辞めたい、の前に
看護師の辞めたい気持ちを、1週間の記録ノートで見える化する手順
更新 2026年10月23日読むのに約6分
辞めたい気持ちは、頭の中だけで考えると、同じところをぐるぐる回りやすくなります。1週間だけ記録をつけて、いつ・どこで・どのくらい重いのかを、あとから見られる形にする方法をまとめます。
書く元気が出ない日があっても、それも記録のうちだよ。
ノートを始める前に、決めておく3つのこと
辞めたい理由を考えようとすると、昨日と同じ理由を何度もなぞってしまうことがあります。気分が重い日の考えと、休めた日の考えが、頭の中で混ざるからです。そこで、1週間だけ、毎日同じ項目を書き残して、あとで並べて見ます。
このノートは、辞めるか続けるかを決めるためのものではありません。どんな日に、どの場面で、どのくらい重いのかを、目に見える形にするためのものです。決めるのは、読み返したあとで足ります。始める前に、次の3つだけ決めます。
- 期間:7日間。勤務日と休日の両方が入る週を選びます。夜勤のある人は、夜勤の日と明けの日が入る週にします
- 書く時間:1日2回。勤務中の休憩か帰宅後に1回、寝る前に1回。1回5分以内にします
- 書く場所:スマホのメモ、手帳、このサイトの記録ノートのどれか1つ。場所は増やしません
場所を1つに決めるのは、書き忘れより、どこに書いたか分からなくなるほうが、続かなくなる原因になりやすいからです。期間を7日にするのは、短すぎると1日の出来事に引っ張られ、長すぎると書くこと自体が負担になるためです。気持ちが重くて1週間が長く感じるなら、3日分でも十分です。足りなければ、あとで延ばせます。
毎日書く5項目と、書き方の例
項目は5つに絞ります。多いと、書く作業そのものが負担になって、気持ちがさらに重くなることがあるからです。全部埋まらない日があっても、空欄は空欄のままで進めます。
- 気持ちの重さ:0〜10の数字を1つ。0は軽い、10はとても重い。理由は書かなくても大丈夫です
- 体のこと:眠れたか、食べられたか、休めたかを、○△×で
- いちばんしんどかった場面:いつ・どこで・どんな役割の人が関わったかを1行で。評価や悪口は書かず、起きたことだけ
- 少しましだった瞬間:なければ「なし」。あれば、何があったか
- 辞めたいと思った時刻:思わなかった日は空欄
- 重さ:_/10
- 体:眠れた○ 食べた△ 休めた×
- しんどかった場面:夕方の申し送りの前、人手が足りないと感じた
- ましだった瞬間:受け持ちの方から、お礼を言われた
- 辞めたいと思った時刻:帰りのロッカーで
全部埋めなくて、いいからね。
3つ目の「場面」が、いちばん役に立つ項目です。気持ちを書くより、場面を書くほうが、あとで並べたときに共通点が見つかります。「ミスをして落ち込んだ」と書くより、「点滴の確認の最中に声をかけられて、手が止まった」のように、場面を切り取って書きます。
患者さんが特定できる書き方は避けます。部屋番号や名前は書かず、「受け持ちの方」「ご家族」と書きます。ノートを、あとで誰かに見せることになっても困らない書き方にしておくためです。
0〜10の数字は、他の日と比べるための物差しです。正確な点数は要りません。迷ったら、いまの自分に近い数字を直感で書きます。昨日より重いか軽いかが分かれば、十分です。
夜勤の日は、入りと明けで書く時間を分けます。明けは眠くて頭が回らないので、重さの数字と、体の○△×だけにして、残りは目が覚めてから書きます。夜勤中に書く時間が取れなければ、休憩のときに、重さの数字だけでも残しておきます。
今日の分は、一行だけでもいいからね。
続けることより、途切れても戻ってくることのほうが大事だよ。
7日分がたまったら、3つの目で読み返す
7日たったら、まとめて読み返します。毎日の記録は、1日ごとに見ると、そのときの気分に引っ張られます。並べて見ると、パターンが見えてきます。読み返す日は、疲れの少ない休日の昼間を選びます。夜の遅い時間に読むと、数字の重さに引きずられやすいからです。
見る目は3つです。1つ目は場面の偏り。しんどかった場面を、曜日、勤務帯(日勤・夜勤・明け)、関わった人の役割(師長、先輩、後輩、医師、ご家族など)の3つで色分けして、印をつけます。同じ印が3回以上並んだところが、重さの出どころの候補です。
2つ目は休日の動きです。休日や休みの前日の数字が、勤務日より下がっているかを見ます。休日に下がって勤務日に上がるなら、職場の何かが重さに関わっている手がかりになります。休日にも下がらず、眠れない・食べられないが続いているなら、仕事の整理より先に、休むことを優先します。しんどさが長引くときは、つらいときの窓口に相談する手もあります。
