転職とお金
看護師の転職で年収はどう変わる?公的な数字と、比べ方の手順
更新 2026年10月23日読むのに約7分
この記事には広告(PR)を含みます。転職サービスは、順位を付けず、同じ書式で並べています。
転職で年収が上がるかどうかは、どの数字を、どの条件にそろえて比べるかで見え方が変わります。公的な調査の数字の読み方と、自分の求人を比べる手順を整理します。
年収の比べ方って、数字がたくさんあって、頭がくらくらするよね。
「年収」は、4つの部品に分けてから比べる
求人票の「年収モデル」や「月給」は、そのまま並べても、比べられないことがあります。含まれているものが、職場ごとに違うからです。比べる前に、年収を部品に分けて、前の職場と次の職場を、同じ部品にそろえます。
- 毎月の固定の部分:基本給と、通勤手当・住宅手当などの毎月決まった手当
- 毎月変わる部分:夜勤手当、時間外手当(夜勤の回数や残業で増減する)
- 賞与:年に何回、何か月ぶんか。算定の基準が基本給だけか、手当を含むか
- 将来の部分:昇給の仕組み、退職金の有無
ここで、公的な統計の見方を一つ確かめます。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)は、10人以上の民営事業所の一般労働者について、「きまって支給する現金給与額」と「所定内給与額」を分けて公表しています。前者には、時間外・深夜勤務・休日出勤・宿日直・交替の各手当が含まれ、後者には含まれません。
看護師の令和7年6月分は、きまって支給する現金給与額が36万5,900円、所定内給与額が33万3,200円で、賞与(令和6年1年間)は85万6,400円でした。月額×12+賞与で計算すると、前者を使えば約524.7万円、後者を使えば約485.5万円です。差は約39万円。どちらの月額を使うかだけで、これだけ動きます。この計算は筆者によるもので、公式の年収ではありません。
つまり、求人票の月給が「手当を含む総額」なのか、「基本給と固定の手当」なのかを確かめないと、前の職場との比べ方がずれます。夜勤手当や時間外手当が、月給に含まれているかどうかも、同じ理由で大切です。
公的な調査の数字は、対象が違う。並べるときの読み方
看護師の給与の数字は、調査ごとに、対象も定義も違います。どれが正しいかではなく、調査名と年を付けて読みます。主なものを並べました。
| 調査 | 対象 | 数字の例 | 読むときの注意 |
|---|---|---|---|
| 賃金構造基本統計調査(令和7年) | 民営10人以上の事業所の一般労働者の看護師 | きまって支給する現金給与額36万5,900円・賞与85万6,400円(計算で約525万円) | 公式の年収ではなく計算値。国公立・小規模は対象外の可能性 |
| 日本看護協会 賃金に関する実態調査(2024年度) | 会員の個人回答。病院の正規雇用フルタイム | 年収の平均 約576万円(2024年) | 会員の回答で全国の代表値ではない。管理職を含む |
| 日本看護協会 病院看護実態調査(2025年) | 回答した病院の看護部長 | 勤続10年・31〜32歳・非管理職の税込給与総額 平均340,278円(月) | 病院ごとの平均を集計。夜勤をした月を想定 |
| 雇用動向調査(令和7年) | 転職入職者(全産業・全職種) | 前職より賃金が増加40.8%、減少31.0% | 看護師に限った数字ではない |
平均や分布で、個人の年収ではありません。調査名と年を付けて読みます。
同じ看護師でも、調査が違えば、数字は違うんだね。
日本看護協会の2024年度の調査では、会員の個人回答のうち、病院勤務の正規雇用フルタイムの2024年の平均年収は約576万円、そのうちスタッフ(非管理職)は約526万円でした。回答した会員の集計で、全国の代表値ではありません。賃金構造基本統計調査の約525万円と数字が近く見える部分もありますが、対象と定義が違うので、同じものとして比べません。
日本看護協会の2025年の病院調査では、勤続10年・31〜32歳・非管理職の看護師の税込給与総額(月)の平均が34万278円でした。これは、回答した病院が答えた平均額を、病院ごとに集計したもので、看護師1人ひとりの給与の平均ではありません。夜勤を二交代で月4回(三交代で月8回)した月を想定していて、残業代は含みません。
賃金構造基本統計調査には、企業規模別の数字もあります。企業規模は、病院の病床数ではなく、法人全体の常用労働者数の区分です。令和7年の看護師の年間賞与(令和6年1年間)は、10人以上の民営事業所の一般労働者で、1,000人以上で105万7,100円、10〜99人で62万4,200円と、差が出ています。職場の種類で、賞与の水準が違う可能性を示す材料ですが、個別の職場に当てはまる数字ではありません。
平均は、ものさしにはなるけれど、自分の答えではないんだよね。
前の職場と次の職場を、同じ条件で並べる計算の手順
