辞めたい、の前に
看護師の離職率は何%か。日本看護協会の調査の数字と読み方
更新 2026年10月23日読むのに約6分
この記事には広告(PR)を含みます。転職サービスは、順位を付けず、同じ書式で並べています。
離職率の数字は、見るたびに、自分だけが辞めたいわけではないのか、それとも自分の職場が特別なのか、と気持ちが揺れます。調査の名前・年・数え方を押さえて、数字の読み方と、辞める理由の調査結果を整理します。
数字を見ると、ドキッとするかもしれないね。
でも、数え方を知ると、見え方が変わってくるよ。
いちばん新しい数字:2024年度は11.0%
看護職員の離職率は、日本看護協会の「2025年 病院看護実態調査」(日本看護協会調査研究報告 No.102、2026年)で確かめられます。全国の病院8,022施設に回答を依頼し、調査は2025年10月1日から11月17日に行われました。離職率は、2024年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)の実績です。
回答した病院は3,440施設でした。2024年度の正規雇用看護職員の離職率は11.0%で、総退職者は60,709人、年度初めの在籍は549,135人です。新卒採用者の離職率は8.4%、既卒採用者の離職率は16.1%でした。
数え方も押さえておきます。離職率は、年間の総退職者数が平均職員数に占める割合で、定年退職や転職による退職も含みます。看護職員は、保健師・助産師・看護師・准看護師で、看護補助者は含みません。対象は、フルタイムと短時間勤務の正規雇用職員で、パートなどは入っていません。
ここが大事なところだよ。辞めた人の数と、辞めたい気持ちは、別のものなんだ。
数字の幅を読む:新卒・既卒、地域、設置主体、病床規模
全体の11.0%の中には、幅があります。同じ調査の数字を、早見表にまとめました。
| 区分 | 離職率 | 見るときの注意 |
|---|---|---|
| 全体 | 11.0% | 定年退職・転職を含む |
| 新卒採用者 | 8.4% | 新卒採用者として入職した職員 |
| 既卒採用者 | 16.1% | 既卒採用者として入職した職員 |
| 都道府県別で高い所 | 大阪府・奈良県14.1% | 神奈川県13.3%、東京都13.0% |
| 設置主体別で高い所 | 医療生協14.4% | 医療法人14.0% |
| 病床規模別 | 99床以下13.1% | 100〜199床12.6%、200〜299床11.3% |
日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」(2024年度実績)。回答した病院の集計です。
同じ調査でも、区分によって数字がだいぶ違うんだね。
既卒採用者の離職率は16.1%で、新卒採用者の8.4%より高くなっています。報告書の数字だけでは、その理由までは言えません。
地域・設置主体・病床規模の差は、1〜3ポイントほどです。この表だけでは、それぞれの影響を分けて読めないため、「大病院のほうが辞めにくい」「医療法人は辞めやすい」といった言い方はできません。数字の幅は、自分の職場の位置を確かめる目安にとどめます。
離職率が高い職場
数字だけで「悪い職場」とは言えません。人の入れ替わりが多い理由が、勤務の組み方なのか、地域の事情なのかは、数字からは分かりません。
離職率が低い職場
数字だけで「働きやすい職場」とも言えません。辞めたくても辞めにくい事情があっても、数字には出ません。聞いて確かめる項目が残ります。
看護師が辞める理由:調査で分かっていること
「看護師が辞める理由」を、看護職全体について1つの割合で示した公的な統計は、いまのところ見当たりません。ただ、対象と聞き方を限った調査なら、いくつかあります。同じ「2025年 病院看護実態調査」は、新卒採用者が辞めた理由を、病院の看護管理者に5つまで選んでもらっています(回答993病院)。
| 理由 | 挙げた病院の割合 |
|---|---|
| 健康上の理由(精神的疾患) | 54.6% |
| 看護職員としての適性への不安 | 46.6% |
| 看護実践能力への不安 | 44.2% |
| 上司・同僚との人間関係 | 27.0% |
| 他施設への関心・転職 | 23.0% |
| 夜勤の負担が大きい | 3.8% |
| 給与への不満 | 2.6% |
日本看護協会「2025年 病院看護実態調査」表36。5つまでの複数回答。本人ではなく、看護管理者が答えた理由です。
新人の理由は、心と自信の不安が上に並ぶんだね。
