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妊娠・産休・育休

看護師の産休・育休中のお金。給料・手当・保険料を、例で計算する

更新 2026年10月23日読むのに約7分

産休・育休に入ると給料は止まりますが、かわりに、健康保険・雇用保険・市区町村などから、いくつかのお金が入ります。この記事では、どこから・いつ・いくら入るかを、仮の金額で計算します。

お金の名前が、こんなにたくさんあるなんて、びっくりするよね。

出どころごとに分けて、仮の数字で並べてみよう。

給料のかわりのお金は、出どころが4つある

産休・育休の間の収入は、出どころが別々の制度が、順番に、または重なって入ります。休業中の給与を会社が払うかどうかは勤め先の定めによるので、この記事では、給与がゼロの場合で計算します。

  • 健康保険:出産手当金(産前産後に休んだ日数分)と、出産育児一時金。加入先(協会けんぽ・健保組合など)は、給与担当に聞けば分かります
  • 雇用保険:育児休業給付金、出生後休業支援給付金(出生直後の上乗せ)、育児時短就業給付金(復帰後の時短勤務の間)。提出先は勤め先を管轄するハローワークで、事業主が書く書類が要ります
  • 保険料の免除:健康保険と厚生年金の保険料が、休業の期間は免除されます。会社の申出が要ります
  • 市区町村:妊娠中の妊婦のための支援給付と、出生後の児童手当。児童手当は、出生の日の翌日から15日以内に、現住所の市区町村へ申請します

出産手当金は、ハローワークの制度ではなく、健康保険の給付です。健保組合には、法定の額に上乗せする付加給付がある場合があり、有無は組合ごとに違うので、加入先に確かめます。国民健康保険に入っている人は、この給付がないのが一般的ですが、断定はできないため、市区町村の窓口で聞いてください。

産休・育休中のお金の早見表
お金出どころめやす
出産手当金健康保険(加入先に申請)標準報酬月額の30分の1の3分の2を、休んだ日数分
出産育児一時金健康保険1児につき50万円(2023年4月以降、条件あり)
育児休業給付金雇用保険(ハローワーク)賃金日額の67%。181日目から50%
出生後休業支援給付金雇用保険(ハローワーク)賃金日額の13%を、最大28日分
社会保険料の免除会社が申出健康保険・厚生年金の保険料が免除
児童手当市区町村月額:3歳未満1万5千円、3歳〜高校生年代1万円、第3子以降3万円
妊婦のための支援給付市区町村妊娠の認定後に5万円、人数の届出後にこども1人につき5万円
育児時短就業給付金雇用保険(ハローワーク)時短中の賃金の10%(2歳未満の子)

2026年10月時点の内容です。額や期限は、勤め先・加入先・ハローワークで確かめます。

名前と出どころだけでも、先に並べておこう。

産前産後に入るお金を、出産手当金の計算で見る

出産手当金は、出産のために会社を休み、その間に給与が出ないときに、健康保険から出ます。対象は、出産の日(出産が予定日より遅れたときは予定日)以前42日(双子以上は98日)から、出産の翌日以後56日目までの、休んだ期間です。予定日どおりに出産して、その間ずっと休んだ場合は、産前42日と産後56日で、合わせて98日分が目安です。

1日の額は、支給開始日以前の継続した12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1(10円未満は四捨五入)の、3分の2です(1円未満は四捨五入)。標準報酬月額は、保険料の計算に使う、月給をもとにした区切りの数字です。加入して12か月に満たないときは、別の計算になります。休んだ間に給与が出たときは、給与の日額が手当金の日額より少なければ、その差額が出ます。

仮に、標準報酬月額の平均が30万円の人で計算します。30万円を30で割ると、1万円。その3分の2で、1日6,667円です。98日休めば、6,667円×98日で、653,366円になります。金額は日数・標準報酬月額・給与の有無で変わるので、計算の手順を見る例として読んでください。

産前42日より前に、つわりや切迫早産などで休む期間は、出産手当金の対象に入りません。傷病手当金の対象になるかどうかは、医師の判断と、加入先の健康保険の審査によります。妊娠に関わる症状なら出る、とは言い切れません。出産手当金と傷病手当金は、同時には受けられません。