手順は、自分の実績を出す、次の職場の条件を出す、同じ条件にそろえる、の3つです。金額は、自分の書類にある数字を使います。
賞与は、「年3か月」のような書き方の、「か月」の基準に注意します。基本給のみなのか、手当を含む額なのかで、同じ月数でも金額が変わります。統計では、令和7年の看護師の年間賞与は、所定内給与額の約2.57か月分に当たります(筆者計算)。これは統計上の目安で、個別の職場の「基本給の何か月」とは別の数え方です。
夜勤の回数をそろえるのは、夜勤手当が月額に入るからです。日本看護協会の2025年の病院看護実態調査では、二交代制の夜勤手当(定額を支給している病院の、夜勤1回の平均。回答した病院の集計)が1万1,470円でした。ただし、夜勤手当には、深夜の割増賃金を含む定額の病院と、別に定額を支給する病院があります。1回の額だけで比べず、手当の内訳を確かめます。
夜勤を減らす転職を考えるときは、月額の差の中に、夜勤手当の増減が入ります。目安として、二交代の平均1万1,470円で計算すると、夜勤が月4回減れば月に約4万6千円、年に約55万円の差です(筆者計算。賞与への影響は含みません)。実際の差は、求人の手当の内訳から、夜勤手当の額と回数を出して計算します。
年収の額を軸にする
前の職場と同じ条件にそろえて、差額を見ます。勤務時間や夜勤の回数が増えて額が上がっていないかも、あわせて確かめます。
年収以外を軸にする
夜勤の回数、通勤、教育の体制など、続けやすさを先に見ます。年収が同じか少し下がっても、納得できるかを確かめます。
手当や賞与の具体的な数字は、求人票だけでは分からないことがあります。聞き方は見学で確かめることに、書面の見比べ方は入職前に確かめておきたいことにまとめています。
転職で年収が下がる場合も、上がる場合もある
厚生労働省の令和7年の雇用動向調査では、転職して入職した人の賃金は、前の職場と比べて「増加」が40.8%、「変わらない」が25.5%、「減少」が31.0%でした。これは全産業・全職種の数字で、看護師に限った数字ではありません。転職すれば上がるとも、下がるとも言い切れない、という全体の傾向を示しています。
看護師に限って、転職の前後で年収がどのくらい変わるかを示す公的な統計は、確認できていません。そのため、「転職すると、平均いくら上がる」という数字は書けません。看護師全体の平均年収の数字は看護師の年収の平均と調査の見方にまとめ、この記事では、前の職場と次の職場を並べる手順を使います。
年収が下がる条件でも、理由が自分の優先順位と合っているなら、納得して選べます。夜勤の回数を減らした分の差なのか、通勤が短くなった分の差なのか、教育の体制を優先した差なのか。理由がはっきりしていれば、入職後に「思っていたのと違う」となりにくくなります。逆に、理由が分からないまま下がるのは、確かめ直す合図です。
入職した年の賞与は、算定の期間や支給日の条件によって、満額にならない職場もあります。賞与の支給の条件は、就業規則や賃金規程に書かれているので、入職前に確かめておきます。在職中に進めるときの段取りは在職中の転職活動の進め方に、内定が出たあとの確認は内定が出たあとの確認に、給与の話し合いは給料交渉の文例にあります。
前の職場の源泉徴収票、1枚出しておこうか。
そこから比べる表が、作れるよ。
よくある質問
看護師は、転職すると年収が上がりますか?
上がる場合も、下がる場合もあります。令和7年の雇用動向調査では、全産業・全職種で、転職入職者の賃金が増加40.8%、減少31.0%でした。全産業・全職種の数字なので、自分の場合は前後の条件を並べて確かめます。
夜勤を減らす転職では、年収はどのくらい下がりますか?
夜勤手当の額と回数で決まります。二交代の夜勤手当の平均1万1,470円(日本看護協会 2025年病院看護実態調査)で計算すると、月4回減れば年に約55万円の差です(筆者計算)。実際の額は、求人の手当の内訳で確かめます。
求人の年収を比べるとき、何を確かめればよいですか?
月給に、夜勤手当や時間外手当が含まれているか、賞与が何か月ぶんで、算定の基準は何かを確かめます。夜勤の回数を同じ想定にそろえてから、月額×12+賞与で比べます。
出典・参考(公的な情報)
- 令和7年賃金構造基本統計調査 職種第1表(看護師・准看護師、企業規模計)(e-Stat(厚生労働省))
- 令和7年賃金構造基本統計調査 職種第5表(年齢階級別・企業規模別)(e-Stat(厚生労働省))
- 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(調査の対象・用語)(厚生労働省)
- 2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査 報告書(公益社団法人 日本看護協会)
- 2025年 病院看護実態調査 報告書(調査研究報告 No.102)(公益社団法人 日本看護協会)
- 令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。