新卒の場合、心身の不調と、自分の適性や力への不安が上位に並びます。一方で、管理者から見た理由なので、本人が感じている理由とは食い違うことがあります。たとえば給与の不満は2.6%ですが、本人に聞いた別の調査では、見え方が変わります。
- 働き続ける条件は賃金:日本看護協会「就業継続が可能な看護職の働き方の提案」(2021年3月)が引く2019年の調査で、病院勤務の非管理職のうち、いまの勤務先からの離職を考えている人は44.9%。そのうち働き続ける条件に「仕事に見合った賃金額である」を挙げた人が43.9%で最多でした
- 暴力・ハラスメント:同じ調査で、暴力・ハラスメントの経験があると離職意向が高まる傾向がありました。上司や同僚から日ごろサポートを得ている人は、経験があっても離職意向が低い傾向でした
- 夜勤と生活の両立:2013年の日本看護協会のガイドラインは、夜勤・交代制勤務が、国の報告書などで看護職の離職の主な要因の一つと指摘された、と書いています(夜勤の回数を数字で伝える方法)
- 働く人全体では:厚生労働省「令和7年雇用動向調査」で、転職した女性が前職を辞めた理由は、その他の個人的理由を除くと「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.9%、「職場の人間関係が好ましくなかった」11.5%の順でした(全産業・全職種)
調査ごとに、答えた人(管理者か本人か)、対象(新卒か、病院の非管理職か、全産業か)、年が違うため、数字を足したり順位を付け直したりはできません。それでも、心身の不調、力への不安、人間関係、夜勤、賃金が、繰り返し出てくることは分かります。自分の理由を整理する手順は、辞めたい理由を5つの型に整理する手順に、新人の場合は新人看護師が辞めたいと感じたときにまとめています。
離職率の数字を、自分の判断に引き寄せて使う
離職率は、職場を選ぶときの材料のひとつにはなります。ただ、数字を知っただけでは、自分の職場に何が起きているかは分かりません。数字を自分の場合に引き寄せる3つの問いを、書き出してみます。
数字の大きさは、職場の人数によっても動きます。たとえば、平均100人の職員がいる職場で、1年に11人が退職すれば、離職率は11%です。人数の少ない職場では、1〜2人の退職でも数字が大きく動きます。これは計算の例で、特定の職場の数字ではありません。他の年度や他の調査の数字と並べるときも、調査名・年度・対象(正規雇用か、パートを含むか)をそろえて見ます。
見学や面接で、離職の状況を聞くことはできます。聞くときは、数え方をそろえます。定年退職を含むのか、正規雇用だけか、新卒の職員だけの数字かで、答えは変わるためです。たとえば「同じ部署で、この1〜2年に退職された方は、何人くらいいらっしゃいますか」と尋ねます。答えが出る職場もあれば、出ない職場もあります。答えが出ないこと自体も、判断の材料のひとつです。
きつさの種類を先に分けたいときは看護師がきついと言われる理由の記事が役に立ちます。数字を見て気持ちが重くなった日は、無理に結論を出さないでください。
数字は材料のひとつだよ。自分の事情と並べて、ゆっくり考えていこうね。
よくある質問
看護師の離職率は、何%くらいですか?
日本看護協会の2025年調査(2024年度実績)では、正規雇用の看護職員の離職率は11.0%でした。回答した病院の集計で、定年退職や転職による退職も含みます。
看護師が辞める理由で多いのは何ですか?
日本看護協会の2025年調査では、新卒採用者の退職理由として、看護管理者の54.6%が「健康上の理由(精神的疾患)」、46.6%が「適性への不安」を挙げています。病院の非管理職への2019年の調査では、働き続ける条件に「仕事に見合った賃金」を挙げた人が最も多く43.9%でした。
離職率が低い病院は、働きやすいですか?
数字だけでは言い切れません。離職率が低くても、辞めにくい事情があるのかもしれません。見学や面接で、配置や教育の体制と合わせて聞いて確かめてください。
出典・参考(公的な情報)
- 2025年 病院看護実態調査 報告書(日本看護協会調査研究報告 No.102)(公益社団法人 日本看護協会)
- 看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン(2013年)(公益社団法人 日本看護協会)
- 就業継続が可能な看護職の働き方の提案(2021年3月)(公益社団法人 日本看護協会)
- 令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。