途中で退職した場合、退職の日以後1か月以内に交付されます(所得税法226条)。それぞれの役割は退職のときにもらう書類と役割にまとめました。
退職日までに何が残っているかは、準備ツールで書き出せます。体調がつらくて辞めるか迷っている段階なら、体調がつらいときの、休職か退職かの整理も先に読めます。
病院に行くのは、自分の体を大事にする時間だよ。
ゆっくり、整えながら進めようね。
よくある質問
退職前に、健康診断は受けたほうがよいですか?
会社の定期健診の時期が退職前に来る場合は、受けておくと、結果の控えを在職中にもらえます。次の勤務先に聞かれる場合もあるため、直近の結果が手元にあるかを確かめてください。
病気で休んでいるとき、退職日にあいさつで出勤してもよいですか?
退職日に出勤すると、傷病手当金の継続給付の条件を満たさなくなる、と協会けんぽが案内しています。出勤するかどうかは、事前に加入先の保険者へ確かめてください。
任意継続に入ったあとに病気になった場合は?
任意継続被保険者の期間中に発生した病気・けがは、傷病手当金の対象外です(健康保険法99条)。ほかに使える制度があるかは、市区町村や保険者の窓口で確かめてください。
出典・参考(公的な情報)
- 健康保険法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 傷病手当金|給付と手続き(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)よくあるご質問(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 労働安全衛生規則 第13条・第44条・第45条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 所得税法 第226条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 任意継続(給付と手続き)(全国健康保険協会(協会けんぽ))
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。