有給の使い方
看護師の退職前の有給消化。残日数の数え方と最終出勤日の決め方
更新 2026年10月23日読むのに約6分
退職前の有給消化は、退職日から逆算して最終出勤日を決めると進めやすくなります。この記事では、日付の決め方を先に置き、そのあとで残日数の数え方と、よく迷う点(理由・買上げ・繰越)を整理します。
有給って、使いきれないまま辞める日が来ちゃうこと、あるよね。
最終出勤日は、退職日から逆算して決める
年次有給休暇(年休)は、退職日をもって権利が消えます。そのため、残っている日数は退職日までに使います。厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、退職間近に残日数を使い切って退職したいと申請した場合、会社は時季変更権(日を変えてもらう権利)を行使できず、認めるほかない、と説明しています。会社が退職日を遅らせるよう打診しても、応じるかどうかは労働者が決められます。
日付は、二つの日を分けて考えます。退職日は雇用が終わる日、最終出勤日は最後に出勤する日です。そのあいだが、有給を使う期間になります。シフト勤務の病棟では、勤務表の勤務日で数えるので、残日数が12日でも、カレンダー上の期間は人によって違います(日数は例です)。
- 残日数を数える明細・勤怠・管理簿
- 退職日を決める就業規則の期限と合わせる
- 最終出勤日を決める残日数から逆算
- 引き継ぎを組む最終出勤日までに終える
- 書面で伝える退職届と日程の確認
逆から数えると、日付が決めやすいよ。
たとえば、退職日を3月31日、残日数を15日とします。3月の勤務表で、31日からさかのぼって勤務日を15日数え、その手前の勤務日が、最終出勤日の候補です。公休はもともと休みなので、有給の日数には数えません。候補日が決まったら、引き継ぎの日程が間に合うかを見ます。
引き継ぎは、最終出勤日までに終えるように組みます。受け持ちの申し送り、委員会や係の仕事、物品やマニュアルの場所を書き出して、誰に渡すかを上司と決めます。引き継ぎと有給の日程がぶつかるときは、どちらを先に動かすかを話し合います。書面の書き方は退職届と退職願の違いに、退職日の決め方は退職の時期にあります。
引き継ぎが終わらないので最終出勤日を延ばしてほしい、と言われることもあります。延ばすと、退職日が同じなら使える有給の日数が減ります。応じるかどうかは自分で決められるので、引き継ぎに本当に足りない日数を上司と一緒に数え、引き継ぎメモで補える部分がないかを先に探します。有給の期間中は勤務の義務がないので、問い合わせに応じられる時間帯を決めて伝えておくと、休みの間の気がかりが減ります。
申請するときは、最終出勤日の翌日から退職日までの勤務予定日を、有給の日付として一覧にして出します。勤務表が翌月分まで出ていないときは、「○月○日から退職日までの勤務予定日に、残りの有給をあてたい」と書いておき、勤務表が出たら日付を照らします。申請した日付と、受け取った人も記録しておくと、あとで食い違いにくくなります。
退職日は3月31日を希望しています。有給が15日残っているので、最終出勤日を3月○日にしたいと考えています。引き継ぎは、それまでに終える予定です。
上司に日程を伝えるときの例
次は、自分の残りが何日か、数えてみよう。
残りの日数の数え方
残日数の手がかりは、給与明細の有給欄、勤怠のシステム、就業規則の付与日(基準日)の定め、そして年次有給休暇管理簿です。使用者は、年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存することになっています(厚生労働省の働き方改革特設サイト)。数が合わないときは、管理簿の内容を人事に尋ねます。
使いきれなかった日数は、年度が変わってもすぐには消えません。年休の請求権には2年の消滅時効があると解され、付与された日から2年間は使えます(労基法115条、確かめよう労働条件の説明)。就業規則で翌年度への繰越しを禁止していても、年度が終わっただけでは権利は消えない、とされています。法律上は、前の年の分と今年の分を合わせた日数が、退職前に使える上限になります。前の年の分と今年の分のどちらから先に使う扱いかは、法律に定めがなく、会社の取り扱いによるので、残日数の内訳と一緒に確かめておきます。
付与される日数は勤続で決まり、フルタイムなら6か月で10日、6年6か月以上で20日です。週の所定労働日数が4日以下で、週30時間未満のパートの人は、比例付与で日数が少なくなります(週4日なら6か月で7日など)。年10日以上付与される人は、会社に年5日を時季指定する義務があるので、退職前に会社から日を指定される場合もあります。自分の希望日は早めに伝えます。日数の表や時季変更権の考え方は、有給が取れないときの確かめ方に詳しくまとめています。
理由・買上げ・半日取得。よく迷う点
有給を取る理由は、言う必要がありません。最高裁判所の白石営林署事件(昭和48年3月2日)は、年休を請求する時季は労働者が指定するもので、使用者の承認は要らないとし、判決の中で、休暇をどう利用するかは使用者の干渉を許さない労働者の自由だと述べています。申請の様式に理由欄があっても、「私用のため」で足ります。
残った日数の買上げは、法律上の義務ではありません。規程や会社との取り決めがあるときに行われることがあるだけです。また、法定の日数を、事前に買い上げる約束をして減らすことはできません(鹿児島労働局のQ&A)。買上げを当てにせず、退職日までに使い切る日程を先に組みます。
半日単位の取得は、法律上の義務ではなく、就業規則等に定めがあれば認められます。時間単位の取得は、労使協定が要り、年5日以内です。退職前に、引き継ぎの日を半日だけ出勤にするなどの組み方ができるかは、就業規則で確かめます。
取れない、あるいは取ったことで不利益な扱いを受けたと感じたときは、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。年休を取った労働者に、賃金の減額その他の不利益な取扱いをしないようにしなければならない、とも定められています(労基法附則136条)。ボーナスや退職金と並べて見たいときは、辞める前に確かめるお金が役立ちます。
最終出勤日が決まったら、半分は片づいたようなものだよ。
よくある質問
退職する前に、有給を全部使い切れますか?
厚生労働省は、退職間近に残日数を使い切りたいと申請した場合、会社は時季変更権を行使できず、認めるほかない、と説明しています。話し合いで決まらないときは、総合労働相談コーナーに相談します。
有給の残日数が分からないときは、どうすればよいですか?
給与明細や勤怠のシステムを見て、付与日と日数、使った日数を確かめます。合わないときは、年次有給休暇管理簿の内容を人事に尋ねます。管理簿は3年間保存されることになっています。
有給を取る理由を、言わないといけませんか?
言う必要はありません。白石営林署事件の最高裁判決は、休暇をどう使うかは労働者の自由だとしています。様式に理由欄があるときは、「私用のため」で足ります。
出典・参考(公的な情報)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法施行規則 第24条の3・第52条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 年次有給休暇(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 年次有給休暇の時季指定(働き方改革特設サイト)(厚生労働省)
- 最高裁判所第二小法廷 昭和48年3月2日判決(白石営林署事件)(裁判所)
- 年次有給休暇 Q8(買上げ)(鹿児島労働局(厚生労働省))
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。