シフト・残業
看護師が休憩を取れないとき。労働時間の考え方と記録の残し方
更新 2026年10月23日読むのに約7分
休憩が取れない日が続くとき、休憩が与えられていないのか、取ったことになっているだけなのかで、考え方が変わります。この記事では、休憩の決まりと、労働時間としての見方を整理します。
気づいたら、休憩ゼロのまま日勤が終わってた。そんな日、あるよね。
休憩の決まりを、数字で確かめる
労働基準法34条は、労働時間が6時間を超えるときは少なくとも45分、8時間を超えるときは少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えるよう定めています。「超える」なので、ちょうど8時間なら45分です。休憩は、自由に利用させなければなりません。
休憩は一斉に与えるのが原則です。ただし、病者の治療、看護などの保健衛生の事業(労働基準法別表第一の第13号)には、労働基準法施行規則31条により、この一斉付与の決まりが適用されません。病院や診療所で交替しながら休憩を取ること自体は、決まりに反しません。外れるのは一斉付与だけで、休憩の長さと自由利用の決まりは残ります。
34条に違反した使用者は、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金の対象です(119条)。ただし、個別に違反があったかどうかは、労働基準監督署が判断します。ここでは、自分の勤務がこの数字とどう違うかを、落ち着いて見比べるための物差しとして使います。
「取れていない」を、2つに分ける
休憩が取れないという悩みには、実は別々の2つの状態が混ざっています。
- 休憩が与えられていない:勤務の途中に、休憩の時間がまったくない
- 休憩のはずの時間に呼び出しや電話対応があり、実質は仕事をしている
後者について、厚生労働省のQ&Aは、休憩時間は、労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければならないと説明しています。待機時間(手待時間)は休憩に含まれず、昼休み中の電話や来客の対応は業務とみなされて勤務時間に含まれる、昼当番で昼休みが費やされたときは別に休憩を与えなければならない、とも書かれています(質問は昼当番の例で、看護に限った文書ではありません)。
決め手は、「労働から離れることが保障されているか」です。ナースコールやPHSの対応を求められたまま休憩室にいる時間は、この保障がない状態にあたる可能性があります。記録のうえで「休憩済み」とされていても、実際には指示により業務をしていた時間は労働時間として扱う、と労働時間適正把握ガイドラインも定めています。
自由利用とは、休憩の間は、仕事から離れて好きに過ごせることです。休憩中にも記録や物品の確認を頼まれる、休憩室でも呼ばれるのを待ち続ける、という状態は、自由に利用できているとは言いにくくなります。休憩が長いか短いかより、その間、仕事から離れられていたかどうかを見ます。
- 休憩に入る座ったところ
- 呼ばれて中断コール・電話
- 戻っても再開できない次の仕事が来る
- 記録は「休憩済み」実際とずれる
一度ずれた記録は、あとから直しにくいんだよ。
回数と理由だけでも、メモがあると話が通りやすくなるよ。
取れなかった時間は、どう扱われるか
休憩として与えられず、実際には働いていた時間は、労働時間として数えられます。そのため、1日8時間・週40時間を超えれば、時間外労働の割増賃金の対象になります。これは、労働基準法32条・37条の決まりからそのまま導かれる扱いです。割増の率は、年末年始の記事の割増賃金の早見表で確かめられます。
休憩が取れない理由は、人によって、日によって違います。理由を分けておくと、相談する相手と、頼む中身が変わります。
- 欠員や人数の不足:勤務の組み方の問題なので、師長に、勤務表の見直しとして相談します。
- 急変や入院などの突発対応:毎日あるものではなく、起きた日と内容を記録して、頻度を示します。
- 特定の時刻への業務の集中:業務の順番や分担の問題なので、リーダーと、休憩の入れ方を相談します。
- 声をかけにくい雰囲気:個人の工夫で補いやすい部分です。戻る時刻を先に言う、休憩の順番を朝のうちに決める、といった方法があります。
