異動・転勤
看護師の異動がつらいとき。慣れの目安と、動き方の順番を整理する
更新 2026年10月23日読むのに約6分
異動のあとのつらさは、仕事の量だけでなく、人や暮らしの変化が重なって出てきます。この記事では、つらさの中身を分けて、慣れの目安を「できること」で測る方法と、動き方の順番を、段取りのチェックリストにまとめます。
長く慣れた場所を離れて、また一から、って、心細いよね。
つらいのは、仕事・人・暮らしのどこか
異動では、いくつかのことが一度に変わります。つらさが「全部」に見えるときは、変わったものを3つに分けると、どこが重いのかが見えやすくなります。
- 仕事:診療科や病棟の特性、覚える手順、任される業務の範囲、受け持つ患者さんの人数
- 人:師長・先輩・同僚、聞ける相手がいるか、新しい人間関係の距離感
- 暮らし:通勤の時間、勤務時間や夜勤の入り方、休日の過ごし方、家庭の予定との兼ね合い
どれが一番重いかを、一つだけ選んでおきます。選んだものが、あとで誰に何を話すかを決める手がかりになります。
異動が、希望したものだったか、命じられたものだったかでも、受け止め方は変わります。命じられた異動で、理由の説明が少なかったときは、「なぜ自分が」という気持ちが残ることがあり、仕事の覚えにくさとは別の重さになります。
仕事のことでつらさを感じるのは、珍しいことではありません。厚生労働省の令和7年「労働安全衛生調査」(常用労働者10人以上の民営事業所の個人調査、有効回答8,393人)では、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者は67.5%でした。内容は、「仕事の量」と「仕事の失敗、責任の発生等」がどちらも39.5%で最も多く、次いで「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」32.9%、「仕事の質」30.7%です(主なもの3つ以内)。看護師に限った数字ではありませんが、異動で量・責任・人間関係が一度に変わると、重さが重なりやすいことが分かります。
新しい場所は、荷物を置いたばかりの日が続くよ。
慣れの目安は、日数ではなく「できること」で測る
異動から何か月で慣れる、という決まった数字はありません。診療科、前の経験、人手、異動の理由で、人によって大きく違うためです。日数で測ると、「まだ慣れない」と自分を責める材料になりやすくなります。
代わりに、できるようになったことで測る方法があります。小さなことで足ります。週に1回、次の項目を見て、変化を確かめます。
全部にチェックが付かなくても、焦ることはありません。付かない項目が、次に聞くこと、話すことになります。同じ項目が何週間も付かないときは、本人の努力の不足ではなく、教え方や配置が合っていないサインのこともあるため、聞く相手に伝えます。
立場によって、慣れの途中で引っかかるところは違います。同じチェックでも、次に取る行動が変わります。
- 経験が浅い時期の異動:手順を覚える順番が決まっていないことが、つらさの中心になることがあります。覚える優先順位を、聞く相手に尋ねます
- 経験が長い人の異動:前の職場のやり方との違いに、戸惑う場面が出ることがあります。違いに気づいたら、直す前に「こちらではどうしていますか」と聞きます
- 家庭の予定がある人の異動:勤務時間や夜勤の入り方が、暮らしの負担の中心になることがあります。早めに、使える制度と勤務の希望を確かめます
動く順番:話す、調べる、離れる
つらいときに、いきなり辞める・異動を断る、と大きく動くと、あとで揺れが大きくなります。小さく動く順に並べると、次のようになります。
- 1. 聞く相手を1人決める(師長でなくても、教えてくれる先輩でよい)
- 2. 困りごとを1つに絞って、その人に伝える
- 3. 業務の優先順位を、一度すり合わせる
- 4. 異動先の見直しを望むなら、希望の出し方を調べる(異動希望の出し方)
- 5. 続けるかどうかは、体調が整ってから、辞めたいと思ったときの整理で考える
新しい病棟の流れを覚えている途中です。いま優先して覚えることを、一度教えていただけますか。
聞く相手に、優先順位を尋ねる例
異動の命令に納得できないときは、命令の根拠と確かめることを看護師は異動・転勤を断れる?で整理しています。相談できる窓口もあります。都道府県労働局などの総合労働相談コーナーは、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げ、いじめ・嫌がらせなど、あらゆる分野の労働問題を対象にしています(土日祝日・年末年始を除く平日。無料・予約不要)。異動が妥当かどうかは、個別の事情で決まり、この記事では判断できません。窓口ごとの違いは労働相談の窓口の選び方で説明しています。
