勤務のこと
看護師の年末年始・連休の勤務。休み方と、よくある誤解を確かめる
更新 2026年10月23日読むのに約6分
年末年始やGW、夏休みが近づくと、休めるのが当然なのか、働くのが当たり前なのか、分からなくなる人は少なくありません。法律が決めている休みと、職場が決めている休みを分けて、よくある誤解を一つずつ確かめます。
あれ、もう年末年始の勤務表を考える季節だね。
休みのことを、ひとつずつ確かめていこう。
誤解1:年末年始は、法律で休みと決まっている?
年末年始は休むもの、と思っている人もいますが、労働基準法は、何曜日を休日にするかも、国民の祝日を休日にするかも決めていません。厚生労働省のモデル就業規則の解説にも、そのように書かれています。東京労働局のQ&Aも、国民の祝日に関する法律は、会社に休日を付与する義務を課すものではなく、労基法の休日とも異なる、と説明しています。年末年始も同じで、法律が休日と定めた日ではありません。
法律が会社に求めているのは、労基法35条の、毎週少なくとも1回の休日を与えること、または、4週間を通じて4日以上の休日を与えること、の二つのどちらかです。4週4日の形をとる場合は、就業規則で、どの4週間かの起算日を明らかにすることになっています。東京労働局は、4週4日制は例外で、毎週1日の休日の確保が望ましい、とも説明しています。
入院や救急で年中動く病院では、年末年始にも勤務が入ります。年末年始に休めないこと自体は、法律の問題ではありません。確かめたいのは、この二つです。休日が、週1回(または4週4日)の枠で確保されているか。働いた分の割増賃金が、規則どおりに払われているか。
休日は、原則として午前0時から午後12時までの暦日で与えるものとされています。ただし、交替制で、就業規則等に定めがあり制度として運用されていて、各番方の交替が規則的に決まっている場合は、継続した24時間を与えれば差し支えない、という扱いがあります(モデル就業規則の解説)。看護の変則シフトや夜勤明けが、この扱いに当てはまるかは、個別に違います。就業規則と勤務の組み方を、職場で確かめてください。
休日が少ないと感じる悩み自体は、看護師の休日が少ないときで整理しています。ここでは、年末年始・連休に絞って進めます。
法定とか所定とか、言葉がややこしいよね。
誤解2:連休に出勤したら、全部が休日手当になる?
法律が言う「休日」には、法定休日と、それ以外の休日(所定休日)があります。法定休日は、労基法35条で与えることが義務づけられた休日です。法定休日に働くと、通常の賃金の3割5分以上の割増賃金を払うことになっています(政令)。会社が就業規則で休日と決めた日であっても、法定休日でなければ、この3割5分の対象とは限りません。
法定休日以外の休日に働いた場合の扱いは、厚生労働省の「確かめよう労働条件」のページには記載がありません。条文から読むと、その週の労働時間が週40時間を超えれば、超えた分は時間外労働として、2割5分以上の割増の対象になりうると考えられます。ただ、これは条文からの読み方なので、実際の扱いは、就業規則や賃金規程、給与明細で確かめます。
| 働き方 | 割増率の下限 | 読み方 |
|---|---|---|
| 時間外労働 | 2割5分以上 | 法定の労働時間を超えた分 |
| 深夜(午後10時〜午前5時) | 2割5分以上 | 夜勤の時間帯も当たる |
| 法定休日の労働 | 3割5分以上 | 法定休日でない休日は別 |
| 時間外が深夜に重なる | 合計5割 | 2割5分と2割5分を足す |
| 法定休日が深夜に重なる | 合計6割 | 3割5分と2割5分を足す |
| 月60時間を超える時間外 | 5割以上 | 中小企業は2023年4月から |
出典:労働基準法37条・政令、厚生労働省の説明。実際の扱いは就業規則・賃金規程と給与明細で確かめます。
率は下限だから、勤め先の規定も見てね。
もう一つ、年末年始に出勤した代わりの休みが、振替休日なのか代休なのかも、賃金に関わります。厚生労働省の説明では、事前に勤務日と休日を交換するのが振替休日で、休日労働にならず、休日の割増は要りません(振替先が翌週で週40時間を超えれば、その分は時間外の割増が必要)。出勤した後に代わりの休みを与えるのが代休で、休日労働になるため、休日の割増が必要です。
「休みを後で付け替えるから大丈夫」と言われても、決まった日に事前の通知があったのか、後から決まったのかで、賃金の扱いが違います。給与明細の割増の欄が空欄のときは、どちらの扱いなのかを、経理や事務に聞いてみます。
誤解3:夏休みやGWは、有給とは別にもらえる?