休憩は、34条で「労働時間の途中に」与えるものと決まっています。勤務の終わりに早く帰る、別の日にまとめて休む、といった形は、この「途中に」を満たさないので、休憩を与えたことにはなりません。「取れなかった分は、帰りを早めて調整する」と言われたときは、その場で承諾せず、記録を残して窓口に確かめます。
休憩に限らず、残業として記録して伝えるやり方は、残業が多いときの記録と伝え方で扱います。始業前の準備が労働時間かどうかは、サービス残業の考え方に分けてあります。
夜勤の仮眠と休憩、記録の取り方
夜勤中の仮眠も、考え方は休憩と同じです。労働時間適正把握ガイドラインは、指示があれば即時に業務に従事することを求められ、労働から離れることが保障されていない待機(手待時間)を、労働時間に当たるとしています。最高裁判所も、ビル管理の仮眠時間について、仮眠室での待機と警報などへの対応が義務づけられていた時間は、労働から離れることが保障されておらず労働時間に当たると判断しました(大星ビル管理事件、平成14年2月28日)。仮眠中もナースコールやPHSに出ることを求められているなら、手待時間に当たりうる、ということです。実際にどう扱われるかは、勤務先の就業規則(休憩や仮眠の定め)と実態で決まるので、記録を持って窓口で確かめます。夜勤の回数や間隔の目安は、夜勤の回数の目安に、夜勤中の食事や仮眠の工夫は、夜勤中の食事の考え方にあります。
病院の夜間の宿日直(当直)は、通常の夜勤とは別の話です。宿日直の許可は、通常の勤務時間の拘束から完全に解放されたあとで、軽度又は短時間の業務に限る、といった条件を満たす場合に与えられるもので、看護師の通常の交替制の夜勤が対象になることはありません(厚生労働省の通達)。
休憩の途中でも対応が続く日が多く、休憩の取り方を相談させてください。1週間分の記録をつけてきました。
師長に切り出すときの一言
話し合っても変わらないときは、都道府県労働局や労働基準監督署内の総合労働相談コーナーに、記録を持って相談できます。相談は無料です。平日の日中に電話できないときは、労働条件相談ほっとライン(0120-811-610、平日17〜22時・土日祝9〜21時、12月29日〜1月3日は休止)が夜間・休日にも受け付けています。窓口の選び方は、労働相談の窓口の選び方にまとめました。
取れない日が続くのは、自分の段取りだけの問題じゃないよ。
まずは、記録をつけるところから、ひとつずつ。
よくある質問
休憩は、何時間働いたら取れますか?
労働基準法34条は、労働時間が6時間を超えるときは45分以上、8時間を超えるときは1時間以上と定めています。ちょうど8時間なら45分です。休憩は労働時間の途中に、自由に使える形で与える必要があります。
夜勤中の仮眠が取れないとき、労働時間になりますか?
仮眠中もコールやPHSへの対応を求められ、労働から離れることが保障されていないなら、手待時間として労働時間に当たりうる、というのがガイドラインと最高裁判決(大星ビル管理事件)の考え方です。仮眠に入った時刻、呼ばれた回数と内容を記録し、総合労働相談コーナーなどで確かめてください。
休憩中に呼ばれた時間は、勤務時間ですか?
厚生労働省のQ&Aは、休憩中の電話や来客の対応は業務とみなされ、勤務時間に含まれると説明しています。看護に限った文書ではありませんが、考え方の手がかりになります。
出典・参考(公的な情報)
- 労働基準法 第32・34・35・36・37・39・104・106・115・119条、附則136・143条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法施行規則 第31条(休憩の一斉付与の適用除外)(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 昼休みに電話や来客対応をする昼当番は勤務時間に含まれますか(労働基準法に関するQ&A)(厚生労働省)
- 労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(大阪労働局(厚生労働省))
- 最高裁判所第一小法廷 平成14年2月28日判決(大星ビル管理事件、平成9(オ)608)(裁判所)
- 医師、看護師等の宿日直許可基準について(令和元年7月1日基発0701第8号ほか)(厚生労働省)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 労働条件相談「ほっとライン」(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。