勤務のこと
看護師の業務改善の進め方と例。雑用・雑務を減らす小さな見直し
更新 2026年10月23日読むのに約6分
看護の仕事をしたいのに、探し物と往復と連絡で一日が終わる日は、頑張りが足りないのではなく、仕事の持ち方に偏りが出ているのかもしれません。大きな改革ではなく、自分の手の届く範囲の小さな見直しに絞って、仕分け方と試し方、話の持ちかけ方をまとめます。
ずっと走っていたのに、看護の仕事が進んだ気がしない日、あるよね。
忙しさの正体を、4つの箱に分けてみる
「業務が多い」「雑用ばかり」という言葉には、種類の違う仕事が混ざっています。人が足りない話なのか、仕事そのものが余計に増えている話なのか、他の人に頼めるのに自分が抱えている話なのか。混ぜたままだと、改善の案が「人を増やしてほしい」で止まりやすくなります。
まず、一日の仕事を思い出して、次の4つの箱に入れてみます。入れ方に正解はなく、迷ったら「今日の自分の感覚」で決めれば足ります。
- 看護でなければできない仕事:観察、判断、処置、患者さんや家族への説明など
- 看護の周りにあるが、他の職種や仕組みでも回せるかもしれない仕事:物品の補充、搬送、書類や検体を運ぶこと、片づけ、電話の取り次ぎなど
- 手間が二重になっている仕事:同じ内容を複数の記録に写す、同じ連絡を別々の人に何度も伝える、探し物や待ち時間など
- 減らしても困らないかもしれない仕事:誰も見なくなった記録欄、理由を聞かれると答えにくい、続いているだけの慣習
「雑用」と呼ばれやすいのは、2番目から4番目の箱です。ただ、どれも現場では意味のある場面があります。「雑用だから悪い」と決めつけず、「いまの形のまま、自分が持つ必要があるか」を問いにすると、話が前に進みます。
- 観察・判断・処置
- 物品の補充と往復
- 書類や検体の運搬
- 同じ内容の二重記録
- 補充の回数と当番を決める
- 運び方を取り決める
- 記録の置き場を一本化する
- 続いているだけの確認を見直す
全部を手放すのではなく、軽くできる所を探してみよう。
なお、記録、確認、申し送りなど、患者さんの安全に関わるものは、自分の判断だけで減らさないでください。探すのは手順を削る方法ではなく、「同じ手間を重ねている所」と「持ち方に偏りがある所」です。減らせるかどうかは、職場の決まりと、リーダーや師長の判断で決まります。
印をつけたものが、今日の改善の候補だよ。
全部やろうとしないで、ひとつだけ選んでみよう。
手の打ち方は、仕事の種類で変わる
印をつけた仕事に、どの手が合うかを考えます。打ち方は大きく4つあります。仕事によって、効きやすい手が違います。
- まとめる:補充に何度も往復しているなら、午前と午後の巡回にまとめる。同じ内容の連絡を何度も伝えているなら、伝える場面を1回にそろえる
- 見える化する:探し物が多いなら、置き場所に名前を書く、定数と補充の目印をつける。見つかるまでの時間が減ると、その分が看護の時間に戻る
- 渡す:他の職種、補助の人、当番の仕組みで回せる仕事は、頼み方と範囲を決めて渡す。頼むときは、人手が足りない中で相手の負担も増えないか、見てから
- やめる・減らす:見直す理由が説明できるものは、リーダーや師長に確認したうえで試す。安全に関わるものは、提案の形にとどめる
どの手でも、まず自分の動きの範囲でできることから始めると、周りの人に迷惑がかからず、試しやすくなります。他の人の仕事に及ぶ変更は、一人で決めるとかえって混乱を生みます。ここは、周りと合意してから動きます。
| 場面 | よくある手間 | 見直しの例 |
|---|---|---|
| 物品の補充 | 足りない物を取りに何度も往復する | 定数を見直し、補充を午前・午後の2回にまとめる |
| 物品の置き場 | 探し物で手が止まる | 棚に名前と定位置の印をつけ、写真を貼る |
| 申し送り | 時系列で話して長くなる | 変化・対応・お願いの3点に絞る型をそろえる |
| 記録 | 同じ内容を複数の用紙や画面に写す | どちらを正にするか決め、写す作業を減らす |
| ナースコール | 同じ用件の呼び出しが続く | よくある用件を数え、先回りの声かけを決める |
| 検体・書類の搬送 | 思いついた人がその都度運ぶ | 運ぶ時刻と担当を決めて、まとめて運ぶ |
| 電話の取り次ぎ | 看護師が手を止めて受ける | 取り次ぎの範囲を、事務や補助の人と取り決める |
どれも例です。安全に関わる手順を変えるときは、職場の決まりと、リーダーや師長の判断に従います。
院内発表のテーマも、この表から一つ選ぶと始めやすいよ。
