退職の進め方
看護師の退職は何か月前に伝える?時期の決め方と年度末・ボーナス
更新 2026年10月23日読むのに約6分
法律(民法627条)では、期間の定めのない雇用は申し出から2週間で終わります。実際には、就業規則の期限(1か月前など)に、引き継ぎと有給の消化の日数を足して、何か月前に伝えるかを逆算します。
夜勤明けの頭で、辞める日のことを考えている夜も、あるよね。
いまは、決めきらなくていいからね。
何か月前に伝えるか。民法の2週間と就業規則の期限
辞めるなら年度末に合わせるもの、と考えている人もいます。区切りがよく、伝えやすい面があるのは確かです。ただ、法律の側から見ると、辞める時期が年度末やボーナスの後に決まっているわけではありません。
民法627条1項は、期間の定めのない雇用では、いつでも解約の申入れができ、申入れから2週間を経過すると雇用が終わる、と定めています。条文に、年度末やボーナスの後という限定はありません。契約期間のある雇用(1年更新の契約など)は別の考え方になり、期間の途中で辞めるにはやむを得ない事由が要ります(民法628条)。
一方で、就業規則に「退職は1か月前までに申し出る」などの定めがある職場もあります。民法の2週間との関係は、厚生労働省や労働局の説明でも書き方が分かれます。「確かめよう労働条件」は、就業規則で期間を大幅に伸ばす規定は無効とされる、と説明しています。茨城労働局のQ&Aは、就業規則が優先するという見解と、2週間で効力が生じるとする裁判例の両方があると紹介しています。
厚生労働省のモデル就業規則の解説は、会社の承認がなくても、申し出から原則14日で退職になると書いています。そのうえで茨城労働局は、申出期間が1か月前のように著しく長くなければ、トラブルを防ぐため、まず就業規則に沿って申し出るのがよい、としています。揉めたくないときは、就業規則の期限を下限に考えるのが無難です。
伝える時期は、次の足し算で見積もれます。就業規則の期限(たとえば1か月)に、引き継ぎに要る期間と、残っている有給の日数を足します。有給が20日残っていれば、勤務日に直して約1か月分です。期限1か月・引き継ぎ2週間・有給20日なら、2か月半ほど前に伝える計算になります。
年度末を待つか待たないかは、法律の問題ではなく、自分の体調と、職場の都合と、お金の見通しを並べて決める問題です。次の章から、その並べ方を扱います。伝え方の言葉は看護師の退職の伝え方、最終日の挨拶は退職の挨拶にあります。
辞める日を、4つの確認から逆算する
最初に、辞める日を「仮に」置きます。たとえば「3月末」「来月の末」のように、確定ではなく、検討の出発点です。仮の日を置いたら、次の4つを順に確かめて、ずれが出たら置き直します。
- 仮の日を置く確定ではなく出発点
- 4つを確かめる規則・有給・賞与・引き継ぎ
- ずれを見る足りない日数はないか
- 日を置き直す伝える日も決める
仮に置くと、考えやすくなるよ。
- 就業規則の申出期限:退職に関する事項は、就業規則に書く決まりです(労基法89条。常時10人以上の職場は作成・届出の義務)。申し出る期限と、書き方の決まりがないかを読みます
- 有給休暇の残り日数:年休は退職日で消えます。厚生労働省は、退職間近に残日数を使い切りたいと申請された場合、会社は時季を変えられず、取得を認めるほかないと説明しています。年休は2年で時効になる点も、残日数を数えるときに頭に置きます
- 賞与と退職金の条件:賞与は法律で支給が義務づけられていません。支給するなら就業規則に支給対象の時期や算定の基準を書くことになっています。退職金の支払時期も、就業規則等の定めによります
- 引き継ぎ:担当や記録を渡すのに必要な期間です。後任が決まらなくても辞められないわけではありませんが、突然の退職で賠償が命じられた裁判例も、厚生労働省のページに紹介されています
4つの確認は、順番に意味があります。就業規則の期限で「いつまでに言うか」の下限が決まり、有給の残りで「最終出勤日と退職日の間に、どれだけ休みが入るか」が決まります。賞与の条件で、退職日を前後にずらす必要があるかが見え、引き継ぎで、最終出勤日が現実的かが分かります。
日付は、書き出すと頭の中より軽くなるよ。
年度末・年度途中・ボーナスの前後。場面ごとの見方
仮の日が、どの場面にあたるかで、見る点が少し変わります。どの場面にも当てはまる確認は前の章のとおりで、ここでは場面ごとの違いに絞ります。
- 年度末(3月末など):区切りとして伝えやすいと感じる人が多い場面です。一方で、新しい年度の配置や人員の準備は、早い時期から動く職場もあります。伝える日が遅いほど調整しにくくなるため、就業規則の期限より早めに伝えられるかを見ます
- 年度の途中:就業規則の申出期限と、引き継ぎに要る期間で決まります。区切りがない分、自分の事情で動きやすい面があります。職場の人員の都合は別に考えます
