看護職の現状
看護師の人手不足は本当か。就業者数と需給見通しから見る実情
更新 2026年10月23日読むのに約6分
人は増えているのに足りない、と聞いて、混乱することがあります。この記事では、数字(就業者数・見通し)と、現場の実感がずれる理由を、公的な資料の範囲で整理します。
増えているのに足りないって、不思議だよね。
「足りない」には、2つの意味がある
人手不足という言葉は、2つの意味で使われます。1つは、統計の上で、必要な人数が、働く人の数を上回る推計です。もう1つは、現場で、勤務に入れる人数が足りず、夜勤や休憩に影響が出る実感です。この2つは、同じ数字では測れません。
この記事では、前者を公的な数字で確かめ、後者を、職場で何を見ればよいかで受け止めます。将来の推計や、AIの話は、看護師の将来性の記事に分けてあります。
- 就業者の数実際に働く人
- 働く場の内訳病院・在宅・施設
- 需給の見通し推計の需要と供給
- 自分の職場勤務表と人数
全国の数字から、足元の職場へ。順に近づいていこう。
就業看護師は、増えている
令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況によると、2024年末現在の就業看護師は1,363,142人です。前回の2022年から51,455人、3.9%増えました。この調査は2年ごとで、看護師は、2年前より増えていることになります。一方、准看護師は233,022人で、8.4%減っています。保健師は63,536人、助産師は38,721人です。
人口10万人あたりの就業看護師は、全国で1,101.1人です。都道府県で差があります。雇用の形は、看護師の81.8%(1,115,543人)が正規の雇用でした。
どこで働いているかを見ると、病院が895,944人で、看護師全体の65.7%を占めます。次の表のとおり、病院以外の場は、数万人から十数万人の規模です。病院に人が集まっているので、病院の人手の話が、人手不足の話題の中心になりやすいのかもしれません。
| 働く場 | 就業看護師(人) |
|---|---|
| 病院 | 895,944 |
| 診療所 | 194,665 |
| 介護保険施設等 | 107,984 |
| 訪問看護ステーション | 91,022 |
| 社会福祉施設 | 28,093 |
| 助産所 | 220 |
2024年末現在の実人員(看護師のみ)。出典:令和6年衛生行政報告例。介護保険施設等には、介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム・居宅サービス事業所・居宅介護支援事業所などを含みます。
病院で働く人が、いちばん多いんだね。
都道府県の差も、見ておく価値があります。全国の1,101.1人に対して、最も多い高知県の1,757.8人は、約1.6倍(1,757.8 ÷ 1,101.1 ≒ 1.60、筆者の計算)です。人手が足りているかどうかの感じ方は、住んでいる地域によって違う可能性があります。お住まいの都道府県の数字は、報告例の表で確かめられます。
准看護師が減っているのも、内訳の変化として見ておきます。2年前と比べて、看護師は51,455人増え、准看護師は8.4%減りました。看護職の中で、看護師の占める割合が高まっていることになります。
この数字から言えるのは、就業者が増えている事実までです。増えたから足りている、とも、増えても足りない、とも、ここだけでは決まりません。足りるかどうかは、必要な人数との比較で見ます。
足りない中で働くのは、しんどいよね。
数字を見る前に、ひと口どうぞ。
見通しと実感が、ずれる理由
必要な人数は、国が推計しています。第8次の見通しでは、2025年の看護職員は、供給が(都道府県の推計で)約175万〜182万人、需要が約188万〜202万人と推計されました。2019年(令和元年)11月に公表された中間とりまとめの数字で、需要は、ワーク・ライフ・バランスの進み方に応じた3つのシナリオの幅です。需要が供給を上回る推計でした。
2025年は、すでに過ぎています。2040年に向けた推計は2026年4月に検討が始まり、9月14日の第5回までの資料では、2040年の必要数や不足数の人数はまだ示されていません。新しい推計が出るまでは、第8次の数字を「2025年に向けた見通し」として読み、いまの不足の度合いは、自分の職場の欠員や夜勤の回数で確かめるのが現実的です。
