妊娠・産休・育休
看護師の産休・育休の基本。言葉の意味と、確かめる先をひと通り
更新 2026年10月23日読むのに約6分
産休と育休は、似た名前でも、根拠の法律も、動き出す人も、お金の出どころも別です。この記事では、言葉の意味から、確かめる先までを、ひと通り整理します。
産休、育休、産後パパ育休……。言葉が似ていて、頭の中で混ざるよね。
「産休」と「育休」は、別の制度の呼び名
産休・育休と続けて言うため、ひとつの制度に見えますが、根拠の法律が違います。産休(産前産後休業)は労働基準法65条、育休(育児休業)は育児・介護休業法が根拠です。給付金も別で、産休の間は健康保険の出産手当金、育休の間は雇用保険の育児休業給付金が、中心になります。
産休(産前産後休業)
労働基準法が根拠です。出産する本人の休みで、正社員・パート・派遣など、働き方にかかわらず、すべての女性労働者が対象です。お金は、健康保険の出産手当金です。
育休(育児休業)
育児・介護休業法が根拠です。男女とも取れて、1歳に満たない子を育てるための休みです。お金は、雇用保険の育児休業給付金です。
次の4つの言葉は、意味を分けて覚えると、窓口での会話が楽になります。
- 産前休業:出産予定日の前の一定の期間の休み。本人が請求したときに、働かせてはならない。いつから取れるかの数え方は産休の流れ
- 産後休業:出産のあとの一定の期間の休み。請求がなくても、働かせてはならない
- 育児休業:1歳に満たない子を養育するための休み。申し出て取る(期間と延長の条件は育休の期間・延長・2人目)
- 産後パパ育休:子の出生直後の期間に、主に配偶者(父)が取る休み。出産した母は産後休業中なので、通常は対象になりません
- 妊娠を伝える会社が制度を知らせる
- 産前産後休業予定日の6週前〜産後8週
- 育児休業原則 子が1歳になる日まで
- 復帰・両立時短・残業の制限など
一度の流れを知っておくと、次にも使えるよ。
産後パパ育休は、育休とは別に取れます。育休は、子が1歳に達する日までの間に、2回まで分けて取れます。母は産後休業のあとに育休、父は子の誕生直後に産後パパ育休と、そのあとの育休、というように、夫婦で組むことができます。配偶者が専業主婦(夫)の場合や、育休中の場合でも、育休は取れます。実子でも養子でも対象です。
公務員の育児休業は、別の法律に基づきます。国公立病院の看護職は、勤務先の窓口で、どの制度が使えるかを確かめます。
休みに入るとき、動き出す人が違う
同じ「休み」でも、始まり方が違います。産前休業は、本人が請求して始まります。産後8週間は、請求がなくても働かせられないため、会社の側に義務があります。育休は、本人が申し出て始まります。
言葉の違いは、窓口での聞き方にも出ます。産前休業なら「いつまでに、何の書式で請求するか」、育休なら「いつまでに、どの書面で申し出るか」、産後の期間なら「休業中の給与と手当の扱い」を聞く、という具合です。申出の期限や、会社からの通知の日数などの細かい決まりは、育休の期間・延長・2人目の記事で、日付の数え方と一緒に確かめられます。
請求する休みと、申し出る休みと、自動で働けなくなる期間があるんだね。
自分はどれに当たるか、書き出しておくと整理できるよ。
会社の側にも、決まった役目があります。育休の申出を受けたら、受けたことと休業の期間を本人に通知します。休業中の保険料の免除は、会社が申出をして、初めて受けられます。育休給付金の書類にも、会社が書く欄があります。休む本人と、会社の担当の、両方が動く制度です。
守られていること。解雇の制限と、不利益な扱いの禁止
産前産後の休業の期間と、その後の30日間は、解雇が禁止されています。妊娠中と出産後1年以内の解雇は、会社が「妊娠・出産・休業を理由とした解雇ではない」と証明できない限り、無効です。育休の申出や取得を理由に、解雇や、不利益な扱いをすることも、禁止されています。
不利益な扱いには、降格、減給、契約の更新をしないこと、退職や、正社員からパートへの変更を強要することなどが、含まれます。厚生労働省は、妊娠・出産・育休などの事由の終了から原則として1年以内に不利益な扱いがあれば、その事由を理由にしたものと解される、と説明しています。例外もあるので、個別に確かめます。会社には、妊娠・出産・育休に関する言動で、働く環境が損なわれないように、相談に応じる体制を整えるなどの措置を取る義務もあり、相談したことを理由に不利益に扱うことも、禁止されています。退職をすすめられて、表面上は同意した形でも、本人の真意に基づかないと認められる場合は、不利益な取扱いに当たりうるとされています。
