辞めたい、の前に
看護師が辞めたい・限界と感じたとき、まず確かめる5つのこと
更新 2026年10月23日読むのに約7分
限界という言葉が浮かぶほど、毎日が重くなっているのだと思います。この記事では、辞めると決める前に確かめる5つのことと、話せる窓口を整理します(診断はしません)。
「限界」って言葉を使うほど、ずっとがんばってきたんだね。
ここでは、結論を出さなくていいからね。
限界のとき、先に確かめることと、あとで決めてよいこと
限界を感じているときは、辞めるか続けるかを、いますぐ決めなければいけない気がしてきます。ただ、疲れが強いときの判断は、極端になりやすいものです。先に確かめることと、あとで決めてよいことを、分けておきます。
確かめることは、次の5つです。順番は、体の状態、回復、中身、話すこと、決めないこと、の順にしています。
- 1. 眠れているか、食べられているか
- 2. 休日に、体と気持ちが回復しているか
- 3. 限界の中身は何か(量・人・時間・責任・待遇)
- 4. 職場の中か外で、一度でも話した相手がいるか
- 5. いま決めなくてよいことを、決めないでおく
- 眠れているか
- 休日に回復するか
- 話せる窓口があるか
- 辞める時期
- 次の職場
- 退職の伝え方
先に体のこと。決めるのは、そのあとでもだいじょうぶだよ。
辞めたい理由そのものの整理は、辞めたい理由を5つの型に整理する手順にまとめています。この記事は、その手前の、確かめることに絞ります。
体の状態を見る:眠り・食事・休日の回復
1 眠れているか、食べられているか
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、成人の睡眠時間は個人差があるものの、6時間以上を目安にすると書いています。おおよそ6〜8時間が適正と考えられ、日中の眠気や、眠っても休まった感じがしない状態が続いて生活に支障があるときは、医師に相談するよう案内しています。
交替制勤務の人については、同じガイドが、不眠や睡眠休養感の低下、業務中の眠気が続いて日常生活に支障が出ているときは、速やかに医療機関を受診するよう書いています。夜勤のある仕事では、睡眠の乱れを「慣れ」で片づけず、続くかどうかで見ます。
厚生労働省のe-ヘルスネットは、不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3か月以上続く状態を慢性不眠症、3か月未満を短期不眠症と説明しています。当てはまるかどうかを決めるのは、医師です。ここで、自分で判断する必要はありません。
食欲や気持ちについては、国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトが、気分の落ち込みや興味・喜びの低下に、睡眠や食欲の変化、疲れやすさが加わり、日常生活に大きな支障が出ている状態を、うつ病として説明しています。そのうえで、日常生活への大きな支障が続く場合は、自己判断せず、総合病院の精神科、心療内科、精神科クリニックなどに相談するよう案内しています。かかりつけの内科医や、保健所・精神保健福祉センターも相談先です。この記事は、状態を判断するものではありません。
眠れていない日は、考えもぐるぐるしやすいよね。
2 休日に、回復しているか
休日の回復は、体の状態を見るもうひとつの目安です。休日に眠って、少し軽くなるなら、疲れや勤務の組み方が関わっているのかもしれません。休日も重さが変わらない、楽しみにしていたことが楽しめない状態が続くときは、整理より先に、医療機関や窓口に話すことを優先します。
限界の中身を分けて、話せる相手を確かめる
3 限界の中身は何か
限界の中身は、量・人・時間・責任・待遇のどれが重いかで、話す相手が変わります。種類の分け方は、看護師がきついと言われる理由の記事にまとめました。勤務の間隔については、日本看護協会の2021年の提案が、海外の研究を引いて、勤務間インターバルが11時間未満の人は、11時間以上の人より、疲労を1.71倍、不眠を2.12倍引き起こしやすいと紹介しています。対象はスウェーデンの交代勤務者(医療・看護職は4割)で、日本の看護職の数字ではありません。調査の方法や条件も、この記事では確かめていないため、倍率を自分に当てはめることはできません。勤務の間隔が短いことが、体の負担になりうるという見方がある、という紹介にとどめます。
4 話した相手がいるか
職場の中では、直属の上司や師長、産業医、職場の相談窓口があります。産業医は、職場で労働者の健康管理などを行う医師で、必要があると認めるときは、事業者に勧告できます。労働安全衛生法施行令5条は、常時50人以上の労働者を使用する事業場に、産業医を選ぶことを求めています。相談した内容が職場にどう伝わるかは、職場ごとに違うため、話す前に確かめておきます。
勤め先にストレスチェックがあれば、話すきっかけに使えます。結果は本人の同意なしに職場へ渡さない決まりで(労働安全衛生法66条の10)、希望すれば医師の面接指導を申し出られます。仕組みと結果の使い方は、看護師のストレスチェックとはにまとめました。
