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文例・接遇

看護師の接遇と言葉遣い。患者さんへの敬語を言い換える例

更新 2026年10月23日読むのに約5分

接遇の研修で「言葉遣いに気をつけましょう」と言われても、現場で何と言い換えるかまでは教わらないことがあります。つい出る言い方と、その言い換えを、場面ごとに並べます。

あれ、いまの言い方、ちょっと近すぎたかな、って思うこと、ない?

聞き慣れた言葉ほど気づきにくいから、いっしょに見直してみよう。

つい出てしまう言い方は、気づかないまま習慣になる

言葉遣いの癖は、同僚どうしの会話から移ることが多いものです。忙しい現場では、短く言うために、友達言葉に近い形や、略した言い方が定着します。同僚には通じても、患者さんに向けると、距離が近すぎたり、急かされているように聞こえたりすることがあります。

悪気がないぶん、自分では気づきにくい点も難しいところです。直すときは、全体を丁寧にしようとするより、よく出る言い方を数個選んで、言い換えを決めておくほうが続きます。

言い換えの基準は、次の三つで足ります。

  • 相手を尊重しているか:子ども扱いや、命令の口調になっていないか
  • 用件が短く分かるか:丁寧にしようとして、遠回りになっていないか
  • 相手が動きやすいか:指示ではなく、依頼やお願いの形になっているか
声かけの基本、4つの順番
  • 名乗る:「担当の〇〇です」
  • 用件を先に:「これから〇〇をします」
  • 待つ長さを伝える:「〇分ほどお待ちください」
  • 終わったら:「お待たせしました。ありがとうございました」

名前と用件が先に分かると、相手は安心しやすいよ。

言い換え集。短い言い回しを、場面ごとに

次の表は、現場でよく出る言い方と、言い換えの一例です。表の言い方が唯一の正解というわけではなく、勤め先の接遇の決まりがあれば、そちらを優先します。

つい出る言い方と、言い換えの例
つい出る言い方言い換えの例ねらい
ちょっと待ってね〇分ほどお待ちくださいね待つ長さを伝える
大丈夫ですかおつらいところはありませんか答えを具体的にする
どうしましたどうされましたかていねいな聞き方にする
〜してね〜をお願いしますね指示を依頼の形にする
了解です承知しました丁寧さをそろえる
こちらが点滴になりますこちらが点滴です余計な形を省く
おじいちゃん・おばあちゃん〇〇さん名前で呼ぶ

言い換えは一例です。勤め先の接遇の決まりを優先します。

全部は直さなくていいよ。よく出るものを三つ選ぼうね。

表の中で、一つだけ理由を足します。「大丈夫ですか」は、聞かれた側が「大丈夫です」と答えやすい聞き方です。体調や痛みを確かめたいときは、「おつらいところはありませんか」「痛みはどうでしょうか」のように、答える内容が具体的になる聞き方のほうが、必要な情報が返ってきやすくなります。

敬語を重ねすぎる形にも注意が要ります。「おっしゃられる」「お見えになられる」のように、一つの動詞に敬語を二重にかけた形は、「おっしゃる」「お見えになる」で足ります。丁寧にしようとして重ねるほど、聞き取りにくくなることがあります。

「〜させていただきます」も、続くと回りくどくなります。許可を求める形が続くと、患者さんは「はい」と答えるしかなくなる場面もあります。同意が必要な処置では「よろしいでしょうか」と尋ね、そうでない場面では、これから行うことを短く伝える、と使い分けます。

これから血圧を測ります。少し腕を出していただけますか。終わりましたら、お声がけしますね。

用件、お願い、終わりの見通しを、短くつなげた例

待たせる、断る、謝る場面は、言い方で印象が大きく変わります。事実、理由、代わりにできること、の順に伝えると、相手は見通しを持てます。

  • 待たせるとき:「ただいま、ほかの方の対応をしています。〇分ほどお待ちいただけますか。終わりしだい、うかがいます」
  • 自分では決められないとき:「私の一存では決められないので、〇〇に確認してきます。分かり次第、お返事します」
  • 待たせたことを謝るとき:「お待たせして、申し訳ありません。〇〇の対応が長引いておりました」
  • 痛みや不安を訴えられたとき:「おつらいですね。いつ頃から、どのあたりが気になりますか」と、受け止めてから、具体的に聞きます