聞く相手を決めるのも、勇気がいるよね。言葉にしてみるだけでも、もう一歩進んでいるよ。
体と気持ちのサインと、話せる窓口
異動で環境が変わると、眠りや食欲に出ることがあります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人は6時間以上を目安に睡眠を確保すること、睡眠の不調や休養感の低下があるときは、病気が潜んでいる可能性にも留意することを挙げています。実践しても症状が続き、日中の生活に影響があるときは、速やかに医師に相談するとしています。
気分の落ち込みや、日常生活への大きな支障が続くときは、自己判断せずに、精神科・心療内科などに相談する、とこころの情報サイト(国立精神・神経医療研究センター)が案内しています。こころの耳の説明では、環境の変化によるストレスが、その人の順応力を超えたときに生じる情緒面・行動面の不調を、「適応障害」と呼んでいます。名前を知っておくのは、受診のときに伝える手がかりにするためで、自分で当てはめて判断するためではありません。受診の目安と窓口は看護師の適応障害を知るにまとめています。
- こころの耳 電話相談(0120-565-455、フリーダイヤル):平日17〜22時、土日10〜16時で、祝日・振替休日・12月29日〜1月3日はつながらない
- こころの耳 SNS相談:平日17〜22時、土日10〜16時(受付は終了の30分前まで)。祝日・振替休日・年末年始は受付なし。働く人や家族が対象
- よりそいホットライン(0120-279-338):24時間・フリーダイヤル。悩み全般の窓口
- 総合労働相談コーナー:土日祝日・年末年始を除く平日。配置転換などの労働相談
電話番号は変わることがあり、こころの耳は、電話相談で別の番号に誤ってかける例があるとして、番号の確認を呼びかけています(2026年10月21日付)。かける前に、公式ページで確かめます。電話・SNS・地域の窓口の一覧は看護師のメンタル相談窓口の一覧に並べています。
- 今週できるようになったこと
- まだ戸惑うこと
- 眠れた日と、眠れなかった日
- 次に聞きたいことを一つ
週に一回、これだけ書くと、変化が見えてくるよ。
慣れる途中で立ち止まる日も、ちゃんと道のりの一部だよ。
よくある質問
異動のあと、どのくらいで慣れますか?
決まった期間はなく、診療科や前の経験、人手で大きく違います。日数よりも、一人で判断できる場面が増えたか、聞く相手が決まっているかなど、できることで見ます。眠れない、食べられない状態が続くときは、受診や窓口への相談を考えます。
異動の命令を、断ることはできますか?
異動の命令が有効かどうかは、個別の事情で判断されます。命令の根拠と確かめることは[異動・転勤を断れるか](/idou-kotowaru/)で整理しています。納得できないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナーで、配置転換についても相談できます。
異動のあとに辞めたいと思ったら、すぐ辞めるべきですか?
急がずに、つらさの中身と、体調を先に確かめます。辞めるかどうかは、体調が整ってから考えられます。つらさが強い日は、窓口に話せます。
出典・参考(公的な情報)
- 令和7年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況(厚生労働省)
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)
- うつ病(こころの情報サイト)(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
- こころの病気 解説(こころの耳(厚生労働省))
- 働く人の「こころの耳電話相談」(こころの耳(厚生労働省))
- 働く人の「こころの耳SNS相談」(こころの耳(厚生労働省))
- 電話相談窓口(まもろうよ こころ)(厚生労働省)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第10条・第26条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。