新人の壁
新人看護師が仕事で泣くとき。その場の動き方と、あとの整え方
更新 2026年10月23日読むのに約5分
涙が出てしまう日は、自分を責めたくなります。この記事では、泣いたことの是非ではなく、その場でできる動きと、あとの整え方、相談先を順に整理します。
帰り道で、涙が止まらなかった日があったのかな。
ここでは、その気持ちを、そのまま置いてだいじょうぶだよ。
泣くことと、弱さは、別の話
叱られた、ミスをした、一人で抱えた、ただ疲れていた。涙が出る理由は、場面ごとに違います。涙が出ること自体で、病気かどうかが決まるわけではありません。ここでは、病名の判断をしません。気になる状態が続くときの相談の入口を、あとの章に載せています。
泣いてしまった自分を、あとから責めるほど、翌日の出勤が重くなります。涙は、そのときの負荷の大きさを知らせる反応の一つとして受け止め、責める時間を、次の一手を考える時間に替えます。泣いてしまう場面は、大きく3つに分けられます。仕事の途中で涙が出る場面、勤務が終わった帰り道や家での場面、人前で強く言われた直後の場面です。場面が違えば、先にできることも違うため、順に見ていきます。ミスそのものへの向き合い方は新人のミスと報告のしかたに、覚えられない不安は新人が覚えられないときに任せ、ここでは涙が出たあとの動きに絞ります。
勤務中に涙が出たとき、5つの動き
勤務中は、患者さんの安全が最優先です。涙が出たときも、いま手を離せない処置がないかを、先に確かめます。そのうえで、次の流れで動くことができます。全部をこなす必要はありません。1つ、2つだけでも十分です。
- 安全を確かめる手を離せない処置がないか
- 一言伝える近くの先輩に
- 場所を変える人目の少ない所へ
- 息を整える水を一口飲む
- 戻り方を決める戻る/相談する
戻れなくても、相談するのは、ちゃんとした選択だよ。
2つ目の「一言伝える」は、理由を話さなくて大丈夫です。「少し席を外します。この処置は、お願いできますか」のように、引き継ぎだけを先に言います。理由は、落ち着いてから伝えれば足ります。
すみません、少し席を外します。この患者さんの点滴の確認を、お願いできますか。
涙が出て、離れるときの一言
強く言われた直後に涙が出たときは、その場で言い返したり、説明を重ねたりしなくて大丈夫です。「分かりました。あとで確認させてください」とだけ返して、離れる方法もあります。内容に納得がいかないときは、あとで、事実だけを日付つきで書き出して、プリセプターや師長に相談します。人格を否定するような言葉や、くり返される強い叱責については、パワハラ相談の5つの手順に、記録の残し方と相談先が整理されています。戻る場合も、戻らず師長に相談する場合も、どちらも、患者さんの安全を守る形の判断です。戻れないほど苦しいときは、その日の勤務をどうするかを、師長や先輩に相談します。休憩や早退の扱いは、職場の決まりで違うので、前もって就業規則か、師長に確かめておくと安心です。
席を外すのは、逃げることじゃなくて、整えるための時間だよ。
家に帰ってからの整え方
帰り道や家で涙が出る人もいます。そのときは、涙を止めようとしなくて大丈夫です。落ち着いたあとに、今日のことを、一言だけ書きます。「何が、何時ごろ、どうだったか」だけで十分です。反省文にはしません。書くことで、頭の中のぐるぐるが、紙の上に移ります。
眠りについては、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」が、成人は6時間以上を目安に、個人差を踏まえて必要な睡眠時間を確保するよう勧めています。厚生労働省のe-ヘルスネットは、眠れないまま長く寝床にいると悪化しやすいため、眠くなるまで別の場所で過ごすこと、寝酒は避けることを挙げています。眠れない夜が続くときは、後ろの章の目安を読んでください。
翌日の出勤前は、朝にやることを3つに減らします。起きる、水を飲む、家を出る時刻だけを決める、くらいで足ります。完璧な朝を目指さないことが、続けるコツです。翌朝、出勤がつらいときは、欠勤の連絡の仕方が職場で決まっているかを確かめます。出勤できない朝の考え方は出勤できない朝の動き方にまとめています。連絡先は、前もって手元にメモしておくと、いざというときに迷いません。
話せる人と、公的な窓口