電話や院内の呼び出しでは、表情が見えない分、言葉が冷たく聞こえやすくなります。名乗る、用件を一言で伝える、相手の名前や日時を復唱する、の三つを守るだけでも、受け取られ方が変わります。

自分の口癖は、どれから直してみる? ひとつ選ぶだけでいいよ。

相手別に、言葉の距離を調整する

同じ内容でも、誰に向けるかで、言葉の選び方は変わります。患者さんへの敬語に加えて、相手ごとに気をつける点を整理します。

  • 高齢の方:「おじいちゃん」「おばあちゃん」のような呼び方や、幼い子に向けるような話し方は避け、「〇〇さん」と名前で呼びます。聞こえにくそうなときは、声を大きくするより、正面に立って、ゆっくり短く話すほうが伝わりやすい場合があります
  • 理解に時間がかかる方:一度に伝えることを一つにして、短い文で話します。相手の言葉を否定せず、まず受け止めてから、次に行うことを伝えます。ケアの方針が決まっている場合は、その方針に合わせます
  • ご家族:説明は、担当の看護師が分かる範囲に絞ります。分からないことは、「確認して、あらためてお伝えします」と返します
  • 同僚や医師:患者さんへの敬語とは別に、確認と報告の言葉があります。短く伝えるコツは報連相のコツに、申し送りの型は申し送りを短くまとめる型と例にあります

ご家族への説明で詰まったら、「確認して、あらためてお伝えします」が使えるよ。

迷ったときの相談先と、言い換えの続け方

言葉遣いで迷ったときは、まず身近な人に聞きます。同じ現場の先輩や、教育・接遇を担当する人がいれば、その人が一番、勤め先の決まりを知っています。「この場面では、どう言うのが普通ですか」と、場面を決めて聞くと、答えが返りやすくなります。

接遇研修を受けたあとは、その内容が、勤務の中で使われないまま終わってしまうことがあります。研修で出た言い換えのうち、すぐ使えるものを三つだけ持ち帰り、次の勤務で一つずつ使う、と決めると、研修の内容が日常に移りやすくなります。

一人で言い換えを練習するのが難しいときは、同僚と、場面を一つだけ決めて言い合う方法があります。採血の前の声かけなど、短い場面を、患者さん役と看護師役に分かれて1分ずつ行い、聞いた側は、分かりやすかった点を一つだけ伝えます。直すところを探すより、よかった言い方を残すほうが、続けやすくなります。

言葉遣いの指摘が重なって、話すこと自体が怖くなってきたときは、言い換えの工夫より、職場での人間関係の負担が大きくなっているのかもしれません。そのときはつらいときの窓口も使えます。

今週の勤務で、試すこと

患者さん、同僚、医師への伝え方を、場面ごとに広げて見たいときは看護師のコミュニケーションへ進んでください。

言葉を見直そうとする、その気持ちが、もう患者さんへの思いやりだと思うな。

よくある質問

「患者様」と「患者さん」は、どちらを使うのが正しいですか?

どちらかが一律に正しい、とは言えません。勤め先の決まりが優先なので、先輩や教育担当に確認します。決まりが見当たらない場合は、周りの先輩に合わせてよいか、教育担当に聞いておきます。

了解です、は患者さんに言ってもよいですか?

丁寧さをそろえるなら、「承知しました」「かしこまりました」のほうが無難です。同僚との短いやりとりと、患者さんへの返事を、使い分けます。

敬語が苦手で、話すのが怖くなりました。

全部を直そうとせず、よく出る言い方を三つだけ選んで言い換えます。苦手意識が強いときは、先輩に場面を決めて聞くか、つらいときの窓口を使うこともできます。

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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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