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看護師の有給が取れないとき。付与日数の表と、申請から相談までの動き方
更新 2026年10月23日読むのに約7分
有給が取れない理由は、人手の事情だけでなく、制度の理解のずれにもあります。この記事では、付与・請求・変更のルールを言葉の意味から確かめ、取りづらいときの動き方を順番に整理します。
休みたいって言うだけなのに、胸がどきどきすることって、あるよね。
年次有給休暇とは。付与される条件と、日数の見方
年次有給休暇(有給)は、労働基準法39条が定める休暇です。雇入れの日から6か月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に、10労働日が与えられます。そのあとは、継続勤務の年数に応じて日数が増えていきます。フルタイム(週5日以上、または週30時間以上)の人は、勤続6年6か月以上で年20日です。
| 勤続年数 | 週5日以上・週30時間以上 | 週4日 | 週3日 |
|---|---|---|---|
| 6か月 | 10日 | 7日 | 5日 |
| 1年6か月 | 11日 | 8日 | 6日 |
| 2年6か月 | 12日 | 9日 | 6日 |
| 3年6か月 | 14日 | 10日 | 8日 |
| 4年6か月 | 16日 | 12日 | 9日 |
| 5年6か月 | 18日 | 13日 | 10日 |
| 6年6か月以上 | 20日 | 15日 | 11日 |
出典:労働基準法39条、労働基準法施行規則24条の3。週4日・週3日は、週の所定労働時間が30時間未満の場合。週2日は3〜7日、週1日は1〜3日。
自分の勤続と、契約の週の日数の交わる所を見てね。
パートや週4日以下の勤務の人にも、有給はあります。週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下(年216日以下)の人は、労働基準法施行規則24条の3の表で、日数が決まります。「自分の付与日数は何日か」は、週の所定労働日数・勤続・出勤率で変わるため、勤め先の通知や就業規則で確かめます。
看護の職場で見落とされやすいのが、継続勤務の数え方です。継続勤務は在籍期間で、実質的に判断されます。たとえば、パートから常勤に切り替わった場合も、実質的に継続していれば通算される、とモデル就業規則の解説にあります。また、産前産後の休業、育児・介護休業、業務上の傷病による療養の期間は、出勤したものとして、出勤率を計算します。
言葉の意味が分かると、頼み方も、ちょっと軽くなるんだよ。
請求した時季と、時季変更権。「断られた」を分けて考える
有給は、原則として、働く人が請求した時季に与えられます(労働基準法39条5項)。ただし、請求された時季に与えることが「事業の正常な運営を妨げる」場合は、会社が、他の時季に変えることができます。これが時季変更権です。変えられるのは日であって、休みそのものを断る権利ではありません。
厚生労働省の説明では、「事業の正常な運営を妨げる」とは、年末など特に業務が忙しい時季を指定した場合や、同じ時期に多くの人の請求が重なって全員に与えるのが難しい場合などで、個別・具体的に客観的に判断されます。請求した時季や、分割・連続の日数は、原則として働く人が決めてよく、会社の承認は要らないという考え方も示されています。
看護の職場では、「人が足りないから取れない」と言われる場面があります。人手不足が、そのまま時季変更権の理由になるかは、個別に判断されます。代わりの人を配置できるのに配慮せずに変更することは許されないとした判例があります(弘前電報電話局事件)。そのため、「人が足りなければ取れない」とも、「請求すれば取れる」とも、言い切れません。
取得の理由についても、確かめておきます。厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、有給をどのような目的で取るかは働く人の自由で、会社は目的によって取得を拒むことはできない、と説明しています(白石営林署事件の最高裁判決・昭和48年も、時季は原則として働く人が決め、会社の承認は要らないとしています)。申請書に理由の欄があるときは、「私用のため」と一言書けば足ります。
年5日の義務・買い上げ・時効。誤解しやすい決まり
年10日以上の有給が付与される人には、会社が、基準日から1年以内に5日について、時季を定めて取得させる義務があります(労働基準法39条7項)。自分で請求して取った日数や、計画的付与で与えられた日数は、5日から差し引かれます。会社は、年次有給休暇管理簿を作って、3年間保存します。「取れない」と感じたときは、まず自分の付与日と残日数、管理簿の有無を、人事に確かめます。
買い上げについては、厚生労働省のモデル就業規則の解説が、事前に有給を買い上げて休暇を与えないことは法違反と書いています。鹿児島労働局のQ&Aは、金銭を支給しても休暇を与えたことにはならず、買い上げの予約で請求できる日数を減らすことはできないと説明しています。法定の日数を超える分は、この限りではありません。退職時に残った分の買い上げは、法律上の義務ではなく、就業規則などの定めによります。辞める前の使い方は辞めるときの有給の使い方で扱います。