出産育児一時金は、1児につき50万円です。2023年4月1日以降の出産で、産科医療補償制度に加入している医療機関で、在胎週数22週以降に出産した場合の額です。直接支払制度を使うと、健康保険から医療機関へ直接払われ、費用が50万円を下回れば、差額を申請して受け取ります(協会けんぽは、おおむね3か月後に申請書が届くと案内しています)。上回れば、超えた分を医療機関に払います。帝王切開など医療費が高額なときは、高額療養費の対象です。なお、2026年6月に、出産費用の自己負担をなくす方向の法律(令和8年法律第31号)が公布されました。施行日は公布後2年以内に政令で決まり、まだ決まっていないため、それまでは出産育児一時金(50万円)の仕組みが使われます。

産前に、会社の担当に聞く3つ

育休に入ってから。育児休業給付金の計算と、上限額

育児休業給付金は、雇用保険から出ます。休業を始める前の2年間に、賃金支払の基礎日数が11日以上の月が12か月以上あることなどが、条件です。産後休業の8週間は、対象に入りません。出産した人が産後休業のあとに続けて育休を取る場合、育休の開始日は、出生日から数えて58日目になります。

額は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%です。最初の180日がこの率で、181日目からは50%になります。支給日数は、原則30日です。休業開始時賃金日額は、休業前6か月の賃金の総額を180で割った額で、臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は、元に入りません。産前産後休業を取った人は、原則として、その開始前の6か月で数えます。夜勤手当や残業代の扱いは、人事担当かハローワークで確かめます。

仮に、休業前6か月の賃金が、月30万円ずつ(合計180万円)の人で計算します。180万円を180で割ると、日額は1万円。30日分で、67%なら月20万1,000円、181日目からの50%なら月15万円になります。

育休給付金の、30日分の上限と下限
  • 上限(67%の期間)332454円
  • 上限(50%の期間)248100円
  • 下限(67%の期間)64380円
  • 下限(50%の期間)48045円

出典:厚生労働省・ハローワーク「育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版)」。2027年7月31日までの額

上限は毎年8月に見直されるから、年を確かめてね。

育休の間に働いて賃金が出る場合は、1か月ごとの期間に、働いた日が10日以下(超える場合は80時間以下)であることが条件です。賃金が多いと、給付金は減り、80%以上なら支給されません。

出生後休業支援給付金は、育児休業給付金に上乗せされる13%分で、最大28日分です。夫婦ともに14日以上の育休を取ることが基本の条件で、配偶者がいない場合や、自営業・フリーランスの場合などは、配偶者の育休がなくても対象です。出産した人の対象期間は、出生日(予定日)から16週間を経過する日の翌日までで、産後休業の8週間を含みます。育休に使える日は、残りの8週間ほどです(目安。日数はハローワークで確かめます)。仮の例では、日額1万円×28日×13%で、36,400円です。

67%と13%を合わせると80%です。育休中は保険料が免除され、給与が出なければ雇用保険料の負担がなく、給付金は非課税なので、厚生労働省は、80%の給付率で手取り10割相当と説明しています。ただし、上限額があり、上乗せがつくのは最大28日分のあいだです。67%だけの期間は、手取り10割ではありません。

自分の賃金日額を、上の例の1万円のところに入れ替えてみよう。

保険料・ボーナス・住民税。手取りに響くところ

産前産後休業と育休の間は、健康保険と厚生年金の保険料が、本人分も会社分も免除されます。自動ではなく、会社が年金事務所などに申出をして、初めて受けられます。免除された期間は、将来の年金額の計算では、保険料を納めた期間として扱われます。育休の分は、開始日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月までが免除です(同じ月なら、14日以上の育休で免除)。

自営業の家族や、退職後に国民年金(第1号被保険者)になる人には、別の免除があります。2026年10月1日から、1歳になるまでの子を育てる第1号被保険者の父母は、所得にかかわらず、国民年金保険料の免除(最大12か月。産前産後の免除を受けた母は、それに続く9か月)を受けられるようになりました。免除の期間は、保険料を納めたものとして老齢基礎年金に反映されます。届出は市区町村かマイナポータルで行い、対象は2026年10月以降の期間です。