3つ目は、ましだった瞬間です。辞めたい気持ちを整理するとき、つらい面ばかりに目が向きがちです。ましだった瞬間に、いまの職場で残したいものが隠れていることがあります。誰といるとき、どの仕事をしているときに、数字が少し下がったかを見ます。
- 7日書く5項目だけ
- 3つの目で読む場面・休日・ましな瞬間
- 出どころを1つ選ぶ全部は扱わない
- 次の一歩を決める小さく1つ
読み返したら、出どころを1つだけ選ぼう。
数字の波を読む。重い日に決めないこと、軽い日にすること
7日分の「重さ」の数字を、日付の順に横に並べると、線が上下します。この上下の形は、大きく3つに分かれます。1つ目は、夜勤明けや連勤の最終日に跳ね上がり、休みで下がる形です。勤務の組み方が重さを押し上げている可能性があります。2つ目は、特定の場面や役割の人と関わった日だけ高い形です。出どころが絞れているので、相談の材料にしやすくなります。
3つ目は、休みの日も下がらず、週の後半に向けて底が上がっていく形です。この形のときは、ノートの読み返しより、休むことと、誰かに話すことが先です。形の見分け方や、2週間続けたときの見方は、気持ちの強い日・軽い日を知る記事でも扱っています。
数字が8以上の日は、取り消しにくいことを決めない日にします。具体的には、次の4つです。どれも、重い日の勢いで動くと、軽い日の自分が後始末をすることになりやすいものです。
- 上司や同僚に、退職の意思を伝える
- 求人への応募や、転職サイトの登録を進める
- 家族や友人に話して、辞める・続けるをその場で決める
- 職場の人に、気持ちをぶつけるメッセージを送る
その代わり、重い日はノートの「しんどかった場面」を1行だけ書いて閉じます。数字が4以下の軽い日に、重い日の行を読み返し、起きたこと(夜勤明けにナースコールが続いた)と、その日の受け止め(この仕事は向いていない)を分けて、印をつけます。起きたことは軽い日にも残り、受け止めは変わることがあります。分けたうえで、次の一歩を1つだけ決めます。
読み返して見えたこと別に、次に確かめること
ノートが出すのは、答えではなく、次に確かめる場所です。見えたことごとに、次の一歩が違います。
- 夜勤や明けに印が集まった:夜勤の回数と間隔を、数字にします。夜勤の回数を数字で伝える方法が使えます
- 特定の役割の人との場面に印が集まった:場面を1つ選んで、相談できる人に話す準備をします。整理は辞めたい理由の整理へ
- 朝や出勤前に集まった:行きたくない気持ちの扱い方を、行きたくない朝の過ごし方にまとめています
- 場面がばらばらで、数字は一貫して重い:量や余裕の問題かもしれません。休みの取り方と勤務の組み方を見直します
- ましだった瞬間が多く、波がある:続ける形を考える材料になります。辞めたいけれど続ける選択を見てみます
どれにも当てはまらなくても、それ自体が情報です。1週間では見えなかったなら、書く項目を1つ減らして、もう1週間だけ続けてみる方法もあります。自分の傾向と、働き方の相性が気になったときは、MBTIと働き方の相性の早見表を、読み物として並べて見ることもできます。結果に縛られず、ノートの補助線として使います。
1週間ぶんの気持ちが、ちゃんと紙の上に出たね。
8以上の日に丸をつけておくと、決めない日がひと目で分かるよ。
よくある質問
1週間、毎日は書けそうにありません。途切れてもよいですか?
途切れても、あとから足せば十分です。思い出せる範囲で、重さの数字と体の○△×だけ書き足します。書けない日が増えること自体が、そのときの余裕のなさを知る手がかりにもなります。
書いたものを読み返すと、かえって落ち込みます。
そう感じるときは、読み返さずにいったん閉じて、大丈夫です。休日にも下がらない重さや、眠れない・食べられない日が続くときは、整理より休むことを先にして、[つらいときの窓口](/support/)にも話してみてください。
夜勤が多く、書く時間がありません。
夜勤の日は、重さの数字と体の○△×の2つだけにします。残りは、目が覚めた日に書き足します。項目を減らしても、7日分が並べば、読み返しには使えます。
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この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。