推計と実感がずれる理由として、考えられる違いは3つあります(筆者の整理で、公的な資料が理由を示しているわけではありません)。1つ目は、推計が全国や地域の単位なのに対し、実感は、自分の病棟や勤務帯の単位であること。2つ目は、推計が人数で数えるのに対し、実感は、夜勤に入れる人や、日勤の戦力として数えられる人の数で感じること。3つ目は、推計が、需要の見込みに地域医療構想などの計画を使うのに対し、実感は、その日の患者数や重症度で動くことです。
法律にも、病院に置くべき看護師の数の標準があります。医療法施行規則19条は、一般病床では入院患者3人に1人、療養病床・精神病床・結核病床では4人に1人を基本に、外来患者30人ごとに1人を加えた数を、病院に置くべき看護師・准看護師の員数としています。入院患者数は、前年度の平均です。これは、診療報酬の「7対1」などの区分とは別の基準です。違いは、看護職員の配置基準で整理しています。
職場の足りなさを、勤務表で確かめる
自分の職場の足りなさは、全国の数字ではなく勤務表で測ります。見学や面接、いまの職場の振り返りで、次の項目を、勤務表や、聞き取りで確かめられます。
見るときのコツは、平均ではなく、いちばん人が少ない日を探すことです。夜勤の人数が日によって大きくばらつく職場は、人数の少ない日に、負担が集まりやすくなります。欠員の補充が、残っている人の追加の夜勤や、休日の出勤で埋められている場合は、勤務表の上の数字より、実際の負担が重くなっている可能性があります。
夜勤の回数や間隔の見比べ方は、夜勤の回数を数字で伝える方法にあります。ガイドラインは、日本看護協会の提案で、法律ではないため、基準に届かない職場を違反と決めるためではなく、現状を言葉にするための物差しとして使います。離職の数字の見方は、離職率の記事にあります。
欠員が出たときの補充の仕組みと、直近の数か月の夜勤の人数を、教えていただけますか。
面接や見学で、人手の状況を聞く例
病院以外にも看護師の働く場があることは、表のとおりです。足りなさがつらいときに、職場を変える方法を考えるなら、働く場を広げて見比べる材料にもなります。ただ、環境を変えれば解決する、とは言えません。いまの職場で変えられることと、変えられないことを分けてから、動くかを決めます。
数字の正体が見えると、少し落ち着くよね。
次は、勤務表を見ながら、自分の職場に当てはめてみよう。
よくある質問
看護師の数は、増えていますか、減っていますか?
令和6年衛生行政報告例によると、2024年末の就業看護師は1,363,142人で、2022年から51,455人(3.9%)増えています。准看護師は、8.4%減っています。
2025年に、看護師はどれだけ不足しましたか?
第8次の見通しでは、2025年の需要が約188万〜202万人、供給が(都道府県の推計で)約175万〜182万人と推計されました。厚生労働省が2026年4月の検討会に示した資料では、看護課の推計による2023年の就業者数は1,746,481人で、同じ年の供給見通し(1,730,715人)を上回っていました。2025年の就業者数の実績は、この資料にはまだ載っていません。
人手不足の職場は、避けたほうがよいですか?
避けるかどうかは、全国の数字ではなく、その職場の中身で決めます。勤務表、夜勤の人数、欠員の補充の仕組みを確かめて、自分の優先順位と照らして判断してください。
出典・参考(公的な情報)
- 令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況(厚生労働省)
- 看護職員の需給推計について(2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会 第1回 資料5)(厚生労働省)
- これまでの御意見のまとめ(第5回 2040年に向けた看護職員の養成・確保の在り方に関する検討会 参考資料、令和8年9月14日)(厚生労働省)
- 医療法施行規則 第19条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。