時効もあります。有給の請求権は、2年で時効にかかると、厚生労働省の「確かめよう労働条件」は説明しています(労働基準法115条)。就業規則で翌年度への繰り越しを禁じても、年度が過ぎただけで権利は消えないとされ、前年の分は繰り越されます。
休むことで、不利益な扱いを受けない決まりもあります。労働基準法附則136条は、有給を取った人に、賃金の減額その他の不利益な取扱いをしないようにしなければならないと定めています。有給の日の賃金は、平均賃金、通常の賃金、労使協定があるときは標準報酬日額のいずれかで、就業規則などの定めに従って支払われます。
半日や時間単位で取れるかは、勤め先ごとに違います。時間単位の有給は、労使協定があるときに、年5日以内で取れます(39条4項)。半日単位は、法律上の義務ではなく、就業規則等に定めがあれば認められる、と厚生労働省は説明しています。計画的付与(労使協定で時季を決める方法)でも、5日分は、本人が自由に取れる日数として残ります(39条6項)。
取りづらいときの動き方:申請から相談まで
制度を確かめたら、動く順番を決めます。いきなり外部に相談する前に、職場の中でできることがいくつかあります。
- 日数を確かめる付与日と残日数
- 規則を読む申請方法・締切
- 早めに出す代わりの見通しを添える
- 断られたら理由と別の日を聞く
- 外へ相談労基署・相談コーナー
上から順に、できるところまででいいからね。
1番目は、付与日数と残日数の確認です。給与明細、勤怠の画面、管理簿のどれかで確かめ、見られなければ人事に聞きます。2番目は、就業規則で、申請の方法・締切・半日や時間単位の扱いを読みます。就業規則は、会社が働く人に周知する義務があります(労働基準法106条)。見られる状態にあるかを確かめて、見られないときは、労働基準監督署か総合労働相談コーナーに聞けます。
3番目は、希望日を早めに出すことです。代わりの人への引き継ぎの見通しを一言添えると、会社が、時季を変える必要があるかを、判断しやすくなります。
来月の○日に、年次有給休暇を請求します。この日の業務は、△さんと引き継ぎ内容を共有して、調整できる見通しです。ほかに調整が必要な点があれば、教えてください。
代わりの見通しを添える申請の例
4番目は、断られたときの確認です。日を変えてほしいという話なのか、休み自体を認めない話なのかを、聞いて、記録に残します。それでも動かないとき、5番目として、外部の窓口があります。労働基準法の違反の事実があるときは、働く人が、労働基準監督署に申告できます(104条)。申告したことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いは、禁止されています。
相談先の選び方(労働基準監督署・総合労働相談コーナー・夜間休日の電話相談の違い)は、労働相談の窓口の選び方にまとめています。休日が少ないときの考え方は休日が少ないときで、残業との関係は残業の扱いで整理しています。
申請の文面ができたら、あとは日付を入れて出すだけだよ。
よくある質問
看護師でも、有給は取れますか?
取れます。労働基準法39条は、6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に、10労働日の有給を与えると定めています。パートや週4日以下の人も、日数は変わりますが、対象です。
人手不足を理由に、有給を断られました。
会社が変えられるのは時季で、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。人手不足が当たるかは個別に判断されるため、日を変える提案なのか、休み自体を認めないのかを分けて聞き、記録を残して、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに確かめてください。
看護師が有給を取るとき、理由を言わないといけませんか?
厚生労働省は、有給をどのような目的で取るかは働く人の自由で、会社は目的によって取得を拒めないと説明しています。申請書に理由の欄があれば「私用のため」で足ります。人手の都合で日を変えてほしいと言われるのは、時季変更権の話で、理由とは別です。
出典・参考(公的な情報)
- 労働基準法 第34条・第35条・第39条・第104条・第106条・第115条・附則第136条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法施行規則 第24条の3・第24条の7(年次有給休暇の比例付与・管理簿)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 年次有給休暇(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 年次有給休暇をとる条件は?パート労働者でももらえますか?(確かめよう労働条件 Q&A)(厚生労働省)
- 年次有給休暇 Q8(年休の買上げ)(鹿児島労働局(厚生労働省))
- モデル就業規則(令和7年12月版)(厚生労働省 労働基準局監督課)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。