妊娠・出産・育休に関する、職場での言動への対応は、看護師のマタハラとは何かに書きます。気になる対応があったときは、日付と内容を書き留めておくと、相談しやすくなります。
どこに、何を確かめるか。窓口ごとの早見
手続きの窓口は、ひとつではありません。聞く先を間違えると、行き来が増えます。次のように分けて考えます。
- 勤め先の人事・上司:就業規則の申請の期限と書式、休業中の給与の扱い、労使協定の有無、引き継ぎ
- 加入先の健康保険(協会けんぽ・健保組合):出産手当金、出産育児一時金、付加給付の有無
- ハローワーク:育児休業給付金(事業主を通して書類を出す)、延長のときの要件
- 日本年金機構(年金事務所):保険料の免除。手続きは会社が行います
- 市区町村:妊婦のための支援給付、児童手当、保育所の申込みと認定
- 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、総合労働相談コーナー:制度が使えない、不利益な扱いを受けたと感じたとき
- 就業規則を読む期限・書式・休業中の給与
- 会社の担当に聞く人事・給与担当
- 加入先・窓口に聞く健康保険・ハローワーク
- 労働局に相談する会社と話が進まないとき
上から順に聞くと、同じ質問をくり返さずに済むよ。
お金の中身は、産休・育休中のお金の試算で、仮の数字を使って計算します。産休から育休への切り替えの日付は、産休の流れにカレンダーの形でまとめました。妊娠中の業務の配慮は、妊娠中の業務で扱います。復帰後の働き方は、育休明けの勤務を決める手順に続きます。
言葉と順番が分かれば、窓口で聞くことも、決まってくるよ。
ここまで整理できたら、聞きにいく準備は十分だね。
よくある質問
産休と育休は、何が違いますか?
産休(産前産後休業)は労働基準法、育休(育児休業)は育児・介護休業法が根拠です。産休は出産する本人の休みで、産後8週間は働かせられません。育休は男女とも取れ、申し出て取ります。給付金も、健康保険と雇用保険で別です。
育休は、会社の許可がないと取れませんか?
適正な申出があれば、会社の承諾は要りません。事業の忙しさを理由に拒むこともできません。ただし、労使協定で定めた人(雇用されて1年に満たない人など)は、対象外にできるので、就業規則と労使協定を確かめます。
産休・育休の手続きは、どこに聞けばよいですか?
まず就業規則と、会社の人事・給与担当です。お金は、加入先の健康保険と、ハローワークです。会社と話が進まないときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)や、総合労働相談コーナーに相談できます。
出典・参考(公的な情報)
- 労働基準法 第19条・第64条の3・第65条・第66条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 育児・介護休業法 第5条・第6条・第9条の2・第10条・第21条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 男女雇用機会均等法 第9条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 産前・産後の休業について(母性健康管理等に対する企業の義務)(働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省))
- 育児・介護休業法のあらまし(令和7年4月1日、10月1日施行対応)(厚生労働省)
- 働く女性の母性健康管理のために(令和8年1月)(都道府県労働局(厚生労働省))
- 出産手当金(全国健康保険協会(協会けんぽ))
- 育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026年8月1日改訂版)(厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク)
- 従業員が育児休業等を取得・延長したときの手続き(保険料の免除)(日本年金機構)
- 児童手当制度のご案内(こども家庭庁)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。