職場の中では、プリセプター、先輩、師長、同期が、身近な相手です。全部を話せる人は、なかなかいません。話せる場面ごとに、相手を分けて考えます。たとえば、仕事のやり方はプリセプター、勤務の相談は師長、気持ちの話は同期や家族、というふうにです。産業医は、労働安全衛生法13条と施行令5条により、常時50人以上の労働者を使う事業場で選任されます。職場に産業医がいるかは、人事や師長に確かめます。
話せる人が思い浮かばないときは、書くことから始めます。今日あったことを、誰にも見せないメモに書くだけでも、気持ちの整理になります。そのメモは、窓口や医療機関で話すときの材料にもなります。泣いた日の日付と場面だけでも残しておくと、続いているかどうかが、あとから見えます。電話で話すときは、うまく話そうとしなくて大丈夫です。「新人の看護師で、泣いてしまう日が続いている」と、一文から始めます。途中で言葉が出なくなっても、そのままで大丈夫です。職場の外では、公的な窓口が使えます。番号は、厚生労働省の案内に載っているものです。
- こころの耳 電話相談(働く人・家族向け):0120-565-455。平日17〜22時、土日10〜16時。祝日・振替休日・年末年始(12月29日〜1月3日)は休み
- #いのちSOS(0120-061-338):24時間365日、無料
- よりそいホットライン(0120-279-338):24時間、無料
- こころの耳 SNS相談(働く人・家族向け):平日17〜22時、土日10〜16時。祝日・振替休日・年末年始は休み。電話が苦手なときの入口
受診の目安は、国立精神・神経医療研究センターのこころの情報サイトが、気分の落ち込みや、日常生活への大きな支障が続く場合は、自己判断せず、精神科や心療内科などに相談する、と示しています。かかりつけの内科医や、保健所・精神保健福祉センターも相談先に挙げられています。涙が出る日が続く、眠れない日が続く、食べられない日が続くときは、その目安を思い出してください。辞めたい気持ちが重なっているときは辞めたいと泣いてしまうときも読めます。
全部を話さなくていいよ。「つらい日があった」の一言から、始めよう。
つらい日のことを、言葉にしようとしてくれたね。今日は早めに休もうね。
窓口の番号は、お守りみたいに、置いておくだけでもいいんだよ。
よくある質問
新人が仕事中に泣いてしまうのは、おかしいことですか?
涙が出る理由は、緊張、疲れ、強く言われたことなど、人それぞれです。涙が出ること自体で病気かどうかは決まりません。続く場合は、公的な窓口か、医療機関に相談してください。
泣いたあと、どんな顔で職場に戻ればよいですか?
患者さんの安全を優先し、近くの先輩に「少し席を外しました」と一言だけ伝えれば足ります。理由を話さなくても大丈夫です。戻れないほど苦しいときは、師長に相談します。
泣く日が続いて、出勤がこわいです。どこに相談できますか?
働く人向けの、こころの耳(0120-565-455)や、24時間の#いのちSOS(0120-061-338)、よりそいホットライン(0120-279-338)があります。番号は、公式ページで見比べてから、かけてください。
出典・参考(公的な情報)
- 健康づくりのための睡眠ガイド2023(厚生労働省)
- 不眠症(e-ヘルスネット)(厚生労働省)
- うつ病(こころの情報サイト)(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
- 労働安全衛生法 第13条・第66条の10(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働安全衛生法施行令 第5条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 電話相談窓口(まもろうよ こころ)(厚生労働省)
- 働く人の「こころの耳電話相談」(こころの耳(厚生労働省))
- 働く人の「こころの耳SNS相談」(こころの耳(厚生労働省))
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
つぎに読む
この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。