新人の壁
新人看護師の同期が辞めるとき。残った側の気持ちと距離の整え方
更新 2026年10月23日読むのに約6分
同期の席が空くと、仕事は続いているのに、気持ちだけが置いていかれたように感じることがあります。残った側の気持ちを、分けて受け止める方法をまとめます。
同期の名前がシフト表から消えた朝は、胸にすきま風が吹くよね。
席が空いた日に、胸のなかで起きていること
同じ時期に入って、同じ研修を受けて、同じ夜勤の不安を話してきた人が、先に辞める。知らせを聞いた日、仕事の手は動いていても、気持ちがそこに追いつかないことがあります。
このとき出てくる気持ちは、一つではありません。いくつかが重なって出てきます。
- さみしさ:話せる相手が、いなくなった
- うらやましさ:先に出口を決めて、動けた
- 不安:次は自分かもしれない。自分だけが残るかもしれない
- 後ろめたさ:引き止められなかった。愚痴を聞くだけだった
- 怒り:なにも言わずに、置いていかないでほしかった
どれも、ごく自然な反応です。重なったまま抱えると膨らみやすいので、一つずつ名前をつけておきます。名前がつくと、「いま自分は、さみしいのだ」と、少し離れて見られるようになります。
さみしさも、うらやましさも、どちらも置いていていいんだよ。
うらやましい気持ちがあっても、いい人じゃなくなったわけじゃないよ。
職場では、辞めた同期をめぐる噂が回ることもあります。理由を推測する話や、評価する話に、居合わせることがあるかもしれません。そんなときは、加わらず、話題を仕事に戻すだけで足ります。本人のいない場で、本人の事情を決めつけることは、残った側の気持ちも荒らしやすくなります。
「自分も辞めるべきか」と「裏切られた」の間で
同期が辞めると、自分の迷いまで、一気に進んで見えることがあります。「自分も辞めたほうがいいのかも」という気持ちと、「なぜ自分に何も言わなかったのか」という気持ちが、同時に出ることもあります。
同期の決断は、同期の事情から出た答えです。自分の答えは、自分の材料から出します。材料は、3つに分けて見ると整理しやすくなります。辞めたい理由が、同期と同じか、違うか。その理由は、職場の中で変えられそうか。いま、休めているか。
この3つを一つずつ書き出す方法は、「辞めたい」を、3つに分けて考えるに詳しく書きました。同期の退職をきっかけに、自分も辞めるか続けるかを考え始めたときは、看護師1年目で辞めたいときの見分け方が、決める時期の目安になります。
残った側の、1週間の小さな型
同期がいなくなると、「自分がしっかりしなければ」と、肩に力が入りやすくなります。人手が減って、勤務が重くなることもあります。そんな週は、頑張る量を増やすより、気持ちを置く場所を決めるほうが、続けやすくなります。気持ちの位置を月に1回だけ残したいなら、現在地ログが使えます(3問・約30秒で記録できます)。
1週間を、次のような小さな単位で過ごしてみる方法があります。最初の日は、気持ちを一言で書き留める(さみしい、と名前だけ)。次の日から数日は、話せる相手を一人決める。それは、先輩、別の部署の同期、家族、職場の外の友人、誰でもよいのです。週の後半は、今日できたことを一つ書く。週末は、同期のことを考えない時間を、半日つくる。
同期と一緒にしていたことが、ぽっかり抜けて見えることもあります。休憩時間の雑談、帰り道の愚痴、夜勤前の「がんばろう」の一言。なくなったものに気づいたら、同じ形で別の人を探す必要はありません。別の相手と、別の形で、小さな習慣を一つ作るだけで、抜けた穴は少しずつ埋まっていきます。
- いまの気持ちの名前:
- 話せる人(一人):
- 今日できたこと(一つ):
- 同期のことを考えない時間:
- いま、誰かに頼れることは:なし/あり
書けるところだけで、いいんだよ。
人手が減って勤務が重くなったときは、我慢して抱えるより、状況を事実で伝えるほうが、職場も動きやすくなります。何が増えたか、いつからか、どのくらい続いているかを短く伝える型は、新人の報告のしかたにまとめました。
辞めた理由を、想像で埋めない
同期が辞めた理由を、本人から聞けないことがあります。聞けないと、空いたところを想像で埋めたくなります。「やっぱり、この職場が合わないのか」「自分が弱いだけなのか」と、答えが自分に返ってくる形で埋めてしまう人も少なくありません。
理由は、体調、家庭の事情、進みたい道、人間関係など、本人にしか分からないことが多いものです。想像で決めた理由を、そのまま自分の不安の材料にしないために、事実と想像を、紙の上で分けておきます。
- 事実:同期が辞めると聞いた。最後の出勤日は、〇日だった
- 想像:職場が合わなかったのだろう。自分も同じ目に遭うかもしれない
- 確かめられること:自分は今、何に困っているか。それは同期の理由と重なっているか
想像の欄に書いたことは、事実とは別の扱いにします。書き出すだけで、頭の中で一つに混ざっていたものが、別々に見えてきます。
辞めた同期と、連絡を続ける・距離を置く
辞めた同期に連絡し続けなければならない、という決まりはありません。続けるなら、近況だけを軽く伝えるような、負担の少ない形が長持ちします。職場の愚痴が中心になると、残った側の気持ちが引っ張られることもあるので、話題の線引きをしておくのも一つの方法です。
職場で同期の話題が出て、答えにくいときは、「元気にしていると思う」で止めて、話を終えて問題ありません。自分から詳しく話す必要も、他人の事情を代わりに説明する必要もありません。
同期の最後の出勤日が分かっているなら、その日にできる小さなことも考えておけます。「おつかれさま」の一言、連絡先の交換、短い手紙。大きな送別をしなくても、一言を渡せたかどうかで、残った側の気持ちの置き場所が変わることがあります。渡せなかったときは、あとからメッセージを送る形でも、気持ちは伝わります。
今夜は、同期のことを考えるのは、おやすみしてもいいよ。
よくある質問
同期が辞めて、自分だけ残ることに罪悪感があります。
辞める人と残る人のどちらも、それぞれの事情から出した答えです。残ったことは、裏切りではありません。罪悪感があるときは、その気持ちに名前をつけて、話せる相手に話してみてください。
同期に「一緒に辞めよう」と誘われました。
決断は、別々の事情から出るものです。誘われた日に答えを出さず、自分の理由を書き出して、1〜2日おいてから考えてください。理由が同じかどうかを確かめるのが先です。
同期がいなくなって、職場で話せる人がいません。
先輩、別の部署、職場の外の友人や家族など、話せる相手は、一人でも足ります。同じ立場の人でなくても話せます。話せる相手がいないと感じるときは、つらいときの窓口も使えます。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。