夜勤を減らす
看護師の夜勤をやめたい・減らしたい。辞めずに話し合う順番
更新 2026年10月23日読むのに約6分
この記事には広告(PR)を含みます。転職サービスは、順位を付けず、同じ書式で並べています。
夜勤をやめたい気持ちは、すぐ退職につながるとは限りません。病院は辞めずに夜勤を減らす話し合いには順番があり、その順に確かめると、伝える中身も整います。
夜勤はつらい。でも、病院まで辞めたいわけじゃない。そのあいだの気持ち、よく聞くよ。
どこから話せばいいのか、順番に見ていこうね。
「やめたい」を、回数・期間・理由の3つに言いかえる
夜勤をやめたいと言っても、中身は人によって違います。夜勤そのものをなくしたいのか、月の回数を減らしたいのか、連続や夜勤明けの休みの短さが重いのか。辞めずに話し合うときは、何を、どれだけ、いつまで、の3つが見えているほど、相手も返事をしやすくなります。
「やめたい」とだけ伝えると、退職の相談として受け取られることがあります。減らしたい回数と期間の希望を添えると、勤務を続ける前提の相談だと伝わります。
回数を見るときの物差しに、日本看護協会の「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」があります。2013年2月のもので、3交代制の夜勤は月8回以内を基本とし、夜勤の連続は2回までとするなど、勤務編成の基準を提案しています。法律ではなく、職能団体の提案です。「法律で月8回まで」とは言えませんが、自分の回数を客観的に見る材料にはなります。くわしくは夜勤の回数が多いと感じたときに書きました。
回数・期間・理由の3つが書けたら、話す準備はもう半分できているよ。
交渉の順番。上司に行く前に、書類から確かめる
夜勤を減らす話は、職場の運営に関わります。気持ちだけで進めると、行き違いが起きやすくなります。先に、自分の勤務が何で決まっているかを確かめます。順番は、書類、就業規則、使える制度、健康面、そして相談です。
- 書面を見る労働条件通知書
- 就業規則交替勤務の定め
- 使える制度妊娠・育児・介護
- 健康面医師の意見・面接指導
- 上司に相談回数と期間を添えて
上から順に、ひとつずつ見ればいいよ。
最初は、入職のときにもらった労働条件通知書や雇用契約書です。労働基準法15条は、賃金や労働時間などの労働条件を明示するよう求めています。厚生労働省の「確かめよう労働条件」は、労働者を2組以上に分けて就業させる場合の就業時転換に関する事項も、書面で示す対象に含めています。夜勤のある交替勤務として書かれているのか、日勤のみなのか、記載を見ておきます。
次に就業規則です。常時10人以上を使用する事業場には、作成と届出の義務があります(労基法89条)。交替勤務の定めや、勤務の割り振りについての記載を探します。就業規則は、見やすい場所への掲示や書面の交付などで、働く人に周知する義務があります(労基法106条、労基則52条の2)。見られる状態かを確かめ、見られないときは、労働基準監督署か総合労働相談コーナーに尋ねます(窓口は労働相談の窓口の選び方にあります)。
三つ目は、働き方の変更は会社と合意して決めていく、という考え方です。労働契約法3条は、労働契約は労使が対等の立場における合意に基づいて結び、変更すべきものとし、仕事と生活の調和にも配慮するよう定めています。8条は、合意による労働条件の変更を認めています。夜勤の回数や勤務形態を変えるのは、合意を探る話し合いだと位置づけられます。ただし、これは話し合いの土台で、夜勤の免除を会社に義務づける条文ではありません。
法律で請求できる人と、その条件
夜勤そのものを減らすことを、法律で請求できる場合があります。どれも本人からの請求が要り、自動では働きません。対象は次の4つで、期間・除外・手続きなどの条件は夜勤免除の仕組みにまとめています。
- 妊娠中・産後1年以内:請求すれば、深夜(午後10時から午前5時)に働かせてはならない(労基法66条3項)
- 小学校就学前の子を育てている:請求すれば深夜業が制限される(育児・介護休業法19条)。事業の正常な運営を妨げる場合は例外
- 家族を介護している:同じ仕組みが準用される(同法20条)
- 健康上の理由:長時間労働の面接指導で医師の意見が出れば、事業者が深夜業の回数の減少などの措置を講じる場合がある(労働安全衛生法66条の8)
「断る」と「年収」。話す前に見ておくこと
出された勤務表の夜勤を断れるか、という問いは、労働契約でどんな勤務が約束されているか、就業規則にどう書かれているかで答えが変わります。上の4つの場合を除くと、一般の労働者に夜勤の免除を請求する権利を定めた法律はありません。そのため、「断る」より「減らす相談をする」形のほうが、話は進みやすくなります。
- いきなり断らない:組まれた勤務表を当日に断ると、穴埋めの調整で関係がこじれやすい。次の勤務表を組む前に相談する
- 代わりの案を添える:「夜勤を月2回減らす代わりに、土日の日勤に入れます」のように、出せるものを一つ示す
- 期間を区切る:「半年だけ」「子どもが小学校に上がるまで」と区切ると、職場も検討しやすい
- 書面で残す:決まった回数と期間、給与の扱いを、メールか書面で確かめる