夏季休暇や年末年始休暇は、労基法が与えるよう定めた休暇ではありません。あるかないか、有給か無給かは、就業規則の定め次第です。休暇に関する事項は就業規則に書くことになっています(労基法89条)。夏休みがあるかどうかは、法律ではなく、職場の就業規則で確かめます。
特別休暇がなくても、年次有給休暇を使って連休をつなげる方法はあります。年休は、労働者が請求する時季に与えるのが原則で、会社が時季を変えられるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。厚生労働省は、特に業務が忙しい時季を指定する場合や、同じ時期に多くの人の請求が重なって全員には与えにくい場合などを例に、個別・具体的に判断される、と説明しています。
年末年始やGW、夏休みは、希望が重なりやすい時期です。「忙しいから」だけで断れるものではありませんが、「人が足りなければ取れない」「請求すれば確実に取れる」のどちらも言い切れない、というのが実際です。会社が行使できるのは日をずらす権利で、断る権利ではない、という点は、覚えておくと冷静に話せます。
長期の連続した休暇については、使用者にある程度の裁量的な判断の余地を認めた最高裁の判断も、厚生労働省のページで紹介されています。長く休みたいときほど、早めに希望を出し、人員の調整がつくように相談しておくことが、現実的な近道です。
年10日以上の有給が付与される人には、会社が、年5日を確実に取得させる義務もあります(労基法39条7項)。自分で取った日数は、5日から差し引かれます。申請の仕方と断られたときの動き方は、看護師の有給が取れないときに載せています。年休を取ったことを理由に、賃金を減らすなどの不利益な取扱いをしないようにしなければならない、という定めもあります。
休みの希望は、勤務表の締め切りの前に。
出す時期を決めておくだけで、気持ちがずいぶん違うよ。
休めなかった年末年始のあとに、確かめること
年末年始や連休に、思ったより休めなかったとき、まず動けるのは、記録を残すことです。勤務した日付、開始と終了の時刻、その日が法定休日だったのか、代わりの休みはいつか。メモを残しておくと、後で確かめるときの材料になります。書き残す場所には、現在地ログが使えます。
次に、給与明細と勤務表を並べて見ます。夜勤の深夜割増、時間外、休日の割増が、それぞれ載っているかを確認します。載っていないときは、給与の担当者に、計算の根拠を聞いてみます。責める形ではなく、「計算の仕方を教えてほしい」と聞くと、答えが返ってきやすくなります。
それでも解決しないとき、相談できる公的な窓口があります。休日・休憩・労働時間が守られていない疑いは、労基署に申告できます(労基法104条)。都道府県労働局の総合労働相談コーナーは、無料・予約不要で、平日の日中に対応しています。年末年始は、12月29日から1月3日まで閉庁です。夜間や休日は、厚生労働省の労働条件相談「ほっとライン」(0120-811-610、月〜金は17〜22時、土日祝は9〜21時)がありますが、こちらも12月29日から1月3日は休止です。時間や番号は変わることがあるため、公式ページで確かめてください。
年末年始に休めないことが毎年続いて、気持ちが重くなっているときは、勤務の分担そのものを見直す話に進みます。仕事の持ち方を軽くする方法は、看護師の業務改善の進め方で整理しています。気持ちがつらいときは、つらいときの窓口もあります。
確かめた分だけ、休み方の見通しは立っているよ。
次の勤務表が出たら、また見に来てね。
よくある質問
看護師は、年末年始に休めないのが普通ですか?
法律は年末年始を休日と定めていないため、勤務が入ること自体は、制度上ありえます。確かめたいのは、休日が週1回(または4週4日)確保されているか、割増賃金が払われているかです。
夜勤で年末年始に働いたら、割増はつきますか?
午後10時から午前5時の勤務は、2割5分以上の深夜割増の対象です。法定休日に当たれば、3割5分以上が加わる場合もあります。どの日が法定休日かは、就業規則で確かめてください。
夏休みやGWに有給をつなげて休むのは、断られますか?
年休は、請求する時季に与えるのが原則です。会社が変えられるのは、事業の正常な運営を妨げる場合に限られ、日をずらす権利にとどまります。希望が重なる時期なので、早めに出して調整してください。
出典・参考(公的な情報)
- 労働基準法 第24条・第35条・第37条・第39条・第89条・第137条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 時間外・休日労働と割増賃金(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 割増賃金について(兵庫労働局(厚生労働省))
- モデル就業規則(令和7年12月版)(厚生労働省 労働基準局監督課)
- 素朴な疑問 働き方改革対応! Q&A(東京労働局(厚生労働省))
- 年次有給休暇(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 労働条件相談「ほっとライン」(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。