表の例は、どれも「1つの場面に絞る」と「前後で数える」が組み合わせやすいものです。申し送りの型は申し送りを短くまとめる型と例文に、詳しく書いています。
一人でできる工夫
回る順番を決める、メモの置き場を決める、記録を書くタイミングをそろえる。今日から試せて、戻すのも簡単です。
チームで決めること
補充の担当、記録の様式、他の職種への依頼の仕方。時間はかかりますが、一度決まると、人が替わっても続きます。
たとえば、補充の往復が多い場合。一人で試せるのは、「自分が回るときに、足りなくなりそうな物をまとめて取る」ことです。チームで決めるのは、「補充の当番を日替わりにする」「定数を見直す」といったことになります。前者で効果が見えたら、後者を提案する材料になります。
1週間だけ試して、数えてから話す
改善の話が「みんな忙しいから」で終わってしまうのは、効果が見えにくいからです。1週間だけ試して、前後の数を比べると、話すときの根拠になります。数え方は、正の字を書く程度の簡単なもので足ります。
- 1. 対象を1つに絞る(例:補充のための往復)
- 2. 試す期間を決める(1週間だけと決めると、戻すのも気楽)
- 3. 試す前の1日は、回数や、探し物に使った時間のおおよそを、メモに書く
- 4. 試している間も、同じ数え方で書く
- 5. 終わったら、増えた点と減った点を見て、続ける・戻す・提案する、のどれかを決める
数えるのは、記録を増やすためではなく、効果を確かめるためです。負担になるようなら、「回数だけ」「ひとつの場面だけ」と、さらに小さくします。続けることを優先します。
試したあとに、リーダーや師長に話すときの順番は、事実、試した結果、提案、相手の負担の少ない形、の順がおすすめです。「やりたくない」という言い方ではなく、「こうすると回りやすい」という言い方にすると、相手も受け取りやすくなります。
補充で何度も往復していたので、1週間だけ、午前と午後の2回にまとめて回してみました。往復の回数が減ったので、病棟全体でもできるか、相談させてください。
試した結果を、リーダーや師長に持ちかける例
院内の業務改善の発表や、研究のテーマを探している人にも、この手順は使えます。「何が困っていたか(前の数)」「何を試したか」「どう変わったか(後の数)」「次に何をするか」の4つで、発表の骨組みになります。大きなテーマより、ひとつの場面を1週間試した記録のほうが、聞く人に伝わりやすくなります。
前と後の数が並ぶだけで、話はぐっと通りやすくなるよ。
提案が動かない職場で、手の届く範囲を守る
数えて話しても、すぐに動かない職場はあります。人手や仕組みの問題は、一人の工夫では限界があります。そのときは、改善が通らないことを自分の力不足と受け取らず、「ここは自分の範囲を超えた所だ」と区切って考えます。
区切ったうえで、自分の範囲でできることを続けます。まとめる、見える化する、といった自分の動きの工夫は、続ける価値があります。一方で、委員会や係の仕事が重くなっているなら、委員会の負担が重いときの整理に、整理の仕方を書いています。仕事の優先順位がつけにくいなら、優先順位のメモの作り方も合わせて読んでみてください。
忙しさが残業に直結しているときは、看護師の残業が多いときで、記録の取り方や相談先を扱っています。夜勤や勤務そのものの負担が大きいときは、夜勤の回数を数字で伝える方法が手がかりになります。
一日の仕事と疲れを書き残しておくと、改善の効果が見えやすくなります。書き出す場所には、現在地ログが使えます。つらさが続いて、考える余裕もないときは、改善より先に、つらいときの窓口で話してみてください。
仕事を全部変えなくていいんだよ。
ひとつ軽くなったら、それはもう、ちゃんと前に進んでいるよ。
よくある質問
雑用と看護の仕事の線引きは、どこにありますか?
全国で同じ線引きがあるわけではなく、職場の役割分担や取り決めで変わります。4つの箱に入れて自分の職場の現状を見える形にし、リーダーや師長に確かめてください。
改善を提案しても、聞いてもらえません。
「困っている」より、「試して、こう変わった」という形で持ちかけると、相手が判断しやすくなります。ひとつの場面に絞り、数を添えて伝えます。それでも動かないときは、自分の範囲を超えた課題として区切って考えます。
雑務の多さで、辞めたい気持ちが強くなっています。
業務の持ち方が理由なら、仕分けと小さな試しで軽くなる部分があるかもしれません。それでも気持ちが重いときは、理由を3つに分けて見直してみてください。つらさが続くなら、窓口もあります。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。