- ボーナスの前:支給日の前に辞める場合、賞与が出るかは就業規則の定め次第です。厚生労働省のモデル就業規則の解説は、支給日に在籍している人に限る規定を設けて、期間の途中で退職した人には支給しないことも可能、と説明しています。在籍の条件があるかは、就業規則で確かめます
- ボーナスの後:支給日の翌日以降に退職日を置く形です。賞与は受け取れても、退職日が先に延びる分、体調や次の予定との折り合いを見ます
在籍の条件が置かれているかどうかは職場ごとに違います。ここでは「条件が置かれている場合がある」ことと、「就業規則で確かめる」ことまでにとどめます。賞与のために退職日を延ばすかは、体調とお金の両方を見て決めます。
最後の給与は、通常の支払日に出ます(労基法24条)。退職後に請求すれば、7日以内に支払う決まりもあります(23条)。どの範囲がいつ出るかは、事務に確かめておくと安心です。
区切りを優先する日
年度末などの区切りに合わせる形です。伝えやすく、周りの見通しも立てやすい一方、待っている間に体調が下がらないかを見ます。
自分の事情を優先する日
体調・家庭・次の予定に合わせる形です。就業規則の期限と引き継ぎを先に確かめておけば、時期を選びやすくなります。
辞める日を決めたあとの、期限つきの流れ
辞める日が決まったら、退職日の翌日から数える手続きの期限も、先に書いておきます。次の職場がすぐ決まらない場合は、国民健康保険・国民年金が14日以内、任意継続が20日以内と短い期限があります。期限の一覧は退職後の保険・年金・失業保険の手続きにまとめています。
- 退職の申し出:就業規則の期限と、書面の決まり(退職願の様式など)を確かめる
- 引き継ぎ:担当患者さん・委員会・係の仕事を書き出し、渡す相手と日を決める
- 有給の消化:残日数を事務に確かめ、最終出勤日と退職日を分けて書く
- 退職日の翌日から:保険・年金・離職票の受け取りを、期限の早い順に並べる
長さは例です。実際は、就業規則の申出期限と、残りの有給の日数、引き継ぎの量で決まります。期限のある手続きは、窓口で確かめてください。
順番が見えると、気持ちが少し落ち着くよ。
給付制限や、失業給付の手順は看護師の失業保険の受給までの手続きに、待つ間の生活費は退職後の貯金の必要額に、退職後の全体の流れは辞めたあとにやることにあります。
辞めさせてもらえないなど、会社との話し合いで困ったときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナー(平日の日中。無料・予約不要)に相談できます。窓口の選び方は労働相談の窓口の選び方にまとめています。つらさが強くて、日を決める余裕がないときは、日を決める前につらいときの窓口で話してみてください。
日付を一つ置けたら、今日はそれで十分だよ。
足し算で何か月前かが見えたら、伝える日も決めやすくなるよ。
よくある質問
看護師の退職は、何か月前に伝えればよいですか?
民法では無期の雇用なら申し出から2週間ですが、就業規則に期限がある職場では、その期限を下限に考えるのが無難です。そこに引き継ぎと有給の消化の期間を足すと、2〜3か月前になる計算も珍しくありません。
ボーナスをもらってから辞めないと、損をしますか?
賞与は法律で支給が義務づけられておらず、出るかどうかは就業規則の定め次第です。支給日に在籍している人に限る規定が置かれている場合もあります。規則を読んでから決めてください。
有給を使い切って辞めるのは、わがままですか?
年休は退職日で消えます。厚生労働省は、退職間近に残日数を使い切りたいと申請された場合、会社は時季を変えられず、取得を認めるほかないと説明しています。引き継ぎのため、日程は早めに相談します。
出典・参考(公的な情報)
- 民法 第627条・第628条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法 第24条・第35条・第37条・第39条・第89条・第137条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 退職の申出があった際には(退職・解雇のQ&A)(茨城労働局(厚生労働省))
- やめたいのにダメと言われて困ってる(茨城労働局(厚生労働省))
- 退職、解雇、雇止めなど(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 辞職(裁判例)(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 年次有給休暇(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- モデル就業規則(令和7年12月版)(厚生労働省 労働基準局監督課)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。