年収への影響は、給与明細で先に見えます。午後10時から午前5時の労働には、通常の賃金の2割5分以上の割増賃金が必要です(労基法37条)。夜勤手当の決め方は職場で違い、日本看護協会の「2025年 病院看護実態調査」では、深夜の割増を含む定額の夜勤手当を払う病院が52.0%、割増とは別に定額の手当を払う病院が31.2%でした。定額の手当の1回あたりの平均は、二交代の夜勤で11,470円、三交代の準夜勤で4,300円、深夜勤で5,211円です(回答した病院の平均)。手当の仕組みは夜勤手当の仕組みにまとめています。
たとえば二交代の夜勤を月4回から2回に減らすと、平均の手当で計算して月2万3,000円ほど、年に27万円ほどが減る目安になります。実際には、深夜割増の扱いや基本給の計算で変わるので、直近3〜6か月の明細で、夜勤手当と深夜割増の欄の合計を出し、1回あたりの額を自分の数字で計算します。収入が下がる前提で生活費を見直せるかを先に試算しておくと、話し合いで譲れる線が決めやすくなります。
上司に伝える日の準備と、動かなかったとき
話す相手は、まず直属の上司(師長など)です。勤務表の作成や人員の配置を決める人に、最初に伝えます。時間をもらうときは、「勤務のことで、10分ほどご相談の時間をいただけますか」のように、用件を短く添えます。
夜勤の回数を、半年のあいだ月○回に減らすことはできないでしょうか。体調の面で、いまの回数を続けるのが負担になっています。
希望の形と期間を、理由と一緒に伝える例
話したあとは、日付と、言われた内容を書き残します。口頭で決まったことも、メールや書面で確認できると、あとで食い違いにくくなります。
すぐに動かなかったときは、就業規則を見直し、人事や看護部長など別の窓口があるかを確かめます。それでも進まないときは、総合労働相談コーナーに相談できます。全国の労働局や労働基準監督署内などに設置され、予約不要・無料で、平日の昼間に利用できます。夜間や休日は、労働条件相談「ほっとライン」(0120-811-610、月〜金曜17時〜22時、土日祝日9時〜21時)があり、事業場への指導等はできない、とされています。番号と受付時間は変わることがあるので、電話の前に公式ページで確かめます。
病院には、勤務環境の改善に努める法律上の努力義務があり(医療法30条の19)、都道府県は、相談や助言を行うよう努めるとされています(30条の21)。看護師個人の窓口ではありませんが、職場に提案するときの材料にはなります。
話し合っても夜勤の少ない道がないときは、働く場所を変える選択肢も出てきます。日勤のみの働き方を比べるで、夜勤なしで働ける職場の種類と求人の見方を確認できます。その前に、夜勤が理由で辞めたいときの整理で、辞めたい理由を分けておくと、迷いが減ります。健康面の不安が強いときは、夜勤と健康のリスクの記事も参考になります。
最初の一歩は、書類を1枚見るだけでいいよ。今夜は、そこまでで十分。
よくある質問
看護師が夜勤を断ることはできますか?
断れるかどうかは、労働契約や就業規則の書き方で変わります。妊娠中や育児・介護の場合は、請求できる制度があります。個別の事情は、勤務条件の書面を持って、総合労働相談コーナーに確かめてください。
夜勤をやめると、年収はどのくらい下がりますか?
職場ごとに違いますが、目安はあります。2025年 病院看護実態調査では、二交代の夜勤手当の平均が1回11,470円なので、月4回の夜勤がなくなると、手当だけで月4万6,000円ほど、年に55万円ほどの差になります。自分の場合は、直近数か月の給与明細で、夜勤手当と深夜割増の合計を出して確かめてください。
夜勤を減らしたいと言うと、辞めると思われませんか?
希望の回数と期間を添えて、勤務を続ける前提の相談だと伝えると、誤解が減ります。伝え方の例は、上の節に置いています。
出典・参考(公的な情報)
- 労働基準法(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働基準法施行規則 第24条の3・第52条の2(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働契約法 第3条・第8条・第16条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 育児・介護休業法 第19条・第20条(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働安全衛生法 第66条の8(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
- 労働条件の明示(確かめよう労働条件)(厚生労働省)
- 看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン(2013年2月)(日本看護協会)
- 2025年 病院看護実態調査 報告書(調査研究報告 No.102)(公益社団法人 日本看護協会)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
- 労働条件相談「ほっとライン」(厚生労働省)
- 医療法 第30条の19・第30条の21(e-Gov法令検索)(デジタル庁)
法令・制度は、上の出典を 2026年10月23日 に確認して書いています。改正されることがあるので、手続きの前に、最新の内容を各窓口で確かめてください。
つぎに読む
この内容は一般的な情報で、医療的な診断や個別の助言ではありません。つらさが続くときは、公的な窓口や、かかりつけ医・産業医に話してください。