ボーナスは、別の扱いです。賞与の保険料は、育休の期間中に月末を含む月に支払われた賞与について、その月の末日を含む連続した1か月を超える育休を取った場合に限り、免除されます。月末をまたがない短い育休では、免除されません。賞与をどう払うかは、会社の規定によるので、就業規則と給与担当に確かめます。

雇用保険の給付は、非課税(所得税がかからない)と、厚生労働省は説明しています。休業中の住民税の納め方は、この記事では扱わないので、給与担当と市区町村で確かめます。

児童手当は、月額で、3歳未満が1万5千円、3歳以上高校生年代までが1万円、第3子以降は3万円です(2026年10月時点のこども家庭庁の案内)。出生の日の翌日から15日以内に、現住所の市区町村へ申請します。遅れると、遅れた月の分は原則として受けられません。支給は偶数月で、前の2か月分がまとめて入ります。公務員は勤務先に申請します。

市区町村が窓口の「妊婦のための支援給付」もあります。こども家庭庁の案内では、医療機関で胎児の心拍が確認されたあとに申請して認定されると5万円、出産予定日の8週間前の日から、妊娠しているこどもの人数を届け出ると、こどもの人数×5万円が支給されます。双子なら、合わせて15万円です(筆者計算)。給付は保健師などとの面談とセットで行われ、自治体によってはクーポンなどで受け取る形もあります。流産・死産などの場合も対象です。申請先は、住民票のある市区町村の担当窓口です。妊婦健診の公費助成は、市区町村で内容が違います。

ひと月ごとの書き出し表を、手順どおりに作る

お金の見通しは、紙に書くと、足りない月が見えてきます。次の手順で、ひと月ごとの表を作ります。

  • 1. 給与担当に、標準報酬月額と、休業前6か月の賃金(臨時のものを除く)を聞く
  • 2. 産前・産後・育休の予定日を、カレンダーに書いて、日数を数える
  • 3. 出産手当金を、日額×休んだ日数で出す
  • 4. 育児休業給付金を、賃金日額×30日×67%(181日目から50%)で出し、上限と見比べる
  • 5. 出生後休業支援給付金の対象になるかを、配偶者の予定と合わせて見る
  • 6. 休業前の毎月の手取りと並べて、差が大きい月に印をつける

差が大きい月は、貯金や家族の収入で埋める計画を先に立てておくと、慌てにくくなります。休業前の毎月の収入と支出は、現在地ログに残しておけます。

復帰後に時短勤務をする場合は、育児時短就業給付金があります。2歳未満の子を養育して、週の所定労働時間を短くして働く間、賃金の10%が出ます。減る賃金の全部を補う制度ではなく、週20時間未満になって被保険者でなくなると対象外です。復帰後の働き方は、育休明けの勤務を決める手順で整理します。

辞める予定がある場合、出産手当金の退職後の給付には、被保険者期間などの条件があり、退職日に出勤すると受けられません。条件と退職の前の確認リストは看護師が妊娠で辞める前に確かめることにあります。

全部を覚えなくても、書き出した表があれば、前に進めるよ。

お金の心配は、ひとりで抱えなくていいからね。

よくある質問

看護師の産休中の給料は、出ますか?

給与が出るかどうかは、勤め先の定めによります。給与が出ない間は、健康保険から出産手当金が出ることがあります。額は、標準報酬月額の30分の1の3分の2が、休んだ日数分です。加入先の健康保険に確かめてください。

育休中のお金は、手取りの何割になりますか?

育児休業給付金は賃金日額の67%(181日目から50%)です。出生後休業支援給付金の13%が、最大28日分つくと80%で、厚生労働省は手取り10割相当と説明しています。ただし、上限額があります。

育休中のボーナスと保険料は、どうなりますか?

社会保険料は、会社の申出で免除されます。賞与の保険料は、月末を含む連続した1か月を超える育休のときに限って免除されます。賞与を払うかどうかは、就業規則で確かめます。

出典・参考(公的な情報)

法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。

つぎに読む

この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。

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