職場の誰かに話すときは、長い説明はいりません。「最近、眠れない日が続いていて、仕事に影響が出そうで心配です。少し時間をもらえますか」と、体の状態と頼みたいことを1つずつ伝えるだけで、話の入口になります。
職場の外では、次の窓口があります。番号は公式ページの表記で、受付の時間と通話料に違いがあります。
- こころの耳 電話相談 0120-565-455(フリーダイヤル):平日17時〜22時、土日10時〜16時。祝日・振替休日・年末年始(12月29日〜1月3日)は対象外。働く人やその家族が対象です
- #いのちSOS 0120-061-338(無料):24時間365日
- よりそいホットライン 0120-279-338(無料):24時間
- いのちの電話 0120-783-556(無料):毎日16時〜21時(毎月10日は8時から翌日8時まで)
- こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(ナビダイヤル):曜日・時間は都道府県で異なり、通話料がかかります
こころの耳は、電話相談で別の番号に誤ってかけてしまう例があるとして、番号の確認を呼びかけています。かける前に、公式ページで番号を確かめてください。つらいときの窓口は、つらいときの窓口にもまとめています。
話せる場所の番号を、ここに置いておくね。かけられそうなときに、使ってね。
決めなくてよいことを決めて、言葉を使いすぎない
5 いま決めなくてよいことを、決めないでおく
「退職の申し出の日」「次の職場」「家族への報告」。いま決めなくてよいことを、紙に書いておくと、頭の中で毎日ぐるぐる回る話題が、ひとつ減ります。決めないと決めること自体が、休むための準備になります。退職を切り出す順番や時期は看護師の辞め方と退職の伝え方、理由の伝え方は退職理由の伝え方、続ける・変える・辞めるの決め方は続ける・変える・辞めるの決め方で扱います。この記事では、決める前の確認までにとどめます。
「燃え尽きかもしれない」と感じる人もいます。世界保健機関(WHO)は、国際疾病分類ICD-11で、燃え尽き症候群を、うまく対処されてこなかった慢性的な職場のストレスから生じる症候群として説明しています。特徴は、エネルギーの枯渇感や疲弊感、仕事への心理的な距離の増大や否定的な感情、職業的な有効性の低下の3つです。WHOは、職業の文脈に限って使うもので、生活の他の領域には当てはめないとしています。自分に当てはめて決めつけるための言葉ではなく、職場のストレスの積み重なりを説明する言葉です。
辞めたい気持ちが、やりがいの見えにくさから来ているのかを知りたいときは、看護師のやりがいを感じられない理由の記事も役に立ちます。
決めないことは紙に預けて、今夜は早めに横になろうね。
5つのうち、確かめられたのが1つだけでも大丈夫。今夜は、ゆっくり休めますように。
よくある質問
辞めたい気持ちが毎日続いています。限界のサインですか?
限界かどうかは、この記事では判断しません。毎日続いているなら、まず眠れているか、休日に回復しているかを確かめてください。日常生活への支障が続くときは、自己判断せず、医療機関や窓口に相談できます。
疲れたと感じたとき、いつ病院に行けばよいですか?
公的な案内の目安は、睡眠の不調や日中の眠気が続いて生活に支障があるとき、気分の落ち込みなどで日常生活に大きな支障が続くときです。まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて、精神科や心療内科を案内してもらう方法もあります。
職場に話すのが怖くて、相談できません。
職場の外の窓口もあります。こころの耳の電話・SNS相談は、働く人やその家族が対象です。番号と受付時間は、本文の一覧と、公式ページで確かめてください。
出典・参考(公的な情報)
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)
- 不眠症(e-ヘルスネット)(厚生労働省)
- うつ病(こころの情報サイト)(国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
- 「うつ」に気づいたときの対処法は?(e-ヘルスネット)(厚生労働省)
- 就業継続が可能な看護職の働き方の提案(2021年3月)(公益社団法人 日本看護協会)
- 労働安全衛生法 第13条・第66条の10(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働安全衛生法施行令 第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 働く人の「こころの耳電話相談」(こころの耳(厚生労働省))
- 電話相談窓口(まもろうよ こころ)(厚生労働省)
- Burn-out an “occupational phenomenon”: International Classification of Diseases(世界保健機関(WHO))
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。